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Solomon's Gate  作者: さかもり
第五章 動き始める世界
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二時間が経過して

 二時間が過ぎ、イプシロン基地司令部は一応の落ち着きを取り戻していた。それもそのはず一時はガンマ線まで攻め込まれていたのだ。それを中央ブロックから押し返す格好でベータ線最後尾にまで盛り返している。


「アーチボルト、光皇連の援軍はどれくらい残っている?」


 クェンティンが問う。先の戦いで補給を見誤った彼は敵影が減ったこの瞬間を逃さず、先手を打つつもりらしい。


「AIによる試算では搭載可能最大機数はあと五万です。四万を下回ることはないかと思われます」


「艦隊はどうだ? 初っぱな以降まるで姿を見せないが……」


 侵攻した艦船は光皇路に終結した数より随分と少ない。懸念されるのは第二陣に混じって攻め込んでくることだ。


 前回は六千という大艦隊がゲートを越えて来た。もしも残りが一斉にゲートを通過した場合に最優先目標の撃墜が困難となる。大量破壊兵器を搭載した艦船だけは沈めておかねばならなかったというのに。


「ゼクスを発艦した艦船は前回と同じ七千規模。間違いなく戦線に投入してくるはず。恐らくは我々の基地を破壊するため。全ての戦略がそこから逆算されているように感じます」


 艦隊を出し渋っているのは明白である。疲弊した後半に出撃させるのは誰の目にも明らかだった。輸送するためだけにゲートまでやって来たとは考えにくい。もしそうであれば戦艦である必要はなかったのだから。


「そろそろ補給を始めようと思うが、どう考える?」


「良いことです。ただミハルさんたちは居残ってもらいましょう。彼女たちの機体はエネルギ容量が大きいですし、何よりあの方の出撃可能時間はまだ先ですからね。彼女たち以外は救出班が戻り次第の補給としましょう」


 クェンティンの提案にアーチボルトは同意を示した。各宙域にいる生存者を救出してから補給すべきと進言した。


「救出班を出せ! 報告を受けている全てを回収せよ!」


 まずは各小隊から上がっている救出要請に応じる。全てを回収するのは困難であるけれど、一人でも多くパイロットを救出せねばならない。


 早速と命令が伝達され、イプシロン基地を救出部隊が飛び立っていく。一応は砲身を備えた小型の戦艦であり、救出部隊は命令とあらば、最前線まで向かわねばならなかった。


「しかし、貴様の作戦が上手く機能したな?」


 一息つくようにクェンティン。彼の話は明確な内容を含んでいなかったけれど、アーチボルトは頷いている。結果的に機能した作戦などまだ一つしかなかったのだ。


「本当に助かりました。彼女たちには頭が下がる思いです。正直に私は彼女たちの実力を過小評価していました。支援機が失われたというのに、ここまで盛り返してもらえるとは想定外です。可能であるのなら、このペアリングを今後も続けたいと考えてしまいますね」


「約束を反故にはできん。アイザック司令も実戦を経験し、その上でミハル君の異動を待ち望んでいることだろう。まあ彼女には経験を積む意味でもオリンポス基地に所属してもらう。司令官としては失いたくはないのだがな……」


 たった一機で戦況を好転させてしまうなんて。夢でも見ているようだが、それは現実だった。中央ブロックがしっかりと機能しておれば、敵機は必ず分散する。加えて中央の敵影が薄くなれば、戦線を押し上げられるのだ。連軍の戦闘機が未熟なパイロットで編成されていたことも一因であるが、二人の評価を更に高める結果となっていた。


「救出班が帰還すれば直ちに補給を始める! 各隊に通達しろ!」


 ここまでは何とか持ち堪えられた。被害は少なくなかったけれど、想定内には収まっている。だからこそ先手を打ち続け、この状態を継続していかねばならない。


 イプシロン基地司令部から前線の部隊へ。また補給に際して前線へと向かう部隊に新たな命令が下っていた。

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