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第一部 三章 無明を照らす灯火 マナ3

必死に記憶の断片にすがる。規則正しいもの、変わらない法則のイメージ…。

その時、ふと、以前とは違う種類の記憶が頭をよぎった。


記憶の断片が僕に語りかける

(物事の本質に迫るにはまず対象物の詳細な調査と観察、そして自分なりの仮説を立て、それに基づき計画を立て実行する。実行した反省点を次に活かしまた計画を立て実行する。この繰り返し。良く考えろ。)


僕は苦しみながら必死に考える。

そう...マナとは...水が静かに流れる様子…いや、もっと複雑だ。流れの速さ、管の太さ、抵抗、粘り気…それらが複雑に絡み合って、流れが滑らかになったり(そう、それは層流だ)、渦を巻いて乱れたり(それは乱流だ)と仮定する…。

体の中のマナの流れも、これと同じように考えられるんじゃないか? 無理やり抑えつけるんじゃなくて、流れを整えるように誘導すれば…。...確かレイノルズ数の公式は...何が関係していた?。頭の中で、必死にそのイメージを組み立てようとする。


別の断片が重なる。光る線、流れる粒…マナの圧力が電圧とするなら量は電流?…。マナの大きさを電力とするなら、その二つの掛け算…。体への負担は、流れ込むマナの量だけでなく、その勢いにも関係があるのか? なら、入り口を狭めて勢いを抑えるとか、あるいは別の経路に分散させるとか…。直流と並列...。電力の公式は...。なかなか上手くイメージできない...。


さらに別のイメージ。波紋が広がるマナの水面。ぶつかり合う波。そうだ、波は重ね合わせることができる。もし、体の中で暴れるマナが不規則な「波動」だとしたら?。もし進む方向が異なる波が重なり合ったイレギュラーな三角波が身体の中で影響しているなら、それとちょうど逆の形である逆位相の波をぶつけてやれば、打ち消し合って静かになるんじゃないか…?

でも、どうやってそんな都合のいい波を作る…?波動方程式を利用して...。


夢うつつの中、僕は必死だった。断片的な知識を総動員し、自分の体の中で起こっている現象を理解し、抑えようともがいていた。それが正しいのか、効果があるのかも分からないまま、ただ「死にたくない」という一心で、様々なイメージを試し続けた。



どれくらいそうしていただろうか。

次に気がついた時、窓の外は明るくなっていた。

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