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Solomon's Gate  作者: さかもり
第六章 新たなる局面に
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終戦を願って

 着々と侵攻準備が整う中、クェンティンとアーチボルトは光皇連の動きについて話し合っていた。


「中性子砲はどうやら狙い通りに直撃した模様です」


「意外だったな。回避しなかったのか?」


「混乱しているのかもしれません。べゼラ君の話によれば、反カザイン光皇派の決起もあり得るようですし」


 抵抗粒子の散布は間に合わないと考えていたけれど、狙い通りに着弾するまでは期待薄であった。少なからず被害を抑えるくらいはできるだろうと。


「概ね反物質ミサイルの生産拠点は大破したように思われます。いよいよ、出撃準備となるわけですが……」


 全ては思惑通りであったはすが、アーチボルトは問題が残されているように話す。


「プロメテウス前線基地に指揮権を預けるのか、パンドラ基地も侵攻に付き合うのか」

「それはプロメテウスに一任となっただろう?」


 軍部での決定は侵攻軍にプロメテウス基地を与え、司令部はゲートに配置したパンドラ基地に残すのだと。


「やはりタイムラグは良くないのではないかと考えます。今まで同様に、我々も矢面に立つ。そうでなければ、危機感はなくなり他人事のような命令を下してしまうように感じます」


「考えすぎではないか?」


「中性子砲を発射して五日ですよ? 確認が取れるまで、これだけかかっているのです。ここに残るということは未来を予想しながら指示を出すのと同義です」


 言われて理解した。

 確かに遠く離れている。これまでも緊急的な命令が多々あった。マッシュルームの迎撃や、オリンポス基地の消失まで。その場にいなければ対処できなかっただろう。


「なるほど、少しばかり安心したかったのかもしれん。やはり兵士たちと同じ宙域にいるべきだな。ゲート裏の制圧で気が抜けていたようだ」


「あと少しです。きっと兵たちはやり遂げてくれます。私たちは適切に彼らを導いていきましょう」


 もはや一蓮托生であった。共に命を繋ぎ止める関係。司令部と兵士たちは切っても切り離せなくなっている。


「終戦の折りには盛大に祝うとしよう。大戦が始まった頃の絶望感とは真逆の感情を覚えるだろうな。とっておきのボトルを開栓しようと思う。付き合ってくれるか?」


「もちろんです。さぞかし美味い酒になるでしょうなぁ」


「アーチボルト、開戦と開栓をかけてみたのだが……」


「聞き流しておりましたのに……」


 二人して笑う。

 明確にゴールが近づいている。それだけで心を決められた。これまでの困難が報われるのならばと。


 決戦はプロメテウス基地の配備後である一ヶ月後を予定している。

 苦難も苦悩もあと一ヶ月の我慢であった。


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