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第四の魔女:消えた痕跡  作者: Test No. 55
第1巻 - ハンター編(獵人篇)
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3. 狩りの始まり(1)

挿絵(By みてみん)

 狩獵開始


 太陽は東の地平線から高く昇り、大地を照らし、すべてを黄金色の輝きで包み込んでいた。陽光は広大な荒野を流れ、この孤立した新世界を照らしていた。

 そのまばゆい光の中、空から鋭い「キュー――」という声が響いた。

 それは部隊の斥候鷹の鳴き声であり、まるで剣が静寂を切り裂くような鋭さだった。その声は明確で急を告げるものであり、何かの命令の宣言のようだった。

 隊長は五人部隊の先頭に立ち、鷹の飛翔する姿を鋭く見つめた。そして、手を素早く動かし、的確な指示を出した。

「北東へ進め!」

 彼の声は風に乗り、五人の耳に届いた。隊員たちは即座に反応し、整然とした動きで進行方向を北から北東へと変えた。

 彼らの歩みは次第に加速し、ゆっくりとした行進から急ぎ足へ、そしてついには全力疾走へと変わっていった。蹄が大地を蹴り上げ、土煙が舞い上がる。朝の風は乱れ、隊員たちの影が陽光の下で伸び縮みし、輪郭がぼやけていった。


 この古代遺跡と未知の危険が交錯する大地では、彼らが直面するのは自然環境だけではなかった。旧人類の遺した廃墟が至る所にあり、それらの静寂な建造物や崩れかけた壁は、まるで過去の亡霊が風にささやくかのようだった。

 この遺跡群の複雑な地形と起伏は、長距離の移動を困難なものにしていた。そのため、新人類は最も狩人向きの騎乗獣――恐狼を飼い慣らした。

 恐狼は、大陸南部の寒冷地帯に生息する巨大な狼の種であり、その巨大な体格と卓越した速度で知られていた。


 人間の手によって慎重に飼い慣らされた結果、恐狼は最も信頼できる移動手段となった。その背は広く、大人二人を楽々と乗せることができ、驚異的な速度で疾走することが可能だった。

 彼らは狩猟の達人であるだけでなく、ある驚異的な特徴を持っていた。それは、毛色が季節によって変化することだった。

 未成熟の時は単色だが、成熟すると夏と冬で異なる毛色へと変化し、まるで自然の魔法が宿っているかのようだった。

 ただし、飼育は容易ではなく、通常、狩人たちは一定の距離まで恐狼を駆って接近し、それ以降は徒歩でブラックタイドに挑むのが一般的だった。

 荒野の岩場の中で、恐狼は比類なき機敏さを見せた。まるで亡霊のように巨石の間をすり抜け、四肢は優雅かつ俊敏に動いた。跳躍するたびに岩がわずかに震え、石が軽く共鳴音を発する。それはまるで、彼らの舞踏の伴奏を奏でているかのようだった。

 隊員たちはそれぞれ恐狼の背にしっかりと身を預け、疾走する狼の体温を感じながら、風を切る感覚を楽しんでいた。



 隊姐御は草の生い茂る小丘に身を伏せ、微風が彼女の鮮やかなオレンジ色の長髪を優しく撫でていた。

 彼女は高倍率の望遠鏡をしっかりと握りしめ、双眼鏡越しに遠方の目標を凝視していた。目標は低木が生い茂る区域にあり、木々の間で巨大な影が揺らめいているのがかすかに見えた。

 近くでは、隊長が手を叩き、隊員たちの注意を引いた。彼は隊員の前に立ち、毅然とした表情で言葉を発した。

「全員集合!今回の目標は鋼鎌尾蛇だ。ギルドの攻略本によると……小僧、お前が注意点を説明しろ。」

 大叔と見習いは忙しくギルドの攻略本を開き、鋼鎌尾蛇に関する詳細な情報を探し始めた。

 しかし、小僧は分厚い攻略本など必要としていなかった。彼は一歩前に出て、自信に満ちた表情で話し始めた。その語り口は明瞭かつ落ち着いており、まるでそれらの知識がすでに彼の中に深く根付いているかのようだった。

「注意しろ、鋼鎌尾蛇の尾は巨大な鎌のような形状をしており、攻撃範囲が非常に広く、しかも動きが素早い。その尾は単に素早く振るわれるだけでなく、切断攻撃も可能だ。

 もう一つ重要なのはその頭部だ。この生物の頭部内部には熱源感知システムが備わっており、煙幕などの妨害手段がほとんど効果を発揮しない。」

 小僧の言葉は鋼鎌尾蛇の特徴を一つ一つ正確に描写していた。彼の説明は明確で的確だった。

 見習いは小さくうなずき、その目には理解したかのような光がよぎった。一方、大叔は依然として攻略本をめくりながら、さらなる詳細を探し求めていた。

 小僧はさらに続けた。

「鋼鎌尾蛇の装甲は確かに頑丈だが、山突獣ほど無敵ではない。特に中部のエリアはほとんど動かないため、他の部位よりも攻撃が通りやすい。

 また、散熱器は頭部の正面下部と胴体の中央上部にあり、指令コアは頭部の上部に配置されている。」

 小僧の説明は敵の弱点や重要な部位まで詳細にわたっていた。

 彼が話を終えたとき、大叔と見習いはまだ攻略本をめくり続けていた。彼らの眉間には深い皺が寄り、小僧の知識の深さに驚き、そして感心していた。これらの情報は単なる書物から得たものではなく、長年の実践と学習による成果であることは明らかだった。

 隊長は小僧を一瞥し、満足げにうなずいた。そして、次の瞬間、彼の表情は引き締まり、真剣な眼差しで隊員たちを見渡した。

「作戦を説明する。小僧と大叔は正面から鋼鎌尾蛇の注意を引け。姐御、お前は蛇の中部に集中しろ。」

 隊長は姐御に視線を向けると、彼女は静かにうなずいた。

「土岩弾を使って鋼鎌尾蛇の中部を攻撃する。」

 隊長は続けた。

「それで奴の防御を削ることができる。見習い、お前の役目は氷属性の攻撃で頭部を狙うことだ。散熱器を完全に破壊できなくても、熱感知システムに影響を与えることはできる。」

 見習いは真剣な表情でうなずき、心の中でその指示をしっかりと刻み込んだ。氷属性の攻撃の目的は敵の感知能力を弱めることであり、一撃で仕留めることができなくても、戦況を有利にする助けとなる。

 隊長は姐御に目を向け、

「最後に、お前が鋼鎌尾蛇の防御を打ち破る役目だ。お前の大剣が勝敗の鍵を握る。」

 そう言い終えると、隊長は全員を鋭い目で見渡した。その視線は一人一人の顔に止まり、まるで彼ら全員の表情を記憶に焼き付けるかのようだった。

 そして、彼は最後に落ち着いた声で言った。

「忘れるな。狩人にとって最も重要な任務は、自身の安全を守ることだ。どれほど戦闘が激しくても、安全を最優先にするんだ。」

 隊員たちは静かに聞き入り、隊長の厳粛さと気遣いを感じ取った。全員がそれぞれ心の中で納得し、今回の任務には協力と勇気だけでなく、自らの安全を高度に重視する必要があると理解した。

 隊長の言葉は重い警鐘のようであり、戦闘中に警戒と冷静さを保つことを全員に思い出させるものだった。計画が固まり、隊員たちはそれぞれ装備を整え、迫り来る挑戦に備えた。



 その樹々の影が覆う開けた地で、隊長は手に持った杖をまるで生命を宿したかのように巧みに操り、地面に複雑な符号を刻んでいった。

 それは魔法の線が織りなす紋章であり、その一本一本が深い意味を持ち、それぞれの記号が強大な力を秘めていた。これこそが狩人たちが用いる魔法――プログラム魔法であった。


 プログラム魔法は、狩人たちが強大なブラックタイドと戦うための強力な武器であり、その名が示す通り、奥深い知識と複雑な技術を包含している。

 この魔法は駆動石を媒介として使用される。駆動石は小さな魔法エンジンのようなものであり、精神力を代償に驚異的な魔法効果を生み出すことができる。

 しかし、その力を行使することには代償が伴う。魔法を発動するたびに、術者の精神と意識が相応の消耗を受ける。これは力と代償のせめぎ合いである。

 さらに、魔法陣はその一本一本の線や記号に至るまで、詳細な術式設定が含まれている。

 隊長が地面に描いた魔法陣の内部には、無数のコードが張り巡らされていた。そのコードは術の種類、威力、範囲、持続時間など、すべての重要な情報を記録している。

 それぞれのコードは魔法効果の具体的な記述であり、通常、その複雑さは術の強さに比例する。より強力な魔法であればあるほど、必要な魔法陣はより精緻で詳細になる。それらのコードはまるで精密な機械の設計図のように、これから発動される術のすべての側面を正確無比に描き出していた。


 狩人たちの装備の中で、無色駆動石は間違いなく最も基本であり、最も重要な要素である。

  この一見普通の石は、並外れた力を秘めており、使用者の身体機能を大幅に強化することができる。特に強力なブラックタイドに直面したとき、その効果は非常に重要である。

 無色駆動石は狩人の標準装備であり、初心者から経験豊富なベテランまで、すべての狩人が身につけている。

  通常、この石はベルトやブレスレットに埋め込まれており、このデザインはいつでも簡単に起動できるようにするためのものである。また、緊急時には素早く強化状態に入ることが可能となる。


 駆動石が起動した瞬間、狩人の体内のすべての細胞が活性化され、湧き上がるような力を感じる。エネルギーが体内を巡ることで、全身の力、速度、さらには反応速度までが驚異的に向上する。

 この強化状態は「Boost」と呼ばれ、すべての狩人が備える能力である。

  任務を遂行する際、狩人たちは具体的な状況に応じて異なる強化モードを選択する。最も一般的なのは「Power up」と「Speed up」である。

「Power up」は力の向上に特化しており、狩人が短時間で破壊的な攻撃力を発揮できるようにする。一方、「Speed up」は速度の向上を重視しており、高速で移動しながら、敵の間を俊敏に駆け抜けることを可能にする。


 隊長が魔法陣の最後の一筆を描き終えると、彼は静かにその場に立ち尽くし、戦闘の開始を待っていた。


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