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一章 まとめ

まず、どこからとりかかるか? ってことなんだけど、俺なりに作者目線で見た小説の要素を考えてみるよ。


1,伝えたいことの取捨選択のなかで残ったもの

2,伝えるための方法の取捨選択で残ったもの


対比については先に書いちゃうけど伝えるための技法としてよく使っているよね。


色、特に白と黒。生と死、男と女、有為子と証人たち、見られたり想われる金閣寺と見たり想う溝口とかね。まあ、なろうで小説書いてる人たちに俺なんかが言うことじゃないけど対比させることでそれぞれを際だたせているよね。


対比についてだけどさ、対比させる物を二つ並べたとして、それを見るとき同じものと一緒に見た方がよりわかりやすいよね。


セクシーお姉さんとロリっ娘とかね。どっちも同じビキニアーマーを着させることでそれぞれの違いがはっきしするようにさ。


だから何か対比させる上で媒介となるものがあるとよりいいのかなって思ったよ。いま気がついたんだけど有為子が溝口に拒絶の言葉を投げつけるときにさ、欅がいっぱい出てきたって俺書いたんだけど、もしかしたら欅が媒介だったのかもね。


これ書いてるときに豊かな葉で丸っこい形の欅のシルエットのもとで胸を張る女とうつむく男のシルエットが思い浮かんだよ。


丸いものが有為子のトゲのある言葉との対比にもなりそうだしさ。なんかそういう対比の構造がものすごく複雑に絡み合って、それでいて調和してるっていう文章なんだなって思った。


マジで三島ヤバいね。


考えれば考えるほど奥が深い。


あとさ、欅の形を知らなかったときは思いも寄らなかったけど、それを知ることでより深く想像ができるようになった。やっぱ、わからない言葉を調べるの大事だね。


作者が伝えたいことを読者がどう受け取るかは最終的には読者に委ねざるおえないと思う。だけど、どの箇所を出来るだけ委ねないようにするか、あえて委ねるか? の選択がおこわなれているはずだ。


俺には三島の意図を判断しきれないから一章の構成を考えることで、伝えるための方法の取捨選択の中で残ったものを整理してみる。


一章はざっくり36000文字、5MM方眼ノート一冊分。15の部分に分けられている。これをそれぞれの部分でどんな内容か俺なりのまとめを書き出してみるよ。


あと、大前提なんだけど一人称で書かれているってことは、語り部である溝口が取捨選択した情報であるってことだよね。当たり前だけどそこには三島がそれを込みで溝口に語らせているってことだよね。


じゃあ、前置きはこれくらいにしていってみよう。

参考までに矢印から右側は読者である俺がそこからどんな情報を得たかやどう思ったかを書いておくね。なにか導き出されればいいんだけど・・・・・・


1,金閣寺を想う習慣と育った地域の様子→溝口が見てきた物、想い描いてきたもの


2,身体的特徴の説明→吃音により想いを届けがたい男であること


3,性格を表す思い出話→輝くものへの憧れを持ち、吃音を指摘されたがそのときは意志とは関係なく、無意識で返答しその返答時には吃音が現れなかったこと


4,輝くものへの攻撃→溝口が自分は輝く側ではないことを自覚したことと輝くものへの攻撃を実行すること


5,溝口の自己分析と有為子の事件の前置き→孤独であることと有為子の事件で直面したものとそれを否定したこと


6,有為子との関係性を表す思い出話→体の欲求から有為子を求めている事実と吃りとしてしか認識されていない事実を突きつけられたあげくそれを叔父に伝えられた。容赦のない攻撃を受けたということ。


7,事件の前半部→自分だけではなく世界を拒む有為子の顔に美を感じたここと、有為子が裏切るときの顔を見れていればという仮定の話がでることから溝口の大きな転換点であったといこと


8,事件の中盤→脱走兵を裏切ることで有為子が自分を受け入れ、自分の物になったと想ったこと


9,事件の後半→有為子がさらに溝口たち証人を裏切ったことで溝口には寒さしか残らなかったこと


10,金閣寺を見る前の溝口の金閣寺に対する想い→溝口は美と自分の関係について考えていたこと


11,父との旅の様子→生と死の間に自分がいるという自覚を溝口がしていたこと


12,金閣寺を初めて見たときの溝口の感想→金閣寺の実物にたいして幻滅をしたこと


13、住職と父の様子→死を扱う住職も死に対してなにもわかっていないことと父はその死に向かっていること


14,夜の金閣寺→死を間際にしても父は金閣を息子と見ようとしたこと


15,金閣の幻滅からの復活のと父の死→金閣寺の美は幻滅から蘇り、金閣寺に美を見いだしていた父は消えたといこと


まだ一章だから物語全体でみたら起承転結の起の部分なんだろうけど何が起こった?

金閣寺要素を省いてまとめてみる。


生い立ちが語られ、自分の内側と外側がつながらないって悩んで、海軍学校の先輩にいじられて、地味に復讐して、有為子を女として意識して、派手に拒絶されて、有為子が脱走兵を裏切ることで一発逆転で受け入れてもらったと思ったらさらに裏切られて寒っ! ってなって、お父さんに旅に連れ出されて、帰ってきて、お父さんに自分の気持ちを伝えようとしたら、逆にお父さん死んじゃったと知らされた。


・・・・・・なに? このストレス展開。


これって、なろう小説のあらすじあったら読むだろうか? まあ、俺は読まないなぁ。まあ、こんだけつらいことがあったら何か不穏なことが起きそうな予感はするよね。それとも、すてきな出会いがあってこんな彼でも幸せになりましたっていう展開を思い描くのだろうか?


まあ、溝口がつらい気持ちを抱えて生きてきたことを伝えるっていう機能は十分に果たしてるよね。あとね、最初の方に溝口自身も知らない使命が自分を待っている気がしてたとあるから、若い男にありがちなこの世に爪痕を残す、みたいなことをしようとしているっていうのをさらっと伝えているよね。


あと、全部読まないと言い切れないことだとは思うけど美と醜、生と死について語られるってことが予想できる内容だと感じたよ。


ちなみにね、この一章で大抵の男は十分に溝口への共感あるいは反感のいずれにしろ感情を揺さぶられると思ったよ。


コンプレックスに塗れて生きてきた俺は。


んじゃ、また。


今度は別の作品で会いましょう。


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