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Solomon's Gate  作者: さかもり
最終章 未来へ
225/226

日常へと

 皇都レブナから艦船に乗り、ミハルたちは再びイプシロン基地へと戻っている。


 まだシャトルライナーでの移動が残っていたけれど、長く住んだイプシロン基地には実家のような安心感があった。


「やっと戻ってきたね!」


「ミハル様々だよ。あたしまで戻ってこられるなんて。思えば配属時にセントラル基地を希望したのに、あたしはここへ来たんだよね……」


 キャロルは感慨深げに言った。

 妙な噂を聞いた彼女はゲートへの配備を嫌がり、地元であるセントラル基地を希望していたのだ。


「ああ、それね。羨ましかったなぁ」

「あんただけよ。そんなこと言うのは……」


 キャロルは薄い目をしてミハルを見ている。同期の誰もイプシロン基地を希望していないというのに、希望していたミハルだけがセントラル基地だなんて。


「あれって希望は叶えないようになってるんじゃない?」


「どうだろうね? ま、聞く限り、セントラル基地は本当に危なかったんでしょ。即戦力を求めていたからミハルが選ばれただけ。あの頃のあたしたちだったら、何人も配備しなきゃ役に立たなかっただろうし」


「ほう、ならば今は役に立つと?」


 ミハルはニヤリとした顔でキャロルを見ている。

 しかし、別にキャロルは腹を立てない。今や確固たる自信があったからだ。


「もちろんよ。実はセンスがあるのかもしれないと、あたしは思うのよね?」


 ジョークのように話すキャロルをミハルは笑っている。

 しかしながら、全てが冗談というわけではない。キャロルは最終戦の途中から前衛機を買って出ており、それなりの戦果を上げていたのだから。


「さっすがキャロル宙士長! よっ、宙士長!」


「ミハルに言われてもつまらないわ。まだ一等航宙士の同期とかいないかしらね?」


「セントラルにいるよ! 学校は違うけど、マイって子がいるの。大戦に参加してないから昇進はしていないと思うよ」


「ああ、あの子ね。同じ部隊ならいいのに。ゲート帰りのパイロットとしてマウント取りたいわぁ」


 再び笑い合う二人。マイには気の毒だったけれど、キャロルは先輩面したいようなので我慢してもらうことに。


「それで、マッシュルーム宙士長はいつまで軍部に?」

「それ言わない! マイって子には絶対言わないでよね?」


 ミハルはあとでメッセージを送っておこうと思う。密かに伝えることで面白くなりそうだと。


「んで、軍部にはあと二年かな。超弩級ライセンスを取って退役。ゲート帰りのツーリストとして活躍しちゃうんだから?」


「はぁ、良い就職先があるといいね? でも聞いたことないなぁ」


 平和な世界。戦いのない世界が始まる。まだ若い二人の未来は光り輝いていた。

 だからこそ、ミハルはからかうように言う。冗談を口にして怒らせたとしても、少しですら問題はないのだと。


「キノコ狩り専門のツアコンなんてさ――――」

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