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Solomon's Gate  作者: さかもり
最終章 未来へ
223/226

届いた一報

 セントラル基地では大騒ぎとなっていた。


 実際の経過時間より十日も遅れて、銀河間戦争終結の一報が届けられたからだ。


「えええ!? ミハルさんの名前が予備兵に入ってるんだけど!?」


 大声を上げたのはフィオナ・ハワードである。彼女は戦死者などの一覧を確認するよりも先に、どうしてか退役予定軍人の名前を見てしまったらしい。


「姉貴の名前もあるな……」


 次に言葉を発したのはジュリアであった。何となく嫌な予感がした彼も予備兵の一覧を確認したようだ。


「お爺ちゃん、あたしも退役するから! きっとミハルさんはレーサーになるのよ!」


「駄目じゃ。お前はまだ何もしとらん。一人前になるまで退役は許さん」

「嘘でしょ!? 一人前って何すれば良いのよ!?」


 騒々しい第三オペレーションルーム。待ちに待った一報であり、全隊員が集まっていた。


「しっかし、またミハルちゃんがトップシューターなのね。名実共にエースじゃない?」


「そうじゃなぁ。アイリスはやけに少ないが、何らかのトラブルかのぉ」


 シエラの話にバゴスが同意している。一応は五番手となっていたけれど、彼女の実力からすれば物足りない数字であった。


「ようやく儂ものんびりできそうじゃわい」

「バゴスさんはもうパイロットを引退されるのでしょうか?」


 マイが聞いた。

 何しろバゴスはセントラル基地の主要な戦力。彼がいなくなっては負担が大きくなってしまう。


「そのうちの。しばらく前線のパイロットは戻ってこんじゃろ? セントラル基地に大勢が配備されるまでは戦うつもりじゃ」


「お爺ちゃん、ズルいわ! あたしはミハルさんと一緒にいたいのに!」


「駄目じゃ! 精進せい! ここに留まっておれば、木星にあるレース協会の資格を得られる。嬢ちゃんがレーサーになるのなら、地球に戻るよりも軍部にいた方がよいじゃろう」


 レース協会は基本的にエリアごとの運営であった。交流戦やトップグレードレース以外はエリア内の面々で競うことになる。


 移籍は可能なのだが、オープンクラス以下には認められておらず、地元密着方式のため、各地の養成所受験資格には、その地に三年以上の居住実績が必要であった。


「ジュリア君はどうするの?」


 ここでシエラがジュリアに問う。姉であるアイリスが退役するのだからと。


「俺は軍部に残りますよ。ここでやることに疑問はありません」


 毅然とジュリアは返している。自分の意志でセントラル基地に戻った彼は後悔していないし、やるべきことに気付いたようだ。


「ははぁん、あたしに恋しちゃったのね?」

「いってろ馬鹿。一休みしたら訓練するぞ?」


「ええ!? 終戦記念日まで訓練するのぉ?」


「うるさい。未熟な者は訓練していくしかないんだ」


「せっかく、うるさいのがゲートに行ったってのに、代わりが訓練フェチとかあり得ないわ!」


 ミハルたちの去就は明記されていないけれど、概ね隊員たちは理解しているかのよう。


 終戦との一報は笑顔を太陽系にもたらせていた。終わりが見えなかった戦いに終止符が打たれたのだから。

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