21.色違いの黒潮
色違版的黑潮
「片付けて、今夜はここで野営する。」
隊長は落ち着いた口調で、部隊の全員を見渡しながら、詳細に指示を出した。
「ガキと姐さんは戦場の掃除。オッサンと見習いはここに残って焚き火を起こし、夕食の準備だ。」
彼らはつい先ほど、「鋼爪獣」と呼ばれる機械獣との激戦を終えたばかりだった。その怪物は巨大な獅子のような姿で、全身は鋼鉄のような毛皮に覆われ、両の爪は刃のように鋭かった。
鋼爪獣が咆哮しながら襲いかかるたび、その爪は驚くほどの速度で振るわれ、広範囲を攻撃してくる。その俊敏な動きは、一瞬の油断で命を落としかねない。部隊の誰もが神経を研ぎ澄まし、その戦いの一瞬一瞬はまさに刃の上で踊るような緊張感だった。
幸い、この部隊は数々の恐ろしい敵を相手にしてきた経験豊富な者たちだった。彼らは計画通りに段階的に鋼爪獣を弱らせ、最後は力を合わせて撃破した。
日が沈み始める中、隊長は英断を下し、その場でキャンプを設営し休息を取ることにした。英気を養い、これからの行程に備えるためである。
オッサンと見習いが焚き火を組み、夕食の準備を進めていく中、炎が闇の中で揺らめき、ほんの少しの暖かさと安心感をもたらした。
その頃、姐さんとガキも掃除を終えて戻ってきた。彼らは戦場から戦利品を持ち帰ってきた。姐さんは手に小さな石を持ち、かすかな光がそこから発せられていた。
「また最低ランクの駆動石か……。」
その声には、わずかな諦めが滲んでいた。
それを見たオッサンは、からかうように笑った。
「お前に拾わせると、毎回運がないよな。」
からかいの口調に、ガキも思わず笑い出す。
姐さんはオッサンを鋭く睨んだが、焚き火のそばは和やかな笑いに包まれ、何度も死線をくぐり抜けてきた狩人たちは、厳しい環境の中でも束の間の安らぎを大切にしていた。
オッサンが鍋をかき混ぜながら言った。
「明日の朝にはまた出発だ。目的地はもうすぐだし、着いたらオッサンが一儲けさせてやるぜ!」
その声には妙な自信が満ちていて、まるで明日が収穫の一日になるかのようだった。笑いと期待に包まれたキャンプでは、交代で見張りを立てながら、一夜を平穏に過ごした。
だが、物事はそううまくはいかなかった。翌朝、彼らはオッサンと見習いが示したエリアに到着したが、南方の「ボンブロール遺跡」にはまだ距離があった。完璧に思えた計画も、実際の探索は想像以上に難航した。
三日間の地道な捜索にもかかわらず、目標の気配は見当たらず、偵察の鷹も普通の黒潮しか見つけられなかった。荒野で手がかりを探すたびに、期待は無に帰した。
その間、彼らは二度黒潮に襲われたが、いずれも間一髪で切り抜けた。とはいえ、この三日間の不調は隊員たちの心に迷いを生じさせていた――今回の探索は、本当に続ける価値があるのだろうか?
四日目の昼、沈んだ空気を切り裂くように、偵察の鷹が反応を示した。隊長は即座に警戒し、かすかな風の音に混じって、南東から戦闘音が届いた。
ためらうことなく隊長は命じた。
「全員、現場へ急行!」
現場に到着すると、別の狩人チームが赤い「山突獣」と戦っていた。
その山突獣は通常の個体とは明らかに異なり、全身に赤い鬣があり、右目には大きな傷跡。体格もひときわ大きく、脅威に満ちていた。
経験からして、これは普通の個体ではない。明らかにCode-2級の黒潮――戦闘中に人間の戦術を学び、適応し、進化する危険な相手だった。
「この赤い山突獣は俺たちが先に見つけた!邪魔するな!」
戦場の後衛魔術師が叫ぶ。狩人同士には「先に仕留めた者が優先」の暗黙のルールがあるため、「鋼鉄の心」隊は手を出せず、遠巻きに見守るしかなかった。
隊長は即座に行動を中止させ、距離を保って状況を観察するよう命じた。
オッサンは悔しそうに歯ぎしりし、「クソッ、あと一歩だったのに……」
ガキは静けさを破り、疑問の声をあげた。
「このチーム、見たことないな。」
姐さんが望遠鏡を取り出し、じっと観察して言った。
「実力はまだ一段階下だな。Code-2にはちょっと荷が重いかも。」
隊長は静かにうなずき、
「様子を見よう。どこまで持ちこたえられるか。」
彼らの観察によると、その狩人チームは三人の前衛と二人の後衛で構成されていた。前衛には二人の大剣士と一人の大斧戦士、後衛は弓使いと魔術師だった。
彼らは赤い山突獣を囲もうとしていたが、この個体はただ攻撃的なだけではなく、執拗に南へ逃れようとしていた。退路を探しているように見えた。
時間が経つにつれ、山突獣は明らかに戦いの中で戦術の変化を見せ始めた。狩人たちの攻撃に適応し、学習しながら戦っているのがわかる。
後衛の魔術師が「火炎噴射」の呪文を唱えたが、山突獣は巧みにその攻撃を回避しながら、巨大な牙を振り回して狩人たちの攻勢を阻んだ。
そのとき、一人の大剣士が地面に魔法陣を描き、「氷花の開花」を発動。山突獣の後ろ足の一つを凍らせることに成功した。
弓使いはそれを見逃さず、素早く炎の矢を放ち、山突獣の鼻先に命中させる。矢はその熱交換器を爆発させ、ついに獣に大きな損傷を与えた。
もう一人の大剣士と大斧戦士が左右から同時に挟み撃ちにし、仕留めにかかった。
だが、勝利が目前と思われたその瞬間――
赤い山突獣の鬣の中からいくつもの小さな穴が開かれ、次の瞬間、高温の火炎がそこから一斉に噴き出した。周囲は一気に灼熱の海と化す。
大剣士は剣を盾にして火炎をしのいだが、大斧戦士は反応が間に合わず、火に呑まれて黒焦げの遺体となった。
狩人たちは一時的に混乱し、弓使いは宙に跳躍しながらもう一度熱交換器を狙って炎の矢を放った。
だがその瞬間、山突獣は全身から大量の蒸気を噴出し、矢を弾き飛ばしてしまった。
怒りの咆哮とともに、山突獣は包囲網を破って脱出し、一気に遠方へと逃走した。
狩人チームはすでに追撃できる状態ではなかった。二人が軽傷を負い、一人は命を落とした。
その光景を冷静に見つめていた「鋼鉄の心」の隊長は、間を置かずに命令を下した。
「追撃する!」
赤い山突獣は、まるで知性を持つ生物のように、傷ついた体を引きずりながらも必死で逃げていた。
すでに何度も戦闘を繰り返し、その体力は限界に近い。山突獣はそれを悟っているかのように、身を低くして瓦礫の街を疾走した。四肢は風のように素早く動き、まるで「逃走」こそが唯一の生存手段であるかのようだった。
だがどれだけ必死に逃げようとも、その先に待っていたのは、すでに配置された獲物を仕留めるための包囲網だった。
山突獣はついに、「ボンブロール市街地跡」の北の端にまで追い詰められた。
廃墟と化した都市の中、もはや逃げ場はない。四方には狩人たちの姿があった。それぞれの位置で静かに構え、鋭い目で獲物を見据えながら、致命の一撃を放つその時を待ち構えていた。
完璧な連携のもと、彼らはこの猛獣を何の障害もなく討ち果たした。
最後に、哀しげな一声を残して――赤い山突獣は、運命の無情さに屈するかのように、その巨体を力なく地面に横たえた。




