新たな計画
ゲート裏に陣取る光皇連軍の旗艦。司令部に残ったグリダルは浮かない表情をしていた。
「グリダル局地司令、予定通り戦闘機隊五万が光皇路を越えました」
「ああ、それで良い。七割減ったところで、残る四万を出撃させろ」
グリダルは全ての兵を出撃させろと命令を受けていた。太陽人の基地へ重大なダメージを与えることに加え、操縦士を使い切らねばならない。また勝利を収めてもいけないと聞いていた彼は戦況を見極めることなく次の出撃まで決めていた。
「残存艦隊はいかが致しましょう?」
「艦隊は最後だ。三次侵攻の二刻後とする。そこで太陽人共の基地を一斉攻撃……」
実をいうとグリダルは勝利を収めてしまうのではと考えていた。前回と同規模の戦闘機隊と併せ、新兵器を五十発も使い切らねばならない。何とか太陽人が凌いでくれるようにと願っている。
「それでしたら目標はどちらでしょう?」
「目標だと? どういうことだ……?」
グリダルは眉根を寄せた。彼もまた光皇路は初めてなのだ。従ってグリダルは基地が複数あるなんて報告を受けていない。
「私も聞いたばかりの情報ですが、どうやら太陽人は光皇路裏にもう一つ基地を建造したようなのです。障害物が設置されているため詳しい確認はできませんでしたけれど、そこから命令らしき電波の発信を確認しています」
思わぬ報告にグリダルはニヤリと笑みを浮かべた。まさに光皇のお導きではないかと。
勝利してはならない。けれど、基地に重大なダメージを与えろという無理難題を解く鍵が与えられたとしか思えなかった。
「それは新造された基地で間違いないな?」
「十中八九基地であると思われます。戦闘機がその方向から飛び立っているのは映像解析からも明らかです。また何かを隠している可能性も十分に考えられます」
フハハと笑うグリダル。新造基地の破壊であれば大見得を切って戻れるはずと。総統への報告だけでなく、陛下に戦況が伝わったとしても何の問題もなくなる。それどころか戦果が報告されるたびに、自身の評価が上がるのではと考えられた。
「ならば新造基地を狙え。後顧の憂いは断っておくべきだ。全て私が責任を持つ。光皇の槍は全て新造基地へと撃ち込んでやれ!」
グリダルに迷いはなくなった。敗戦に終わりつつも結果を残す。これ以上ない結末を迎えられると疑わない。
声高に命令する。グリダルは兵を鼓舞し、目的達成を急かすように言った。
「さあ、太陽人を蹴散らしてやるぞ!――――」
本作はネット小説大賞に応募中です!
気に入ってもらえましたら、ブックマークと★評価いただけますと嬉しいです!
どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m




