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Solomon's Gate  作者: さかもり
第六章 新たなる局面に
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永遠の罰を

「ベイルはE側の掃討! 私とミハルはW側に突っ込んで行く!」


『了解しました!』


 何とかゲートを通過した301小隊。

 ここまでは予定通り。あとは二手に別れて殲滅するだけだ。


「いくぞ、ミハル!」

「分かってます!」


 ミハルを先頭にして縦列編隊を組む。しかしながら、金色に輝く二機の機体は各々が巨大な砲身を操っていた。


「撃てぇぇっ!!」


 二つの重イオン砲が宙域を裂く。どこまでも伸びていくのは以前と変わらない。やがて巨大な爆発が起きることまでも。


「撃ちまくるぞ!」

「了解!!」


 もうミハルの緊張は解れていた。ここまで来たのなら戦うだけ。幸いにもアイリスが支援機であるし、全力で挑むだけだ。


 二人はものの数分で四隻を機動停止に追い込み、二隻を爆散させている。

 かといって、敵艦は航宙機を射出しており、乱戦は避けられない。


「腕が鳴るなぁ、ミハル!」


「しっかり支援してくださいよ!?」


「誰に言っている!?」


 人類に平穏をもたらせるというSOA作戦。プロローグとも言える戦いが始まっていた。



 ◇ ◇ ◇



 旗艦ガナハの司令室。大戦後ということもあり、人員の数は限られていた。


 しかし、突如として警報が鳴り響く。大きな椅子で居眠りしていたグリダルは飛び起きている。


「何事だ!?」


 大戦から一週間と経っていない。太陽人の偵察は全て撃ち落としていると聞いていたし、司令部を預かるグリダルには状況が飲み込めない模様だ。


「侵攻です! 太陽人が攻め入って来ました!」


「詳細を話せ! 何も分からん!」


 怒鳴るようにいうと、オペレーターがグリダルに返す。


「小隊規模です! 既に六隻の艦隊が爆散ないし、足止めされています!」


「何だと!? 航宙機を射出しろ! 小隊規模など蹂躙してやれ!」


「いや、それが……」


 苛立つグリダル。ガナハにはハニエム総統だけでなく、エザルバイワ皇子まで搭乗しているのだ。失態は自身の首など一瞬にして斬り落とすことになるだろう。


「黄金の機体が出現しています……」


 オペレーターの話には嘆息する。何度も耳にした機体が侵攻部隊に混じっているなんて。


「また、あの機体か。航宙機で取り囲んで潰せ。動ける艦隊も同様だ」

「いえ、それが……」


 煮え切らないオペレーターにグリダルは苛立つ。けれど、理由を聞かされた彼は呆然とすることになった。


「黄金の機体は二機なのです……」


 光皇を思わせる黄金の機体。それは今まで一機しか現れたことがなく、絶対的エースであったはずだ。


「カモフラージュじゃないのか? 我らを惑わせるためのもの。AIにて判別してみろ」


「いやそれが、どちらも圧倒的数値を叩きだしており、どちらが真のエースなのか分からないのです」


 データを転送しろとグリダル。手持ちの端末にて彼は確認を始めている。


「こ、これは……?」


 確かに、現れた金色の機体は二機共がエースと言える数値を出していた。オペレーターが困惑するほどに、超高レベルで似通ったデータに他ならない。


「グリダル司令! 残存艦隊、あと三隻です!」


 言い争っている間にも脅威が迫り来る。

 呆然とするグリダル。たった一機でも持て余していたというのに、それが二機も現れたとなっては……。


「エザルバイワ皇子の脱出シップは用意できるか?」

「はっ! 直ちに用意します!」


 グリダルはもう一定の結末を予感している。ゲート裏に残った戦力ではどう足掻いたとして無駄なのだと。


「ガナハ、被弾しました! 右舷推進機損傷! 続いて……」


 圧倒的すぎた。強大な艦船に群がるのは小蠅の如く小さな機体。しかし、それは致命傷を与えようと攻撃し続ける。


 この激しい揺れが収まるはずもないとグリダルは思った。黄金の機体は確実に自軍を凌駕する。しかも、二機同時に現れているのだから。


「ハニエム総統を呼び出してくれ……」


 正直にもう打つ手がない。旗艦ガナハは移動要塞である。従って光速域で逃げるなんて不可能だ。今となってはその巨大な構造があだとなっていた。


「牙を剥く者が光皇の如き機体であるのなら、我らはそれを受け入れるだけだな……」


 激しい揺れは延々と続く罰であるかのよう。一矢報いるどころか、やりたい放題にされている。ともすれば、爆散するまで撃ち続けるのかもしれないとグリダルは覚悟した。


 長い溜め息と共に、グリダルは悔恨の言葉を口にする。


「どうやら乗り込む船を間違ったようだな――」

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