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第一部 三章 無明を照らす灯火 マナ2

ただ、頭の中の記憶の断片のどこかに、「こうすると落ち着く」「集中できる」という感覚があったからだ。そうして静かに座っていると、不思議と周りのざわめきが遠のき、自分の内側に意識が向かう。ドクンドクンと脈打つ心臓の音、ゆっくりと繰り返される呼吸、そして、体の中を巡っているような、温かいような、ピリピリするような、微かなマナの流れ……。


それを感じ取り、制御しようと試みる。暴走するマナの濁流を、穏やかな小川の流れに変えるように。意識を集中し、「落ち着け、静まれ」と念じる。発作の時に記憶の断片にすがった時のように、規則正しいイメージを思い浮かべる。

すぐに効果が出るわけではないけれど、これを続けていると、ほんの少しだけ、体の中の嵐が鎮まるような気がした。


ただ、気になることもあった。最近、父さんや母さんが狩りから帰ってきた時に、「森でのモンスターとの遭遇が増えた気がする」「なんだか、前より凶暴になっているような…」と話しているのを何度か耳にしたのだ。気のせいならいいけれど、少し胸騒ぎがした。



そういえばあの夜、両親の会話を聞いてしまった後、僕はまた熱を出して寝込んでしまった。

「10歳の壁」という言葉が頭から離れず、不安と焦りが体の不調を増幅させたのかもしれない。

朦朧とする意識の中、僕はまたあの苦しみに襲われた。体の中でマナが暴れ狂い、全身が軋むように痛む。死の恐怖がすぐそばまで迫ってくる感覚。


(いやだ…! 死にたくない…! まだ…!)

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