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Solomon's Gate  作者: さかもり
第六章 新たなる局面に
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逆賊へ

 皇都レブナは大混乱に陥っていた。

 突然、全ての回線がキャンセルされ、思わぬ映像が流れ始めたからだ。


 人々は手を合わせ祈る。或いは愕然と頭を振った。思惑は人それぞれだが、今もまだ生きていた皇子殿下に驚愕したのは総意だと言える。


「この映像を止めろ! なぜにこのような映像が流れているのだ!?」


 カザイン光皇は突如として流れ始めた映像に声を荒らげていた。

 当然のこと、その内容が政権批判であり、それを伝える者が正当な継承権を持つ皇子であったからだ。


「全てのチャンネルが完全に乗っ取られています! どうにもなりません!」


 内通者がいるのだと分かった。加えて、この政権批判が長く計画されていたものであることも。


 しかし、カザイン光皇の忠臣はもういない。死罪が言い渡されたあと、処刑されたところなのだ。


「おのれ……リグルナムの小童め……」


 通信は一方通行であったため、言われるがまま。レブナにはリグルナム星院家の一族が幽閉されていたというのに、その駒を利用できないでいる。


「リグルナムの一族を連行しろ! 光皇に対する反逆の容疑で今より裁きを……」


 そういった直後、映像にはとある人物が映し出された。

 唖然と息を呑むのはカザイン光皇である。まさにその人物の消息について家臣を集めていたのだ。


「エ、エザルバイワ……」


 皇都レブナの混乱を余所に映像は淡々と進行していく。

 映し出されたエザルバイワの姿。その背後にはハニエム総統の姿も見える。


『父上、私をお助けください! ベゼラめが死罪に相当すると言うのです!』


 エザルバイワが叫んで直ぐ、映像はベゼラに切り替わっていた。


『見ているか、逆賊ダグマ・レブ・カザイン。太陽系の人々がこの無能に慈悲を与えたとして、私は光皇連を導く者だ。絶対に許しはしない。太陽系に住む人たちの力を借り、私は皇都レブナを攻め落とすだろう。まあしかし、安心してくれ』


 小さく笑ったベゼラ。しかしながら、その笑みは怒りに満ちたままだ。


『その際には、貴殿の愚息を同行させよう。好きなだけ攻撃してくれたまえよ……』


 このあとはハニエムが首根っこを掴まれ、カメラの前へと引っ張られている。

 彼もまたメッセージを求められているのかもしれない。


『この男は太陽系軍、つまりGUNSに寝返るそうだ。威圧するだけで兵の忠義は得られない。もう身近なところにも敵がいるかもしれないぞ?』


 ベゼラの話を受け、カザイン光皇は直ぐさま部下の表情を見る。しかし、全員が視線を逸らすだけであった。


『首を洗って待っていろ! ダグマ・レブ・カザイン、私は必ずや貴様を討つだろう!』


 突如として流れた映像はここで終わりを告げた。何の余韻もなく、プツリと途絶えている。


 カザイン光皇は首を振る。まるで予想しない展開に。

 だが、理解してもいた。集権を図った自分の地位は圧倒的な力量差が生み出していたことくらいは……。


「兵を集めろ! 出撃準備だ! 反乱を画策したベゼラ・リグルナムを捕らえるんだ!」


 通信ラグを考えると、確実に数日前の映像である。こうしている間にも愛息エザルバイワの身が危ぶまれてしまう。


「今すぐにですか!?」


「無論だ! 将来の光皇たるエザルバイワを失っては光皇連に未来はない! 直ちに取りかかれ!」


 ここでも権力を行使するしかない。いち早くエザルバイワを救出し、ベゼラ・リグルナムを討たないことには政権の維持すらままらないのだ。


「パイロットの準備がまるで進んでおりませんが……?」


「星院家の私兵を招集しろ! 自立機を掻き集めるのだ!」


 家臣たちの信頼が厚い参謀デリナが処刑されたばかり。無茶な要求であったけれど、将官たちは首を縦に振るしかない。


 銀河間戦争の第四幕は思わぬ形で始まろうとしていた。

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