9 閑話高等部1年
過去回想です。
上手く書けずにすみません。
ほのぼのではないのでご注意ください。
俺は高等部1年に赤竜を討伐した。
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両親が赤ん坊の時に亡くなった。5歳になるまでは、かつての使用人に育ててもらった。しかし、彼は俺が5歳になった次の日に死んでしまった。
俺は完全に独りになった。
学園に入学する資金は残してくれたらしい。しかし、1年分だ。2年目以降の授業料の分はない。
俺は、働くことを余儀なくされた。
冒険者ギルドに加入した。
最初はガキだからと来るなと言われた。それはそうだ、子どもを危険な目に遭わせたくないという親切心からだったのだろう。
だが、断った。
理由は言いたくなかった。
同情してもらいたくなかった。
何度も、来るなと言われたが、俺の固い決意に負けてもう言わなくなった。その後、彼らに何度もお世話になった。
そして、入学までに初等部の授業料は集まった。
それでも、俺はまだ金を稼ぐ必要がある。学園を卒業するためにも。
そして、入学した。
入学4日目、俺は友ができた。
おかしな奴だった。公爵家次期当主というのに、親しみやすく、偉ぶったことのない奴だった。最初は、貴族だから気楽に暮らしてるんだろうなって思ったが、違った。厳しい礼儀の指導、剣や魔法の稽古で辛かったらしい。
こいつには感謝している。よく助けられた。
そして、中等部も色々あったが、無事に過ぎた。既に、高等部の授業料は3年分集めた。
だが、俺は金が欲しかった。将来のために蓄えておきかったから。
俺は、討伐依頼を一人でこなしていた。比較的山奥で、そこそこ強いが、今の俺では楽勝で、高値がつく美味しい依頼だった。
特に、苦戦はしなかった。
依頼が終了した。
帰ろうか。
すると突然、ヤツが大きな叫び声をあげて現れた。
「GuuuuuuAAAAAAAAAAAA!!」
っ!!
凄い、叫び声だった。空を見上げると、真っ赤な竜が飛んでいた。あれは、赤竜だった。討伐ランクSSSだ。当時の俺では九分九厘負ける相手だった。
逃げよう。
俺は、必死で逃げた。ヤツにバレないように。
しかし、回り込まれた。
マズイ、マズイ、マズイ、マズイ、マズイ、マズイ!
マズイ!!
反対向きに逃げようとした。
しかし、また回り込まれた。
もう一度、もう一度
すべて回り込まれた。
ヤツは俺をターゲットに定めたらしい。
目が合った。
ヤツはまた叫んだ。俺を食べてやるぞと言っているように
「GAAAAAAAA!!」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い!!
俺はもう逃げれないと悟った。
ヤツは腕を振り下ろした。
俺は危機一髪躱すかができた。
しかし、ヤツはまた腕を振り下ろした。
完全には避けられなかった。
掠っただけだ。
なのに、痛くて痛くてたまらなかった。
ヤツは、ブレスを吐く準備を始めていた。
体は勝手に動いた。何者かが俺の体の体を操っているかのように。
赤竜の、ブレスのために空いている口に魔法を放った。俺が一番得意な魔法を。
ヤツは怯んだ。
怯んだだけだった。
だが、それでも一瞬の隙は生まれた。
俺は、ヤツの足をめがけて走った。
ヤツの足を切った。少しはきいているのだろう。呻き声をあげた。
続いて俺は、赤竜に飛び乗った。
全力で背中を切り刻んだ。
ヤツは先程よりも大きい呻き声をあげた。
しかし、ヤツはやられっぱなしではなかった。
尻尾で攻撃してきた。
俺はまともにくらってしまった。
「ガァッ!」
不思議と痛くなかった。最初にくらった痛みも薄れてきたことに気づいた。
俺は、フラフラと立ち上がった。
ヤツもだいぶ弱っていた。
ヤツは腕を振り下ろした。
俺は、ギリギリで躱して、ヤツに反撃した。最大限の力を持ってヤツの腹に魔法を放ち、剣を刺した。
ヤツは遂に倒れた。
やったのだ。
俺は勝ったのだ。
「うおおおおお!!!!」
俺は叫んだ。
そして、俺は気を失った。
俺は目を覚ました。
傷が痛む。
俺は回復魔法を使い、治療した。
痛みが和らいだ。完璧には治らなかった。
なんとか立ち上がって、赤竜の遺体を回収した。
そして、俺は街に戻った。
そして、ギルドに着くと倒れ込んでしまった。
そして、目を覚ますとギルドの一室にいた。
体はまだ痛む。
起き上がろうとしても、痛くて無理だった。
あの時は、必死だったのだろう。
その後、俺はギルドに事の顛末を説明した。
そして、ランクSSになり、赤竜を売却した。
売却した結果、報奨金と合わせて白金貨100枚になった。
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あれほど金を必要としていた俺は、白金貨100枚よりも自分が生きていることの方が嬉しく思った。
その時から、金よりも自分の命を大切にしようと決めた。
両親から頂いたこの命を…
読んでくださりありがとうございました。