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第四の魔女:消えた痕跡  作者: Test No. 55
第3卷下 - 政変編
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14.最強戦力の参戦

挿絵(By みてみん)

 最強戰力加入


 アメリンは部屋の中央に一人座り、重厚なカーテンが外の世界の光を遮断し、わずかなろうそくの炎だけが彼女の影をゆらゆらと揺らしていた。彼女はゆっくりと柔らかいクッションが敷かれた床に膝をつき、動作は少しぎこちなく、まるでこれまで一度もそんな姿勢を取ったことがないかのようだった。

 膝がクッションに触れた瞬間、彼女の眉がわずかに寄せられ、慣れない様子だったが、それでも耐え忍んだ。

 彼女は頭を下げ、両手を合わせ、目を閉じ、唇から小さな呟きが漏れ始めた。

「もし太陽神が本当に存在するなら、私の疑問に答えてください。」

「……」

 短い言葉の後、部屋は死のような静寂に包まれ、ろうそくの弱い光さえも場違いに感じられた。返事はない、奇跡もない。ただ静けさが彼女を囲み、彼女の信仰と迷いを嘲笑うようだった。

 アメリンは突然、小さく笑った。その笑いは低く淡く、少しの自嘲を帯びていた。

「本当にばかばかしい。」

 彼女は静かに言い、それまで保っていた中途半端な敬虔な姿勢を崩し、体を緩めてクッションに胡坐をかき、長いため息をついた。

「一生、手に持った槍だけを信じてきた私が、今さら神に祈りを捧げるなんて、どうして太陽神の理解を得られるはずがあるの?」

 彼女はクッションに座り、視線を薄暗いろうそくの炎に向けた。過去の記憶が潮のように心に押し寄せ、彼女の目は深く、重く沈んだ。


 かつての王朝が滅亡した後、この大陸では共通の合意が生まれた:神への信仰は絶対に許さない。

 アメリンは常に理性和現実を信条とし、曖昧模糊とした神々に一瞬たりとも心を無駄に費やしたことはなかった。しかし、最近の政変事件は、孫のラファエルに一筋の道を探さざるを得なくさせた。

 縁あって、彼女は太陽神教に触れた――この大陸全体で厳しく禁じられた宗教だ。それでも、アメリンの信仰は時折思い浮かべるだけの短い祈りに過ぎず、本気で身を捧げるものではなかった。


「あなたは、どうして?」

 アメリンは空っぽの部屋を見つめ、低い声にわずかな憤りを込めて言った。

「私の息子は一生、この腐った街のために奔走したわ。私は断言する、幼い頃に彼が提案したハンター計画がなければ、今のマルキス城なんて存在しない……このクソ野郎ども。」

 彼女は冷たく鼻を鳴らし、言葉には過去への憤りと不満が満ちていた。

「トムリンは、ただハンターになれる健康な体を持っていなかっただけなのに……」

 彼女の口調は徐々に柔らかくなり、その言葉が心を重くしたようだった。言いながら、頭を少しずつ下げ、鉄灰色の長い髪が落ち、怒りと不満に満ちた表情を覆い隠した。

「すべて私のせい……もし私がトムリンを健康に産み落とせていたら、彼はこんなに軽蔑され、不公平な目に遭わずに済んだのに!」

「……」

「話してよ!」

 アメリンは突然叫んだが、部屋は依然として墓のように静かで、ろうそくの炎だけがぱちぱちと揺れ、冷淡な傍観者のようだった。


 彼女は長い間黙り込み、再び膝をクッションに下ろした。頭を下げ、両手を合わせて、声には懇願の色が滲んだ。

「太陽神、どうか私の孫、ラファエルを守ってください。彼に大富大貴な人生なんて望みません。ただ、平穏無事に一生を過ごしてほしい。この試練を乗り越えられるよう、どうかお願いします……」

 言い終えると、彼女は不慣れな動きで深く身を伏せ、両掌を床につけ、額を冷たい木の床に軽くぶつけた。

「お願いします。」


 アメリンが祈りに没頭していると、外から足音が聞こえ、続いて軽いノックの音がした。

「先生、来客です。」

 アメリンは顔を上げ、眉をわずかにひそめた。

「こんな時間に、誰だ?」

 外にいた女子学生が来訪者の名前を告げると、アメリンの目は一瞬輝き、陰鬱に覆われていた顔にようやく一筋の光が差した。



 しばらくして、アメリンは別の部屋に移った。そこには数脚の木製の椅子があり、彼女の髪はすでに整えられ、優雅に頭にまとめられていた。

 ドアの前には背の高い男性が立っていた。歳月の痕跡が彼の体に斑を残していたが、その目は依然として鋭く輝いていた。彼は軽く身をかがめ、片膝をつく礼をしようとしたが、アメリンは急いで前に進み、その過度に形式的な礼を止めた。

「久しぶりだね、アメリン婆さん。」

「ナズ様、そんな呼び方はやめて!」

 目の前にいるのは、イヴェットの兄――ナズ(Naz)だった。

 彼は妹と同じ深紅の髪を持ち、布で無造作に後ろで束ねていた。髪には白い筋がいくつか見え、顔の皺と長い傷痕は、時間と戦闘が織りなした証のようだった。

 彼の服は質素だが品格を失わず、やや古びた武士道の装いが、彼のナズ家の継承者という身分を明確に示していた。そう、イヴェットの家族はナズ姓なのだ。

 若い頃、ナズはハンターの道に興味を示さず、単身旅に出て、十年をかけて剣技を磨いた。 家族に戻ったとき、彼はすでに七品の剣術宗師となり、戦国の剣術指導者に任命された。その日から、家族は彼の名を姓とした。

 だが、栄光は長くは続かなかった。一度のクーデターが家族の輝きを破壊し、ほぼ全員が命を落とした。ナズはおそらく最後の生き残りだった。


「こちらに座って。」

 ナズはアメリンに従って席に着いた。

「婆さん、もう『様』なんて呼ばないでくれよ。俺はもうその立場を退いてるんだから。」

 アメリンは小さく微笑み、目の前のナズをじっくりと見つめ、視線には安堵と好奇心が混じっていた。

「世界中を旅してるって聞いてたけど、なんで急に帰ってきたの?」

 ナズは引退後、結婚も子作りもせず、放浪を続けた。格好良く言えば世界を巡る旅だが、実際は束縛を嫌う性格ゆえだった。このことで、イヴェットの両親から不満を聞かされた彼女は何度も愚痴っていた。

「家でこんな大事が起きて、俺が黙って見過ごせるわけないだろ?」

 ナズは軽く微笑み、口調は穏やかだったが、その目に宿る光は内心の波立ちを隠しきれなかった。

「素晴らしい! 君の助けがあれば、俺たちの自信もぐっと増すよ。」

 アメリンは感慨深く言い、声には心からの喜びが滲んでいた。

「婆さん、褒めすぎだよ。俺はただの引退した剣術指導者さ。」

 ナズは控えめに手を振って、謙遜した表情を見せた。

「それでも、かつて七品の剣客だったんだからね!」

 アメリンはわざと反論し、口調には冗談の色が混じっていたが、それ以上に尊敬の念が込められていた。

 ナズは豪快に笑い、爽やかな笑い声が部屋に響き渡った。

「それは昔の話さ。今じゃ若者に敵わないよ。」

 彼の笑い声は穏やかで、誇示することも、悲しみに浸ることもなかった。性格の豪放さか、あるいは生と死をすでに達観しているのか、彼の目には悲しみの色は微塵もなく、家族の滅亡に対する深い感慨も見せなかった。


 その後、アメリンはゆっくりと計画を一つずつ説明し、ナズは真剣に耳を傾け、時折提案や質問を挟んだ。二人は長い間話し合い、ドアは固く閉ざされていたが、幾多の試練をくぐり抜けてきた者として、彼らの耳は常に警戒を怠らなかった。

 その時、廊下から足音が響き、遠くから徐々に近づいてきた。リズムは落ち着いて緩やかだった。二人は一瞬視線を交わし、すぐに話を止め、部屋は一瞬にして静寂に包まれた。

「コン!コン!」

 澄んだノックの音が短い静けさを破った。

「そのまま入ってきなさい。」

 アメリンは落ち着いて言った。

 ドアがそっと開き、少年が頭を覗かせた。

「婆さん、俺だよ。」

 アメリンは足音だけでそれが孫のラファエルだとわかり、彼の到着を予期していた。彼女はドアの方へ手招きし、入ってくるよう促した。

「婆さん、さっき俺を――」

 ラファエルは部屋に入りながら口を開いたが、言葉は途中で止まった。彼の視線が部屋にいる見知らぬ男に落ち、足を止め、目に困惑が浮かんだ。彼は首を傾けて婆さんを見、紹介を待った。

 だが、見知らぬ男は自ら進み出て、穏やかな笑みを浮かべて言った。

「こんなに大きくなったなんてな、ラファエル。」

 ラファエルは一瞬呆け、眉を少しひそめ、戸惑いを含んだ声で言った。

「え……?」

 彼は本能的に婆さんの方を見、答えを求めた。

 アメリンは軽く咳払いをして、気まずい雰囲気を破った。

「彼はイヴェットの兄貴、つまりお前の舅父――ナズだよ。」

 その名前を聞いた瞬間、ラファエルの気楽な態度は一変し、警戒心が芽生え、体が無意識に緊張した。

「ナズ家の……ナズ?」

 彼の声は思わず低くなり、強い驚きが滲んでいた。

「俺のこと、覚えてないだろ?」

 ナズの口調は依然として親しげで、彼は一歩進み出て、ラファエルの肩を軽く叩いた。

 ラファエルの目はまだ疑問に満ち、半歩後ずさりながら尋ねた。

「前にナズ舅父に会ったことある?」

「その時……お前はまだ赤ん坊だったかな。」

 ナズはそう言い、口元に穏やかな笑みを浮かべた。

「なるほど……だから覚えてないんだ。」

 ラファエルは頭を掻き、声に少し安堵が混じったが、なお一抹の距離感を保っていた。

「立ったままじゃなく、座って話そう。」

 アメリンが手を振って言った。


 席に着くと、ナズはラファエルをじっと見つめ、その熱心な視線にラファエルは少し居心地悪そうに身じろぎした。

「その金色の目は、まるで君の母さんのようだ。」

 ナズがついに口を開き、声には一抹の感慨が込められていた。

 ラファエルは気まずそうに人差し指で頬を掻き、視線を逸らして小さな声で答えた。

「俺、イヴェットの……母親の実子じゃないんだ。」

 相手がイヴェットの兄であることを意識し、敬意を欠かさないよう、わざと「母親」とイヴェットを呼んだ。

 ナズはそれを聞いて軽く微笑み、穏やかな口調で言った。

「君の生母が誰かは知ってるよ。俺が言ってるのは君の生母のことだ。」

「彼女を知ってるの?」

 ラファエルは勢いよく顔を上げ、目には驚きと期待が溢れていた。彼は木の椅子から飛び上がりそうになったが、アメリンがそばにいなければ、感情を抑えきれず立ち上がっていたかもしれない。

「落ち着けよ。」

 ナズは手を上げ、なだめるように軽く振って、口元に微かな笑みを浮かべた。まるで美しい過去を思い出しているようだった。

「メクロには魅力的な金色の瞳があった。そこは君とよく似てる。誰もそのことで君を疑わなかったのか?」

「ふん。」 アメリンが冷たく鼻を鳴らし、声にわずかな不満が滲んだ。

「とにかく、隔世遺伝だと言って、うちのじいさんに押し付けておけばいいのさ。」

 ナズは低く笑い、視線をラファエルに戻して補足した。

「幸い、君の茶色の髪はトムリンから受け継いだものだな。それが大いに役立った。少なくとも目立ちすぎることはない。」

 ラファエルは我慢できず口を挟んだ。

「ナズ舅父、俺の生母のことをもっと教えてくれない?」

 彼の声には強い好奇心が込められ、目は輝き、普段の気だるい様子はまるでなかった。


 ナズは軽く頷き、両手を膝の上で組み、しばらく考え込んでから口を開いた。

「彼女とは戦国で知り合った。俺は当時、六品で足踏みしてて、剣術がどうしても突破できなかった。彼女の助言と手助けがあって、ようやく進展できたんだ。彼女は俺の人生の恩人だよ。」

 そう言うと、彼は手を上げて顎の髭を軽く掻き、目を細め、口元にほのかな笑みを浮かべた。まるでその過去を懐かしむように。

「そこまで!」

 アメリンが冷たく割り込み、容赦なく雰囲気を現実に引き戻した。彼女の視線は二人を鋭く見据え、口調には議論を許さない確固たる響きがあった。

「今日の重点は計画をしっかり決めること。明日から行動開始だ。」

 ナズとラファエルはすぐにそれまでの表情を収め、顔つきが急速に真剣になった。先ほどの懐かしい温かさは、今の責任感に取って代わられた。



 旧王朝の時代、種族政策は越えられない鉄の掟として、すべての臣民の生活に深く刻み込まれていた。

 日誉王朝の核心種族は「日光種」と呼ばれ、太陽の金色と黄色を象徴していた。彼らはこの大陸の支配者であり、社会の頂点に君臨していた。

 次に、髪や目にわずかでも金黄色が含まれていれば、たとえ混血の痕跡があっても、平民の範疇に分類され、基本的な公民権を享受できた。しかし、その「栄誉」もそこまでだった。

 残りの四大種族は、完全に排除されていた。

 彼らは月亮種――雪のように白い特徴を持つ者、黒曜種――深く漆黒の気質を帯びた者、天青種――碧空のような青さを放つ者、そして焰紅種――炎のように燃える者たちだった。

 彼らは公民権を得られず、日光種の栄光を共有することなどなおさらできなかった。これらの種族とその混血の後裔は、辺縁の異端と見なされ、生存の基本的な権利さえ奪われ、王朝の影の中で生きる運命だった。


 この極端な種族政策は、ついに王朝の衰亡の導火線の一つとなった。暴政と抑圧の中で、旧王朝は轟然と崩れ去った。大陸の未来は廃墟から生まれ変わった。新しい秩序が築かれた後、旧時代の偏見に代わり、新たな合意が生まれた――すべての種族は平等であり、差別はない。

 新時代の進展とともに、純血の概念は徐々に薄れていった。意図的に純血を保つ少数の家系を除き、ほとんどの人々は混血種となった。彼らの特徴は単一の種族に定められるものではなく、多様な血統が融合し、時には隔世遺伝で遠い祖先の痕跡が現れる者もいた。それらはもはや異端とは見なされず、大陸の多様性の象徴となった。

 この大陸は融合の中で新たな均衡を見出し、過去の偏見は歴史の枷として、永遠に過去の章に封じ込められた。

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