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第一部 三章 無明を照らす灯火 希望の光2

フローレンスさんは、長旅の疲れも見せず、すぐに父さんに案内されて負傷者が集められている集会所へと向かった。その表情には、初めての任務への緊張と、人々を救いたいという強い使命感が浮かんでいた。


集会所の中は、呻き声と薬草の匂い、そして絶望的な空気が充満していた。フローレンスさんはその光景に一瞬顔を曇らせたが、すぐに気を取り直し、集まった村人たちに向かって静かに言った。


「皆さま、お辛いでしょう…。私が来たからには、必ずアストライア様がお救いくださいます。まずは、一番お加減の悪い方から診させていただきます」


その言葉に、村人たちの視線が一斉に集会所の隅に向けられた。そこには、顔面蒼白でぐったりと横たわる母さん(ゲルダ)の姿があった。


「巫女様、どうか…! ゲルダを…! うちの隊長を助けてやってください!」

「あいつがいなけりゃ、この村は…!」


村人たちが口々に懇願する。母さんは、その強さと人柄で、村のみんなから深く慕われているのだ。

フローレンスさんは静かに頷くと、母さんの枕元にひざまずいた。父さんとカイア兄さん、そしてミアも、心配そうにその後ろに付き添う。僕も、固唾を飲んでその様子を見守った。


フローレンスさんはまず、母さんの額や手首にそっと触れ、その容態を注意深く診察しているようだった。眉を寄せ、小さく首を傾げるような仕草を見せる。


(何か、おかしいのかな…?)


僕が不安に思っていると、フローレンスさんは目を閉じ、両手を母さんの胸の上で合わせた。そして、低く、しかし澄んだ声で祈りの言葉を紡ぎ始めた。それは僕の知らない、古い響きを持つ言葉だった。

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