12.祖母の家へ(1)
前往奶奶家
「いやーーーっ!やめて!!」
ラフィールは叫び声を上げた。恐怖と絶望が入り混じったその声は、彼の心の混乱をそのまま映し出していた。
意識よりも早く身体が反応し、椅子から跳ねるように飛び上がると、階段へと駆け出した。足取りはおぼつかないが、必死に上を目指して走る。ドアノブを乱暴に掴み、一気に捻って——「バン!」という音とともに、自分の部屋に閉じこもった。
鍵をかけ、さらに補助錠もかける。ラフィールはドアにもたれかかるようにして床に座り込み、冷や汗が額を伝った。頭の中はぐちゃぐちゃで、まとまりがつかない。
昨晩、影姉が言った言葉が、まるで心の中で炸裂した爆弾のように、ラフィールを混乱の渦に叩き込んだ。彼は今までこんな感情を抱いたことがなかった——恐怖、不安、そして言葉にできない感情。人生で初めての不眠だった。
その言葉が何度も頭の中を行き来し、波のように押し寄せてくる。天井を見つめながらぼんやりと過ごし、寝返りを打ち続け、目を大きく見開いたまま、一晩中眠れなかった。思考は止まらず、まるで荒れ狂う海のようだった。
長く苦しい夜をようやく越え、ようやく少しずつ考えを整理し始めた。
だが、影姉の予想に反して、今回ラフィールは父に助けを求めることはしなかった。
——自分で向き合うと決めたのだ。
朝になり、彼はベッドから起き上がると、何かを決意したような表情を浮かべた。顔を強くこすり、深く息を吸って、無理やり気持ちを奮い立たせ、階段を一歩一歩降りていく。
心のどこかで、かすかな希望を抱いていた。
もしかしたら、何も変わっていないかもしれない。朝食の匂いが、安心を与えてくれるかもしれない。
だがその「かもしれない」は、食卓でのたった一言によって、あっさりと打ち砕かれた。
「決まったよ、ララ。」
トムリンの低く重い声には、一切の余地がなかった。鋼のような落ち着いた口調で続ける。
「お前をおばあちゃんのところへ送って、訓練を受けさせる。」
ラフィールは父の言葉に呆然とし、顔から血の気が引いていく。口を開けたまま、何も言葉が出てこない。
世界の色が一瞬で消え去った。ただ、あの二文字だけが、脳内で何度も反響していた——
「おばあちゃん」。
正直に言って、ラフィールのこれまでの生活は、まるで優しく包まれた泡の中にいるかのように、大切に守られてきた。
両親も、影姉も、そして周囲の人々も、彼が少しでも傷つかぬよう、できる限りの優しさで彼を包み込んでいた。
彼の世界は、安心と温もりに満ちていた——まるで夢のような世界だった。
ラフィールにとって、それが「日常」だった。自由で、穏やかで、美しい時間。
しかし、その柔らかな泡の外側には、一人の冷たい氷のような存在がいた。厳しく、冷酷で、まるで冬の吹雪のような人——
それが、彼の祖母「アメリン」だった。
彼女が住んでいるのは、世間から隔絶された山の中の村——「引退した狩人たちの村」だ。
その村は地図にも載っておらず、外の人間が辿り着くのは極めて困難だった。そこには、現役を退いた老いた狩人たち、行き場のない孤児たち、そして社会に見捨てられた流浪者たちが住んでいた。
その中で、アメリンは絶対的な威厳を持っていた。
彼女は子どもたちに教えを授ける役割を担っており、基本的な生活技術から読み書き、さらには狩人になるための訓練まで、あらゆる教育を一手に引き受けていた。
トムリンは数ヶ月おきに、その辺鄙な村へと向かうことがあった。時にはイヴェットを連れて、時には一人で向かっていた。
しかし、ラフィールにとって本当に恐ろしいのは、父が家を空けることではなかった。
それは——自分自身も、その村へ連れていかれる数回のことだった。
出発が近づくたび、彼は泣き叫び、懇願し、ありとあらゆる手段で父に残してもらおうとした。
けれど、すべては無駄だった。
理由は一つ。アメリンの威厳は、時間も血縁も超えていたのだ。
すでに狩人を引退して久しいというのに、彼女が醸し出すあの圧倒的な威圧感は、今もなお人々の息を詰まらせる。
トムリンもイヴェットも、彼女の前では常に言葉を慎み、慎重に振る舞っていた。彼女の地雷を踏まぬよう、常に神経を尖らせていたのだ。
ラフィールは枕を頭にぎゅっと押し当て、全身の力を込めて、外の音も、怒りも、恐怖も遮断しようとした。
「クソ親父……それに、あの意地悪な女……!二人して、俺を地獄に突き落とそうとしてるんだ!」
彼の怒鳴り声は枕に遮られて、くぐもった低音となって空気中を震わせ、部屋に反響した。部屋の中は蒸し暑く、息苦しささえ感じられた。まるで空気そのものが彼に牙を剥いているようだった。
外では、ノックの音がしばらく続き、やがて静かになった。
その音には、父の穏やかさと、どこか諦めのような無力感がにじんでいた。ラフィールは枕の下から顔をのぞかせた。まるで水面から浮かび上がった溺れかけの人のように、貪るように静けさを吸い込んだ。
ベッドの端に座り、ぼんやりと部屋を見渡す。そして、心の中に一つの強い決意が芽生える。
——絶対に行かない。
——おばあちゃんのところなんて行ったら、きっと生き地獄だ!
心の中で思考が渦巻き、「絶対に屈しない」という言葉が顔中に書いてあるかのような表情をしていた、まさにそのときだった。
父とは異なる、鋭く軽快な足音が、廊下から聞こえてきた。氷の上を刃が滑るような、冷たく鋭いリズム。
次の瞬間、冷酷で澄み切った声が、ドア越しに突き刺さってきた。それはまるで呪いの一言のようだった。
「ラフィール、三秒あげる。出てこないなら……その部屋、二度と開かなくていいわよ。」
——あの女、イヴェットだった。「意地悪な女」本人。
恐ろしい記憶が一瞬で蘇る。彼女は以前にも、本当にそんなことをやったのだ!
ラフィールはぞっとし、反射的にベッドから飛び起きて、三歩を二歩で踏み越える勢いでドアの前へと駆け寄った。
ドアを開けた瞬間、イヴェットは口元に得意げな微笑みを浮かべ、優雅に顔をトムリンへと向けた。
「あとは、あなたたち父子にお任せするわ。」
その声は柔らかいが、まるで判決の鐘の音のようだった。
その後の時間、トムリンの声が、ラフィールの耳元に静かに響き始めた。
「ララ、分かってほしい。これはお前の安全のためであり、将来のためなんだ……」
「自分の身を守る術を学び、本当の強さが何かを知る必要がある……」
「おばあちゃんは、お前を傷つけるためじゃない。成長させるためなんだ……」
父の言葉には誠実さがあった。心から語っているのも分かった。
けれど、それは何千倍にも薄められた砂糖水のように、味気なく、心に響かなかった。
ラフィールの視線は壁の時計へと向いた。秒針が音もなく動いており、父の長い説教よりもよほど面白く見えた。
すると、そのとき、不意に彼の腹が「グゥ」と鳴った。
まるで、長話に対する抗議のように。
その瞬間、ふわりと香ばしい匂いが漂ってきた。
イヴェットが彼の背後を通り過ぎ、手に持ったスープの器から、食欲をそそる香りが部屋いっぱいに広がった。
彼女は落ち着いた足取りで歩きながら、淡々と一言、言い放った。
——その言葉は、ラフィールの心に雷のように落ち、胸の奥にまっすぐな傷跡を残した。
まるで雷に打たれたように、彼はバッと立ち上がり、声を上げた。
「行く!!」
空気が一瞬止まった。
トムリンはまばたきをし、反応が遅れたようだった。
「行くって言ったんだよ!」
ラフィールはもう一度繰り返した。今度は、さっきよりずっとはっきりと、強い声で。
その瞬間、一つの思いが心の中で爆ぜた——
そうだ、イヴェットの言うとおりだ。強くて美しい女は、弱い者になど振り向かない。
そして自分は——もう守られるだけの存在にはなりたくない。「ガラスの人形」なんて、まっぴらだ。
強くなりたい。誰にも無視されないほどに。
次の瞬間、ラフィールはダイニングへと駆け出した。
彼の脳裏には、こんな光景が浮かんでいた——
狩人の装束に身を包み、狩猟刃を手に、戦場の中心に立つ自分。その遠くには影姉がいて、誇らしげで優しい笑顔をこちらに向けている。
「僕が強くなれたなら……運命を、自分の手で切り拓ける。きっと——君を迎えに行ける。」
その想いが、心の中で火のように燃え上がり、これまでの恐怖も怒りもすべてを焼き尽くした。残ったのは、揺るぎない足取りだけだった。
その日は晴天だった。青空にぽっかりと浮かぶ雲はどれも白くてのんびりしていて、陽光がやわらかく地面を照らしていた。
まさに旅立ちにふさわしい、穏やかで暖かい一日だった。
トムリン一家は城門の前で、見慣れた都市の景色に別れを告げ、生い茂る緑の草原を迎えた。春の香りが透明な空気の中に溶け込み、心を晴れやかにしてくれるようだった。
二台の馬車がゆっくりと城門をくぐり抜けていく。
先頭の馬車には、トムリンとその息子ラフィールが並んで座っていた。
トムリンは穏やかな表情で、今回の旅を楽しむように景色を眺めていたが、ラフィールはどこか沈んだ顔で、内心には葛藤と疑問が渦巻いていた。
二台目の馬車には、荷物がぎっしりと積み込まれていた。重そうだが安定した動きで、馬車の車輪が道をこすれる音が、かすかに響いていた。
前方では、イヴェットが彼女の騎獣である恐狼「モーラ(Mola)」に騎乗していた。
モーラは大柄で、真っ白な毛並みを持ち、踏みしめるごとに力強さを感じさせた。
イヴェットは優雅な姿勢で大地を見据え、まるでこの地の守護者のような気配を漂わせていた。
彼女のそばには、彼女の兄が静かに並走しており、真剣な面持ちで旅の安全を黙々と見守っていた。
馬車の後方には、二人の護衛が馬に乗っていた。彼らは周囲を鋭く見渡しながら、警戒を怠らずに隊列を守っていた。馬蹄の音が、静かな草原に不安と決意の響きを残していた。
馬車の中で、ラフィールは隅に身を寄せ、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
彼の目はどこか遠くを見ており、内心では「この道を選んでよかったのか」と自問自答を繰り返していた。
春の美しい風景は、彼の不安な心を癒やしてはくれなかった。
そんなラフィールの様子に気づいたトムリンは、息子を励まそうと口を開いた。
「ララ、訓練が終わったら、もしかしたらお前もオットーおじさんのような立派な英雄になれるかもしれないぞ。」
その言葉には、息子への信頼と期待が込められていた。
ラフィールはそれを聞いて、目を輝かせた。
脳裏に、未来の自分の姿が浮かび上がってくる——華やかな鎧を身にまとい、颯爽と戦場を駆ける、自信に満ちた姿。
まだ多少の不安は残っていたが、その夢のような光景が、彼の気持ちを少し軽くし、これからの旅路にわずかな期待を抱かせてくれた。
マルキス城を出発してから、馬車での旅はおよそ三日を要する。
この道のりは曲がりくねっており、風景も刻々と移り変わる。
特に北西部の山岳地帯に差しかかる頃には、道がますます人目から隠され、周囲の景色も次第に寂しくなっていった。
その道はほとんど人が通ることもなく、まるで時の彼方に忘れ去られたような場所だった。
旅の終着点は、「引退した狩人たちの村」と呼ばれる小さな集落である。
この村の歴史はそう長くはない。もともとは目立たない山間の集落に過ぎなかった。
だが、アメリンがやってきてから、村は次第に変わっていった。
正確に言えば、すべての実務を担っていたのは、彼女の息子であるトムリンだった。
彼は村の運営全般を手がけ、障がいを抱えた引退狩人の救済や、マルキス城で行き場をなくした孤児の受け入れも担当していた。
さらには村の修繕や発展もすべて彼の手によるものだった。
一方のアメリンは、彼女の大好きな仕事——子どもたちへの教育と、狩人の訓練——に全力を注いでいた。
彼女は村で穏やかに暮らしながら、自らの得意とする分野に没頭していた。
この大陸において、「狩人」という職業は、かつてのゴールドラッシュのような存在だ。
危険も大きいが、それだけに見返りも大きく、多くの若者がこの道に夢を託していた。
だが、光が強いほど、影もまた深い。
多くの狩人は公会が運営する訓練クラスに参加するが、それらのクラスは人であふれており、個々の指導が行き届くことは稀だった。
そのため、そうした新米狩人たちが黒潮と対峙した際の死亡率は非常に高かった。
一方で、マルキス城にある狩人養成機関で訓練を受けた者はごくわずかであった。
彼らはまだ年若いが、少なくとも一年以上の厳しい訓練を積んでおり、黒潮と対峙する際にもより成熟した姿勢で臨める。
時間はかかるが、その分生存率も高まる。
そんな厳しい教育こそが、ラフィールがこれから受けようとしているものであった。