表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乱世乙女の反撃  作者: violet
34/59

クロエの旧友

サラが起き上がる気配に、クロエも目を覚ます。

「どうした?」

クロエの声には色気がないが、ベッドから出ようとする妻に、夫がベッドから声かけているようである。

ただお昼寝から起きただけである。


「考えたのだけど」

サラが前置きをして言う。

「私が殿下に復讐をしようとしたのに、なんか私は蚊帳(かや)の外になってない?

しかも、ドウバイン王国の国民が税にあえでいようが関係ないわよ。

昨日はちょっと熱が入っちゃったけど、それはアロイスがすればいいんだし、私はフィルベリー殿下を床に這いつくばらせて、許してくれ、悪かったって言わせて、同じ事をしてやりたいのよ。

なんだか、ドンドン遠回りになっている」


「そうだな、ランデルウェア王国に帰るか。転移はないが、私が飛んで連れて行く」

最初は人間の何も分からなかったクロエの理解力は凄い。

「だが、その前にカフェに行こう。この国のカフェにまだ行ってない」

「カフェに行って、そのまま帰ろう。書置きをすればいいわね。

資金も少なくなったから、質屋で宝飾を売ってからだわ」

サラが、便箋を出して書き始める。


『さよなら、国に帰ります』

まるで、家を出て行く妻の書置きである。




妖艶な美女と美少女が連れ立って歩いていれば、街の通りに出た時点で目立っていた。しかも護衛を連れていない。

街娘の恰好ではあるが、仕草は貴族のそれである。

いつもの事なのに学習していない二人である。


クン。

隠されている匂いにクロエが気づいた。

相手もクロエを見て近づいて来た。

「サラ、ちょっとこっち」

サラの手を握ってクロエは歩き出した。その後をついてくる。

「ねぇ、クロエ、あの人は?」

サラが後ろを振り返りつつクロエに聞く。

「アレは私の昔の知り合いだ。気にしなくていい、何もしない、無害だ」

クロエの知り合い? では、魔獣なのだろうか?

人の姿をしているということは、人間の誓約者がいるのかもしれない。

サラは、クロエに繋がれていない反対側の手を差し出した。


え、とそれは驚いた。


「迷子になってしまうわ」

サラが微笑むと、それはオズオズと手を繋いだ。


サラには、それが5〜6歳ぐらいの男の子に見えるのだ。

クロエとサラについてくるのに、早足で歩いているのが可愛かったのだ。

それに、クロエは無害と言ったではないか。


「貴方、お名前は?私はサラよ」

クロエのむかしの知り合いということは、見かけよりずっと年齢を重ねているのだろうが、幼児にしか見えない。


「お前は気に入った、私の名前は、シン。

コイツの成約者だな」

可愛い容姿で、口調は大人だ。


「ようよう、綺麗な姉ちゃん達」

突然、目の前に4人の男達が現れたが、男達だけが弾かれた。

クロエのように当たり一面吹き飛ばすのではなく、的確な魔力量と正確な軌道である。


「スゴイわ、シン。

クロエは微調整が苦手なの、教えてあげてくれない?」

「クロエとは、コイツのことか?」

機嫌が悪そうなクロエを指さしてシンは口角を上げた。


「まずは、カフェに行ってからだ」  

クロエが言うと、サラとシンは見合わせて笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ