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Solomon's Gate  作者: さかもり
第六章 新たなる局面に
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宣言

 パンドラ基地の移設はこの後、二時間をかけて続けられていた。


 所定位置に着いたところで、護衛であるミハルたち101小隊はドックへと戻っている。

 真新しい第一ドック。此度は201小隊と同じドックが選ばれていた。ミハルがドックへと降り立つや、全員がモニターを注視しているのが見える。


「あれ? ダンカンさん、どうしたのですか?」


 全員がモニターに見入っていたのだ。

 ミハルの問いかけには指差しがあるだけ。理由が語られなかったからか、ミハルもモニターを覗き込むことに。


「えっ?」


 映像には将官級の立派な衣装を身に纏うベゼラが映し出されていた。

 背後にはクェンティンやアーチボルトの姿もある。パンドラ基地の設置に伴って、ベゼラが将官に任命されたわけでもなかったというのに。


 映像にはメッセージが表示されている。これよりベゼラ・リグルナム殿下による対外的な演説が行われるのだと。



『まず、このような機会を与えてくれた人類の皆様に感謝申し上げる』



 誰も知らない言語。いつも片言で話していたベゼラはそこにいない。

 モニターには翻訳がリアルタイムで流れていたけれど、ミハルには別人だとしか思えなくなっている。



『ダグマ・レブ・カザインよ、よく聞くが良い。私はベゼラ・リグルナム。貴様が策を講じ、抹殺しようとしたリグルナム星院家の第一皇子である』



 字幕によると、この放送は皇都レブナに向けて発信されているらしい。オープン回線へと割り込み、強制的に視聴させているという。



『私は反物質爆弾が搭載された棺桶に入れられ、特攻を強いられるところだった。しかし、幸いにも支援者がいたため、生き長らえている。私は今、貴方たちが残虐という太陽人、太陽系の人々にとても良くしてもらっているのだ。付き添いで亡命した二人もまた同様。太陽系の人たちは常に人道的であり、捕虜の受け渡しも再三に亘り要請していた。無視していたのはカザイン光皇であって、戦争を望んだのもまたカザイン光皇である』



 字幕により意味は理解できた。しかし、それよりも鬼気迫る表情のベゼラや、怒気を含んだ口調により内容は自然と伝わっている。



『母星ゼクスの惨状はカザイン光皇が意図的に生み出したもの。食い扶持を減らすために戦争を起こしたのだ! 我が臣民たちよ立ち上がれ! 今こそ逆賊カザインに立ち向かうべきときだ!』



 この演説を可能にした背景には内通者リザーラの存在がある。

 皇都レブナにて上級管理官をしていた彼女の秘匿回線へと接続し、電波ジャックを可能としていた。


 ベゼラの発言は母星ゼクス周辺だけでなく、所領へ落ち延びたヘーゼン星院家やリグルナム星院家へのメッセージでもあった。


 時は全て満ち足りた――と。

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