休息
途中に短い補給があったものの、ミハルはほぼ六時間という長い戦闘を経験している。
流石に集中力を維持するのも限界となっていた。
『セラフィム・ワン、応答してくれ……』
ふと通信が入った。ずっと音沙汰がなかったベイルからの通信。アルファ線に出てからベータ線の状況は少しも分からなかったけれど、彼も無事であったらしい。
「こちらセラフィム・ワン、どうしました?」
『ああ、すまない。まだ隊長代理は有効らしくてね。君たちの補給許可が下りたんだ。アルファ線を速やかに撤退し、休憩後に301小隊へと戻ることになった』
小さく息を吐くミハル。ようやく休憩がもらえるのだと内心ホッとしている。
「了解しました。帰還します……」
『毎度のこと君の献身には感謝しかない。どうか十分な休息を取って欲しい』
言ってベイルは通信を切った。ミハルたちがアルファ線に陣取ってくれたこと。301小隊だけでなく、周辺の部隊は軒並み感謝していたことだろう。
「ジュリアに少尉、補給許可が下りました。これより帰還します」
「おお、やっとか! 本当に人使いが荒いな。流石に腹が減ってしょうがなかった!」
アイリスはまだ戦える感じである。疲れよりも空腹について口にするなんて。
相変わらずジュリアから応答はない。ミハルの全開機動に何とかついて来ただけで、彼は支援もしなければ、一言だって口を開かなかった。
ただミハルもアイリスもそれで良いと思っている。被弾さえしなければ、十分だと考えていた。ジュリアが何を考えているのか、知りようもなかったから。
三機の航宙機がアルファ線を退いていく。多くの僚機に見守られながら、イプシロン基地へと帰還していった。
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