第一部 二章 光る輪 日常4
前回の発作ほどではないけれど、体が鉛のように重く、熱っぽくて息苦しい。目を開けているのも辛くて、僕は自分の部屋のベッドで一日中横になっていた。
意識が朦朧とする中、遠くで父さんと母さんの話し声が聞こえてきた。僕を心配して、様子を見に来てくれたのだろうか。聞くつもりはなかったけれど、その内容は僕の耳に嫌でも届いてしまった。
「……あの子、最近少し元気になったと思ったのに……やっぱり、ダメなのかしら……」
母さんの声は、いつもの力強さがなく、か細く震えていた。
「……村のお医者様が言っていたわ……マナ過敏症の子は、体が成長するにつれてマナの影響を強く受けるようになるから……10歳になる頃には、体が耐えきれなくなることが多いって……。ノアは、もうすぐ…」
母さんの言葉が途切れ、嗚咽のような声が聞こえる。
「……ゲルダ」
父さんが静かに母さんを諭す声。
「まだ決まったわけじゃない。ノアは強い子だ。それに、私が必ず何か方法を見つける。どんな手を使っても、あの子を治してみせる。だから、そんな顔をするな」
「でも……あなた……」
「心配するな。絶対に、大丈夫だ」
父さんの声には、母さんを励ます強さの中に、どこか悲痛な響きが混じっているような気がした。
(10歳……? 僕、そんなに長く生きられないの……?)
両親の声が遠ざかっていく。
僕は一人、暗い部屋の中で、体の痛みと、それ以上に重い不安に押しつぶされそうになっていた。熱いのか寒いのかも分からない。ただ、全身が軋むように痛み、呼吸をするたびに胸が締め付けられる。
(死にたくない……いやだ……まだ、何も知らないのに……守り神様のことも、もっと……)
苦しい。怖い。
このまま、意識が途切れてしまったら……。




