グリダルの思惑
光皇路では追撃準備が始まっていた。航宙機は既に発艦し、艦隊も所定位置へと移動している。
「グリダル局地司令、ほぼ出撃準備が整いました」
「うむ……。思いのほか戦況が思わしくないのはどうしてだ?」
グリダルが聞いた。序盤の攻め込み具合から考えると、押し返されている現状。再侵攻を前に疑問は解消しておこうと考えている。
「はっ、どうも金色をした機体が中央部で圧倒しているようです……」
報告にあったのはまたも金色の機体だという。グリダルは眉を顰めている。
「またあれか……。どうにかして落とせんのか?」
「近付くことすらままらないとのことです。火力も技量も群を抜いています……」
「まったく……」
戦闘に勝利を収めてはならないグリダルであったが、正直に目の上のコブである。敵軍のエースを残したままでは以降の作戦に支障を来すはずだ。
全権を任されているグリダルは少し考えるようにしたあと部下へと告げた。
「新造基地に四十七。金色の機体に三発。艦隊を出撃させるや否に撃ち放て……」
当初の目的外にも標的が加わる。新造基地の破壊は絶対であるが、敵軍のエースにも弾数を割くという。無論のこと、それは新兵器のことであった。
「それでは僚機も巻き込まれますよ……?」
「構わん。最終的に勝利することが目的であり、この度はまだそのときではない。元より操縦士は捨て駒だ。起爆設定を変更し、中央部の戦闘機を殲滅してしまえ……」
とんでもない作戦にも思えたが、確かに金色をした機体に受けた被害は見過ごせないものである。対等に戦える操縦士がいない現状では兵器に頼るしかなかった。
「了解しました。直ぐさま手配致します」
「よろしく頼む。最終的にという部分が難しいのだ。分かるな?」
「もちろんでございます。連軍の進攻を妨げるものなどあってはなりません。我らは光皇連。光皇の民であり、全宇宙で最も優れているわけですから……」
部下の話にグリダルは笑みを浮かべた。確かにそうだと思う。負けるはずがないと。致命的なミスさえ犯さなければ、必ず勝てるはずだと。
指示を出すグリダルの声は心なし弾んで聞こえている。
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