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第一部 三章 無明を照らす灯火 ノアの戦い6

指先に光を灯した時のように、精密な制御を心がける。暴走させないように、母さんの体に負担をかけないように、細心の注意を払って。

それは、気の遠くなるような作業だった。

少し試しては休み、また試す。僕自身の体調も万全ではないため、すぐに疲れてしまう。マナを使いすぎると、また自分が倒れてしまうかもしれない。そのギリギリのところで、何度も何度も繰り返した。


「ノア兄様、大丈夫…?」

そばで見ていたミアが、心配そうに僕の顔を覗き込む。


「うん、大丈夫だよ」

僕は妹を安心させるように微笑んだ。


「ミア、こっちの濡れタオルを替えてくれるかな? あと、母さんの口が渇いているみたいだから、少しだけ水を…」


「うん、わかった!」


ミアは健気に、僕の指示に従って母さんの看病を手伝ってくれた。僕がマナを操作している間、ミアは母さんの額の汗を拭いたり、唇を湿らせたり、小さな手で一生懸命に看病を続けてくれた。僕たち兄妹の姿を見て、周りの大人たちも、少しだけ励まされたような顔をしていた。


父さんと兄さんが帰ってくるまで、僕は母さんに付きっきりで、この未熟な「治療魔法」の試行錯誤を続けた。効果があるのかどうか、正直分からなかった。でも、諦めずに続けているうちに、ほんの少しだけ、変化が見られたような気がしたのだ。


母さんの呼吸が、以前より少しだけ穏やかになったように感じられた。顔色も、ほんのわずかだが良くなったような…? 腫れていた腕の打ち身も、少しだけ引いたように見えた。


(もしかして…効いてる…?)

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