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Solomon's Gate  作者: さかもり
第六章 新たなる局面に
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人類の決意

 ミハルは小隊の訓練に参加するため、第一ドックへと来ていた。


「あれ?」


 どうしてか201小隊の面々が揃っている。イプシロン基地のドックに比べると格段に広くなっていたけれど、小隊同士で連携する話など聞いていない。


「ミハル、訓練は延期になった」


 グレックがミハルに声をかけた。

 どうしてかアイリスまでもミハルの側までついてきている。


「何か問題でも起きましたか?」

「いいや、準備が整ったらしい」


 アイリスの返答に益々分からなくなる。準備が整ったと言われたとして、侵攻計画があるわけでもないというのに。


「ミハル、あれを見てみろ」


 アイリスが指さす先。そこにはモニターが設置してあり、そこには巨大な砲身がが浮かんでいた。


「あれは何です?」


「平たくいえば、光皇連の本拠地を狙撃するものだ。私と沈めたデカい船があっただろ? あれにあった砲台を改良し、出力を高めたものらしい」


「ええ? 凄く遠いのですよね? 届くのですか?」


 使用用途は分かったけれど、実用的なのか理解できない。視認さえできない標的を撃ち抜けるのかと。


「さあな。ただAIの精査によると、抵抗粒子の濃度は低いらしい。計算上は届くだろうと考えているようだ。また今回得られたデータを煮詰め、侵攻してきた場合の狙撃に使用する案もあると聞いている」


 どこまで、その試算が信用できるのか不明であるけれど、パイロットとしては朗報であった。急な狙撃となったのは抵抗粒子の散布を始めるまでに行うためだという。


「てなわけで、我々の訓練もまた延期になったのだ」


 砲身があるのは抵抗粒子外らしく、訓練には支障がないと考えられるが、万が一にも遠隔操作に干渉することがないように、全ての通信機器は使用禁止となっていた。


「かなり距離があるからな。AIに全て任せているらしい。今は司令部も最低限の機材しか稼働させていないと聞いている。中性子砲が効果を発揮すれば、反物質ミサイルの被害が抑えられるという話だ。我々パイロットにとって悪くないだろう?」


「中性子砲? 中性粒子砲と違うのですか?」


 ミハルは兵器の詳しい説明を知らない。訓練所で習った気もするけれど、全然覚えていなかった。


「機体にある中性粒子砲は名前負けしている。あれは正確にいうと軽粒子砲なのだ。中性子砲は明確に異なる威力を発揮する。たった一発で砲身が駄目になるくらいの出力があるらしい」


 聞けば中性子砲はGUNSにおいて製造が認められていない兵器らしい。押収した砲台を使用するのはそのためだという。


「詳しいのですね?」

「うむ、グレックに聞いたばかりだ!」


 よくよく考えるとアイリスは自分と似ている。こんな話を知っているはずもないと、ミハルは納得していた。


 アイリスに説明を受けていると、カウントダウンが始まっていく。


 作戦の可否によって、今後の戦い方が変わる。よってミハルたちは割と真剣にモニターを見つめていた。


『中性子砲、発射!!』


 目映い輝きが宙域を裂いていく。

 真っ直ぐ歪みなく、それは撃ち出されていた。


 唖然とするミハルにグレックが声をかけている。


「ミハル、あの輝きは人類の決意だ……」


 人類の決意。それは徹底抗戦を意味するものだろう。

 守るだけではない。守るために攻めていく。その決意こそが、先制攻撃ともいえる遠距離攻撃であった。


 結果がもたらされるのは一週間後。しかし、ミハルは成功すると信じている。

 人類の決意はこれまでと変わらず、真っ直ぐに平和を目指していたのだから。

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