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P33 約1500文字 金閣は鳴り響く の巻

今回で金閣寺の第一章が終わります。明日更新できるかわからないけどまとめはやるつもりです。


それじゃ、本文に行くよ。


現実の金閣寺には失望しちゃった溝口だけど、地元に帰ってきてから心の中でまた美しくなっていったんだって。


で、もう目に映るものに金閣寺の幻影を見なくなったと。それは深く実在するようになったからなんだって。手に触れるように目の前に浮かぶようになったと。


で、そのときの描写がこれ。


「音楽の一小節を思い出すことから、その全貌が流れ出すように、どの一部分をとりだしてても金閣の全貌が鳴り響いた。」←引用


そして、わざわざ父親に手紙を送るんだ。


『「地上でもっとも美しいものは金閣だと、お父さんが言われたのは本当です」』←引用


表現として、いいな、と思ったのは、目で見る金閣を耳で聞く音楽に例えてるところだね。なにか一つ思い出すと徐々に全体像ができあがっていくということをすごくイメージしやすかった。アニメーションとしてイメージしたんだけどなにかキラキラしたものがこぼれていく感じがした。


だけどね。


ちょっと気になったのは音楽っていつかは終わるじゃん? っていうか、時間の経過を表現する物の一つでしょ? 違うかな? いろんな高さや大きさの音が順番に鳴っていくものだよね。音楽って。で、その音の順番とか一つの音の長さとか音と次の音がなるまでの時間を調節することで表現されるもの、だよね。


で、P24で、溝口は鳳凰は永遠に時間の中を飛んでいるって言ってるんだよね。永遠と音楽っていうのが相性が悪い気がしちゃうんだよね。


で、しかも、そこへね、こんな描写。


「折り返して、母から電報が届いた。父はおびただしい喀血かっけつをして死んでいた。」


父の死についての描写があるじゃん? しかも夥しい喀血をして死んでしまったとあるんだよね。死んでしまっただけではなく、喀血だけでもなく、夥しい喀血。


この書き方だと父は溝口からの手紙は読めていないよね。溝口が、地上でもっとも美しいものは金閣、という気持ちを他社と共有できる唯一にて最後のチャンスは叶えられなかった、ということだよね。違うかな? 


あと、もう一つ、溝口は、知らなかったとはいえ、お父さんが喀血で苦しんでる最中に、金閣寺サイコーっ、金閣寺の空想グルーブに身の任せてアゲアゲだったわけでしょ?


で、パピィ、あんたの言うとおりだったよ。今なら素直に言えるぜ! 金閣寺、地上サイコービューティフル!

あ、そうだ、パピィに手紙で伝えよう。


か・ら・の。

パピィDEATH!


しかも、夥しい喀血DEATH!


これさあ、キツイよね。まあ、父子の間でどんな愛情のやりとりがあったかは描写されてないし、溝口は中学入学と同時近所に中学がないからって父の故郷に住んでる叔父の家に預けられてわけなんだけども。


中学生男子ってさ、もちろん個人差はあるっていう前提だけども、体が大きく変わっていく時期でしょ? 話を蒸し返すけどさ、有為子の通勤途中に待ち伏せしちゃった話だけども、あの話の前に、男、溝口、有為子を女として扱った、頭の中で。っていう描写があってさ。


溝口が体の変化から起きる心と頭の混乱のせいで、現実と空想をきっちりわけきれないというか、普段ならありえないつって一笑に付す空想も、現実的に考えたけどもありよりのありなんじゃね? みたいに脳内ハードルが下がっちゃって、実行してしまったら、徹底的な拒絶を受けたってことかなって思うんだよね。


溝口の元々の気質もあるんだろうけど、吃りを最初の切っ掛けとして、人との対話、内側と外側をつなぐっていう経験が圧倒的に不足していたところに追い打ちを書けられた格好だよね。そこへ、自分が男であるという自覚をし始めた時期に、女に徹底的に拒絶されるという流れだったんだなって思い至ったよ。


そして縋るように金閣寺のことを考えていた。実際に見た。思ってたのとは違った。だけど、現実の修正を受けた上で、見る前より美しい金閣を思い浮かべるようになった。一カ所思い出せば音楽みたいに脳内再生できるようになった。


そして、その喜びをわかちあおうとした父は死んでいた。しかも苦しい死に方で。一方その頃自分は金閣夢想遊びに夢中。


なんたるすれ違い!


自分が喜んでいる最中、苦しんでいる人がいる。


三島は、溝口はここで徹底的な罪悪感みたいなものを持ってしまった、てことを感じさせるつもりだったのかな?


罪悪感って厄介じゃん?


まあ、俺が小説を書くときに罪悪感を強制された者を描きがちだからそういう考えになってしまったのかもしれない、ってことは一応書いておくね。


あと、有為子の事件で最後寒かったっていってたんだけど、もしかしたら強烈な孤独の意味だったのかな。有為子が結局脱走兵を裏切らなかったと判断した時点で、溝口は野次馬のモチベをなくしちゃったわけだけどさ。一晩そこで眠るってことは、溝口を預かっていた叔父さんたちは溝口を心配して探したんだろうか? とか思うし。まあ、大事なことではないかもしれないけどね。


あとね。これはすごい変な見方だけど、いったんは有為子が脱走兵を裏切るってことになって、自分たちを受け入れてくれたって感じながら石段を登っていく有為子を見ている、あの場面。あれを男女の営みの暗喩としてとらえられるかも、なんて。


溝口は、。結果として望みを果たすことができないまま終了を余儀なくされました。そして。あらがうこともできずにそれを受け入れるしかない自分であることに気がついてしまった・・・・・・のか、あるいは、すでに溝口は果ててしまっていたのかは俺も結論を出せないでいるんだけどさ。


どっちにしろ、寒い。ただ寒いってことはわかるよね。


やっべぇ。三島。


考えりゃ考えるほど深くはまりこむ。


そう、それはまさに、地上で一等美しいロリっ娘魔王が治めるダンジョンのように・・・・・・


はい、無理矢理なろう小説ぶっ込んで今日はおしまいっ。


それじゃ、またね。


あ、次が最後ね。


バイビー。



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