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第一部 序章 病弱な少年と、村の守り神3

祭壇とは対照的に、像そのものは屋根ひとつない場所に無防備に立ち尽くし、雨ざらしになっていた。


長い年月、強い日差しや風雨に直接さらされてきたのだろう。鈍い金属光沢を放つ体は、錆や苔でまだらに覆われ、雨垂れの跡が黒い筋となってこびりつき、あちこちが酷く損傷していた。片腕はだらりと垂れ下がり、指らしき部分はいくつか欠けている。胴体には大きな亀裂が走り、元は滑らかな曲線を描いていたはずの装甲は歪み、所々が剥がれ落ちて内部の複雑な機構のようなものが僅かに覗いていた。まるで、戦場で打ち捨てられた古い鎧か、あるいはどこかの宮廷で使われていたのかもしれない、壊れた大きなからくり人形のようにも見えた。


俯いた顔(のように見える部分)も、かつては整った直線で構成されていたのだろう面影はあるものの、今は傷だらけで表情はうかがえない。後頭部あたりには、歪んで錆びついた金属製の輪っかが辛うじてくっついていて、まるで壊れた天使の輪のようだ。


(やっぱり、酷い状態だな……。雨風を避けられる場所があればいいのに……)


そんなことを思いながら見つめていると、村の人たちとは違う感情が、僕の胸の中でむくむくと湧き上がってくるのを感じた。

それは、強い好奇心だった。


この像は、一体何なんだろう?

誰が、何のために、これを作ったんだろう?


敬意とは別に、どうしても知りたいという気持ちが抑えきれなくなってくる。頭の中の“記憶の断片”が、ざわざわと囁きかける。これは、ただの像じゃない。もっと何か、特別なものなんじゃないか?

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