逃れられない現実1
現実。
それは見たくなくても見えてしまうもの。
実際の私は宮ちゃんと仲良くなんてなかった。
むしろいじめられていた。
近所だったのは正しい。
でもそれ以外は全部嘘だ。
宮ちゃんとは小学校が一緒で、小学5年生の時、長野へ引っ越していった。
原因は分からない。
親しくなかったし、話したこともほとんどなかった。
宮ちゃんは人気者だった。
女子のリーダー的存在で、彼女の周りはいつも人であふれていた。
比べて私はいつも一人だった。
ペアを組む時は嫌がられた。
汚くて醜い人間だった。
悲しさを紛らわすためにいつも本を読んでいた。
本の中では何でも起こってとっても楽しかった。
登場人物たちのその後を考えたり、妄想するのが好きだった。
そんな私を良く思わなかった宮ちゃんは、私の本を破いたり、靴に泥を詰めたり、無視したり、陰口を言ったりしていた。
それでも私は宮ちゃんと言う存在にあこがれていた。
たとえ嫌味を言われても。
たとえ集団下校の時半径1メートル以内に近づくなと言われても。
私にとって宮ちゃんは憧れで。
決して手には届かない雲の上の人だった。
私と宮ちゃんの差はどこでできたんだろう。
そんなことを考えたこともあったけど、無駄だとわかってすぐやめた。