虚構の彼氏
「○○ただいま」
「おかえりなさい、圭一さん」
「今日の夕飯は何?」
「カレーにしたんだけどあんまりおいしくないかも…」
「○○の作る料理はいつもおいしいから大丈夫だよ」
「そんなことないよ。だって料理へたくそだもん」
「大丈夫だって。心配性だなあ○○は」
「そりゃ心配するよ。圭一さんに食べてもらう料理なんだしもっとおいしく作りたいもん」
「そんな頑張んなくていいのに。料理なんて適当でいいんだよ?」
「適当ねえ…まあいつも適当って言えば適当なんだけど」
「えー?それでいいの?」
「う…努力します…」
「まあ頑張りすぎないで。料理作ってもらえるだけでこっちは感謝してるから」
「ありがとね」
「あ、そういえば○○の好きな作家さんの小説買ってきたよ。今日発売日だったみたいだから」
「え!?嘘、知らなかった…ごめん、ありがとー」
「一応買ったかメールしたんだけど見てなかった?」
「えー…あ、本当だ来てる。ごめん、いろいろやってたから忙しくて見てなかった…」
「いいよいいよ。結局知らなかったんだしよかったね」
「ごめんねーいつもメール気づくの遅くて…」
「いいってば。気にしないよ」
そう言って私の頭をなでる。
ああ、こんな生活ができたらどれだけ幸せなのだろうか。