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P11~P12 ちゃぶ台返し、あるいはさらに深まる自分語り。言ってしまえば叙述トリックなのかもしれない、の巻

溝口は詩や手記を書くのがこれが初めてよ、と。前までの記述で自分のこと詩人肌の少年だったと思ったら大間違いなんだからね、とのこと。


っていうかさ、いまさらだけどやっと気がついたよ。


金閣寺という小説自体が溝口の手記というていで書かれたものだったのね。一人称ってさ、「主人公、誰に語ってんだよ?」っていうツッコミが入りやすいものだとは思うんだけどさ。


ここで、三島はこういうことを伝えてるわけでしょ?


「よろしいでしょうか? あなたが読んでる、これ、これは今、溝口という名前の人が書いた手記なんですよ。だから、溝口はあなたに語りかけるようにこの手記を書いているというわけなのです。自然なことでしょう」


ある意味、叙述トリックってやつなんじゃないの? これ。


俺、今まで意識してなかったわ。こんなこと。でもさ。他の一人称の小説ではこんなこと書かれてないと思うんだ。これは、手記ですよ、なんて。


テレビゲームとかで、謎解きとか物語を進めるために、前任者なんかの日記や日誌を発見して、それを読む、なんてことがあるけどさ、それは自然だよね。一人称で書いてるの。


俺の一人称の小説は全然そんなこと描けてこなかったよ。これから書こうと考えてた一人称の小説は、たまたま、そういうことを考えていたんだけどさ。


わかってる人には当然の技法なんだろうけど、三島もこういうことやってるっていうのは俺にとってすごい発見。


うれし、はずかしって感じだよ。


じゃあ、さらに内容の方に入っていくね。


で、そこから、さらに深く、溝口の当時の心の在りようについて説明される。


「人に理解されないということが唯一の矜りになっていたから、ものごとを理解させようする、表現の衝動に見舞われなかった。」←引用


で、人の目に見えるような物は自分は与えられない宿命だと思ったというところからの、


「孤独はどんどん肥った。まるで豚のように」←引用


出ました。みんな大好き、倒置法。


そしてまるで豚のように・・・・・・という中二風味の表現。ってか、よく例えで豚が出されるけどそんなに肥ってるってイメージ在るのかな? まあ、ていばんの例えだけどさ。そもそも、誰かが言ったんだっけ。


「肥った豚よりやせたソクラテスになれ」とか、なんとか。


「余計なお世話じゃ! こちとら、肥ったなろう底辺作家じゃい!」


失礼。取り乱しました。


はい、冷静になったところで、考えを進めます。


でもさ。これって先にちょっと書いたけど、肥ったんじゃなくて、豚みたいに肥らされたという捉え方をしている可能性もなくない? 俺、くわしくないけど、豚も食料になるために肥らされたというか大きく育てられてるんだよね? きっと。


だから、人に喰われるというか、笑い物にされるという形で犠牲にされるためにさ。心が病まされる、それをさらに笑われる、それでさらに心が病まされる。こんな残酷サイクルがぐーるぐるって。


だから、溝口、心の絶叫リサイタル。


ってなもんでさ。


「コンプレックスのせいでコミュ障になって孤独なのは俺のせいじゃねえし、好きで吃ってんじゃねえよっ! こっちだってよぉお!」 みたいな。


そんな魂の叫びが、この、孤独は・・・・・・から始まる倒置法の文章にのっかってるかもって思ったよ。 


それじゃつぎの描写に進むね。


これから悲劇的な事件の回想が始まるよ、そして、その事件を通して溝口はいろいろ直面するってよ、って予告が入る。


「人生に、官能に、裏切りに、憎しみと愛に、あらゆるものに。」←引用


ここで書かれているものってさ、溝口が思う大切なものってことだよね、きっと。で、名詞が書かれてる物は全部、人との関わりで感じられる物だよね。


人生っていう名詞は、関係性の中から生まれるのか、少し疑問なんだけど、人と関わらない人生は、それでも人の生、って、いえばそうなんだろうけど、なんか言葉にできないけど、人生も人と関わることで初めて存在するようなものって予感が俺にはした。


そして、どれも目には見えないものですなあ。


あと、うまく考えがまとまらないんだけどさあ、誇りと矜り、漢字を使い分けてる理由も重要そう。


「人に理解されないということが唯一の矜り」←引用


「矜り」とは、ちょっとネットで調べたんだけど、自分の能力から産まれる誇りのことなんだって


「自分が世界を、底辺で引きしぼって、つかまえているという自覚を持つこと。・・・・・・しかしこういう自覚は、少年の誇りとなるには重すぎた」←前の部分からの引用


「誇り」は名誉に思うことなんだって。


ね? なんか重要そうでしょ? 人から理解されないことを、自分の能力から産まれた名誉に思うことだと感じてて、自分が底辺作家であること・・・・・・じゃなかった、世界を、底辺で引き絞って、つかまえてることを名誉にするってことに対してはさ、いやぁ、それはちょっと重いっすよ、ってことじゃん?


溝口の言う、世界を、底辺でってさ、言い換えるとこういうことじゃん? 俺の解釈、間違ってるかもしんないけどさ。


自分を底辺から救いあげてくれることはないカーストそのものに、必死になってしがみついてるってことでしょ?


あ、いけね。なんか、俺、涙出てきた。


だって、おれ、なろうの底辺で必死になろうにしがみついているんだもん。


はいっ! 今日はここまで!


グッドバイ!





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