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第1話 天才"演技派"王子②

おぎゃあ…おぎゃあ…

「ミユキ様!おめでとうございます!

かわいい男の子ですよ!……」


ミコトが生まれて3年後。


「ミユキ様。」

「どうしましたか?レアーレ。」

ミユキは自分を呼んだ世話役のレアーレに優しく微笑みながら聞き返した。

「明日はミコト様の3歳のお誕生日会が催される日でございます。」

ミユキはフフッと笑いながらええ、そうですわねと微笑みながら返答する。

「先程、国王陛下の執事エッセバルトより明日の式に当たっての要項が届きまして…」

「あらあら、そこにはなんて…?」

「……明日の誕生日会ですが、ミユキ様はご参列せず、国王陛下、並びご子息の方々、第一夫人のウルティ様が各国のお客様をご対応するようにどのことでして…」

レアーレは恐る恐る伝達事項を伝え、そっとミユキの顔を覗いた。

部屋の窓際にいたミユキはフッと息を吐きながらそう…と呟いた。

「やはり…参加できませんか…」

ミユキはこの伝達に驚きはしていなかった。

「……っ!やはりこんなのおかしいです!

なんとかして式に参列できないか国王陛下に…!」

「無駄よ。レアーレ。」

しかしミユキ様!とレアーレは声を荒げるが、ミユキは首を横にふり落ち着いた声で語りかける。

「あなたが打診して変わる話なら今までだってもっと違ったはずよ…。それにそんな反論してあなたに処罰がきたらどうするの?」

レアーレはその質問に答えることはできない。

「なぜ、ミユキ様だけこんなお辛い目にあうのでしょう…」

ミユキは外を見つめまたフフッと笑う。

「きっとこれも業なのかしら…」

レアーレはこの意味深な言葉に返答はしなかった。

---コンコン。

ミユキ様。いらっしゃいますか?


ドアの外よりレアーレではない別の従者の声が響いた。

「私はここに。ご要件は?」

「ユキーナ王女が面会を希望されておりますがいかがなさいますか?」

「あらあら。ユキーナ王女が…是非お通しくださいな。」

承知いたしました。

従者がミユキの承諾を得て間もないうちにガチャとドアが開いた。

「ミユキ様ー!」

ユキーナが部屋に入った瞬間、ミユキもいらっしゃいとニコニコの笑顔で迎え入れる。

「ユキーナはいつも急に来るわね…。」

「ごめんなさい。迷惑ですか?」

フフと笑いながら「全然?。ずっといてもいいのよ?」とユキーナの頭を撫でる。

ユキーナは嬉しそうに頭の感触を楽しんでいたが、当たりに目を向けて不思議そうにする。

「ねぇ、ミユキ様?」

「どうしたの?」

「ミコトは今日いないのかしら?ミコトとも遊ぼうと思ったのに…」

「あらあら、ごめんなさい。ミコトは明日の誕生日会のお披露目の準備と練習をしてるから今はいないのよ。」

ユキーナはあ、そうだっけ!とおとぼけながら嬉しそうにする。

「ミコトももう3歳になるんだもんね!明日はミユキ様も式にはでるんだよね!?」

この質問には一瞬言葉に詰まるミユキであったが目線をユキーナに合わせ優しく語りかけた。

「ごめんなさい。明日私は参列できないの。だから当日ミコトが困ってたら助けてもらえるかしら?」

「どうして!?なんでミユキ様がこないの?

私の時も、お母様がいたし、ヒコマの時もお母様きてたよ?」

「どうしても駄目なの…だからお願い…。

ミコトを見ててもらえるかしら?」

ミユキがユキーナの手を取り優しく語りかけるとユキーナはまだ不満そうだったが首を縦に振った。

「ありがとう!ユキーナ。これで明日は安心ね。ミコト一人じゃ心配だったから!ほら、あの子ってぽけーってしてるから何かしでかすんじゃないかともう心配で、心配で…」


「ミユキ様?」

「どうしたの?」

「ミコトはここで楽しく暮らせてる?」

ミユキはユキーナに聞かれた質問に今度は答えがすぐでなかった。

「どうしてそう思うの?」

「ミコトは優しいミユキ様がお母様なのに誕生日会も一緒に出れないし、別に悪いことしてないのに私のお母様からも怒られたり、ホントはお兄様が悪いのもよくミコトが怒られてるわ。ヒコマもよく嫌がらせしてる、お父様も…!」

ミユキはユキーナの話してる口をてで塞ぎ、話を止めた。

「ダメよ。ユキーナ。誰かに聞かれてたらユキーナが怒られてしまうわ。」

でもっ…とユキーナがまだ喋ろうとするがミユキは首を振り、話始める。

「あの子には確かに辛い役目をさせてしまってるわね…私のせいなの…。でもねこの間、あの子私になんて言ったと思う?」

ユキーナは首をかしげわからない素振りを見せた。

「どうせ、僕は王様にならないしおこられてばっかだからここにはずっといられないって言ったのよ。笑っちゃうでしょ?3歳がもう『僕は役立たずだもーん』て言うの。」

この話を聞いてユキーナはアハハと笑った。

「その後にね、私は聞いたの。『もし、魔法とか凄い上手になってお城にいてくれー』ってなったらミコトどうするの?って」

「なんて言ったの?」

ミユキはフフとためて

「『…できないふりする。』ですって!。」

プッ…アッハッハハハ……!

二人で大きな声で笑った。その会話を聞いていた従者のレアーレもクスクスと笑っていた。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ユキーナはミコトが、3歳の誕生日会の前日のミユキとの会話を思い出していた。

「ユキーナ姉ちゃん?」

急に大人しくなったユキーナをミコトが不思議そうに見つめる。

「なんでもないわよ。」

「ミコトは面白いね!」


ミコトはなんのことかさっぱり分からず、首をかしげた。

その姿を見てユキーナはまたアハハと笑う。


その楽しそうな光景を窓から見つめる…

「笑ってる…あの無能の三男が…」

ゴダイは冷たい目線でミコトを睨む。

「まぁいい…俺がこの国の第一王子だ…あいつはいずれ消してやるよ。あの"忌まわしい女"と一緒にな…」


ゴダイは知らない…

無能と罵る子どもは誰よりも有能な可能性があることを…

しかし知るすべもないのかもしれない。

なぜならその天才は無能を演じているのだから…


第1話 終






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