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「顔が見えないけど、どこかで聞いたことがある声だなぁ、って思ったら、やっぱりガジェットだったんですね!心配だったんですよー。卒業したら何するか聞いていませんでしたし。」
「ご、ごめん。そ、それと、し、心配してくれて、あ、ありがとう。」
「いえいえ、友人として心配するのは当たり前ですからね。…今の暮らしは楽しいですか?」
「は、はい。た、楽しいです、よ。」
「良かったです。安心しました。」
「盛り上がってるとこ悪いんだが…」
「は、はい。」
「頼んだ剣は、いつぐらいに出来そうだ?」
「い、1ヶ月したら、で、出来ると、思い、ます。ま、また、ここに、き、来てくれます、か?」
「分かった。また1ヶ月後に来よう。…では、また。」
「じゃあなー!」
「また会いましょうね!」
「み、皆さん、さ、さようなら!」
――――――――――――――――――――――――
時刻は13:00。
「すまんな。2人とも。俺のせいで、時間がかかってしまって。」
「いえいえ、気にしないでください。」
「そうだぜ!気にするなって!」
「助かる。」
「それにしても、腹減ったな。何処かで飯にしようぜ!」
「そうだな。」
「そうですね。」
「オススメの店は有るか?」
「そうだな〜、紅茶の美味しい喫茶店があるんだが、そこはどうだ?そこのランチも美味いんだぜ!」
「ああ!あそこの店ですね!いいと思います。」
「いいんじゃないか。」
「決まりだな!じゃあ、案内するぜ!」
「って、イワンって、紅茶飲むのか!!」
「言われてみれば、そうですね!イワンに紅茶って、意外ですね!」
「お前ら、俺を何だと思ってるんだ!」
「えっ、筋肉バカ?」×2
「おい!そう言われても、しょうがねえけどよ〜。…まあ、いい機会だ。俺が紅茶好きになった話を聞かせてやろう!」
……――……――……――……――……――……――
あれは、俺が小さい頃の話だ。
「ははうえー!なにのんでるの?」
「これはね、紅茶っていう、飲み物なんですよ。」
「コウチャ?なにそれ!おれも、のみたい!」
「イワンが大人になったら、飲ませてあげますね。」
「いまのみたい!いまのみたい!」
「あらあら、そういうなら、一口だけですよ。」
「はい!」
そう言って、飲ませてもらったんだがな、
「に、にがい!」
「ふふふ、そうでしょうね。」
「ははうえは、こうちゃすき?」
「はい、好きですよ。イワンも、大人になったらこの味がわ分かりますよ。そうだ!ミルクを入れて飲んでみなさい。」
「はい。」
それで、ミルクを入れて飲んでみたらな、
「あ!あんまり、にがくない!おれ、のめた!」
「ふふふ、えらい!えらい!」
「おれ!ぜったい、そのままでも、のめるようになる!」
「それなら、そのまま飲めるようになったら、一緒に飲みましょうね。」
「はい!」
こんなことがあって、俺は紅茶を飲み始めたわけだ。
それで、少しずつ飲み続け、今では、槍の次に好きなものだな。
……――……――……――……――……――……――
「って、いうわけだ。どうだ?感動したか?」
「いえ、感動はしませんけど、イワンにもこんな、可愛らしい時期があったんですね〜。」
「だな〜。」
「うっせぇ!今度はトップス、お前の話を聞かせろよ!」
「えっ!今度は私の番ですか!」
「俺もアクトも話したんだ、いいだろう!」
「むー、仕方がないですね〜。」
「そういえば、トップスはガジェットと友達なんだな。」
「はい。気兼ねなく、対等でいられる友人です。」
「へ〜。」
「そうだ!ガジェットと出会った時のことを、お話ししましょう。」
――……――……――……――……――……――……
これは私が、寄宿舎に入学したての頃の話です。
寄宿舎の貴族科には、新入生を歓迎するパーティーがありました。このパーティーは、単純に新入生を歓迎するだけでなく、顔つなぎや、将来の伴侶を見つける
ために行われている側面もあります。
そのため、上位貴族の一員である私のもとには、大勢の人が、男女問わずにやってきました。
ただ単に一言二言挨拶するだけだったら、私は嫌がりませんよ。ただ、しつこく自分のことをアピールするのは鬱陶しかったですね。
さらに酷いのは、自分のことじゃなくて、親の、家のことをアピールする人ですね。親が何とか省の大臣だとか、どこどこの領主だとか、自分のことのように誇って。その家を継ぐわけじゃないのにそう言ってくる人がいるんですよ。困ったものですねー。
とまあ、私はこのパーティーにうんざりしてたんですよ。
ちょっと抜け出そうかなっ思っていましたら、同じように抜け出そうとしてる人に出会ったんですよね。
興味を持ちました。ひょっとしたら、自分と同じ考えの人じゃないかと。
「君もパーティーを抜け出そうとしてるの?」
「は、はい。あ、あなたもです、か?」
「はい。そうだ!これも何かの縁です。私の名前を教えましょう。トップス・マイナスです。君の名は?」
「ガ、ガジェット・サーザン、です。」
「同じ侯爵家同士なんですね!じゃあ、君もうんざりしてたんですね。」
「は、はい。た、たくさん人が来て、こ、困り、ました。」
「一緒に抜け出しましょうか?」
「そ、そうだね。」
2人でパーティーを抜け出しました。
それ以来、ガジェットとの付き合いは続いたんです。
ガジェットは、卒業したらどうするか教えてくれませんでしたが、多分私と同じように、王宮に勤めることになると考えていました。それで、入庁式の時に探してみたんですけど、居なくて驚きましたよ。
本当に心配してました。
ですが、今日ガジェットに会って安心しましたよ。
――……――……――……――……――……――……
「良かったな、ガジェットが元気そうで。」
「はい。」
「って!ガジェットは同い年だったのか!気づかなかったぜ!」
「そういえばそうだな!」
「ははは!そうですね。そう驚く人も多いですね。」
年下だと思ってた…
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