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露店を暫く巡ったが、めぼしい武器は無かった。
「ここからが、店舗の武器屋ですね。」
「意外と数が多いんだな。初めて来る人は、露店も有るわけだし、武器選びに悩むだろうなぁ…」
ざっと見た感じ、10店舗以上はある。
武器屋の数にしたら多い方だ。ちなみに、マクリート王国の首都の武器屋は5店舗しかなかった。他の領内でも、各街に2店舗程度だ。
「そうですね。初めて来る人にとってはそうかもしれません。そういう人は、予めオススメの店を聞いてから買いに行きますね。それに、各店舗で取り扱っている武器は分けているので、少しは絞り込むことができますよ。」
「そうなんだな…じゃあ聞くが、オススメの店はあるか?」
「えっ!あ、んー……………」
……
「…イワンは?」
「ん!?ん?んー………」
そりゃそうだな、自分が使う武器の種類じゃないしな。
しょうがない、
「…自分で探すか。」
「えっ!ちょっと待ってください!人から聞いた話を思い出しますから!イワンも思い出して!…ええと、あそこの店の評判は悪かったかなぁ…あれ?あっちの店だっけなぁ…」ブツブツ
「俺に聞くか!よりによって、普段槍しか使わない俺に!」
「それ言ったら、私だって杖しか使いませんよー!」
……ダメだこりゃ
「…イワンは剣を使う時はどうしてるんだ?常に槍を持てるわけじゃないだろう?」
「そういう時はテキトーな店でテキトーに選んで買って、何とかしてるぞ。」
「…それで大丈夫だったんですか?」
「ああ、大丈夫だっぞ。その剣は1日で壊れたけどな!」ガハハハ!!
……
………
「…とりあえず、剣を扱ってる店を案内しますね。」
「…頼む。」
――――――――――――――――――――――
「んー………」
「…次の店に行きますか?」
「…頼む」
―――――――――
2軒目…
「んー………」
「…次の店に行くか?」
「…ああ。」
―――――――――――――――――
5軒目…
「………」
「………」
「………」
―――――――――――――――――――――
「全部ダメだったか…」
「いや、そういうわけじゃない…ダメじゃないんだが…今まで使ってた予備の武器と大して変わらないんだよな〜。」
「それでいいじゃないですか!結局予備の武器なんでしょ!」
「そうだ!そうだ!テキトーに買っちまえよ!!」
「そうなんだがな〜……まあ、いっか…どうせ予備の剣だし。」
残念だ…
まあ、俺が選り好みし過ぎているのかもしれないな…
マクリート王国と比べたら、いい剣の方だ。これで納得しよう。
「さて、もう一度戻ろうか。」
「やっと決まりましたよ。」
「さっさと買ってこいよー!」
「ああ、分かって…」
「おい、どうした?」
「…さっき通った時、あの露店って有ったか?」
「…無かったよな。」
「…無かったですよね。」
っ………………!!
「ちょっと行ってくる!!」
「待ってくださいよ、アクト!怪し過ぎますよ!」
「俺も行くぜ!!」
「ちょっと!イワンまで…はぁ、私も行きますよー!」
――――――――――――――――――――――
この露店は、露店ゾーンと店舗ゾーンを横に仕切る道の角に有った。
成る程、さっきは気づけなかったわけだ。
品物はというと、全て木箱に収められていて、実物を見ることができない。
店主に見せてもらおう。
ちなみに、その店主はフードを深く被り、顔がよく見えない。
「なあ、店主。」
「は、はい!い、いらっしゃい、ませ。な、何でしょう、か?」
…若い男の声だ。
「この店は何を売っているのか?」
「い、一応、け、剣を売って、い、います。」
「見せてもらってもいいか?」
「ど、どうぞ。」
店主が木箱を開けて見せてくれた。
…ん?何だこれ?
「店主、この剣持ってみてもいいか?」
首を縦に振った。
…持ってみるとよく分かる。
これは、普通の剣じゃないな。
少なくとも、鉄の剣じゃない。
だからといって、魔法銀や魔鋼銅というわけでもない!
「…店主、斬れ味を試してみたいんだが、どこかで試し斬りができる場所はあるか?」
「こ、ここにはない、です。で、ですが!ぼ、僕の、こ、工房で良ければ、た、試し斬りができ、ます、よ。」
「ここから近いのか?」
「あ、歩いて、ご、5分ぐらい、です。」
「ちょっと待ってくれ…イワン、トップス、行ってみたいと思うんだが、一緒に来るか?」
「勿論だ(です)!」
「案内してもらってもいいか?」
「は、はい。す、少しお待ちくだ、さい。い、今、か、片付けます、ので。」
「いいのか!?片付けてしまって!」
「だ、大丈夫です。ど、どうせ、だ、誰も来ません、から。」
「そうか、助かる。」
――――――――――――――――――――――
片付けが終わり、工房に案内してもらった。
武器屋通りから外れ、さらに、街の中心部から外れた場所に、工房はあった。
武器屋通り自体、中心部から外れているが、ここは静かだ。
「こ、ここが、ぼ、僕の、こ、工房です。こ、こちらへ、ど、どうぞ。」
「へ〜、広い敷地ですね〜。」
「だな。」
工房はいたって普通の工房だが、隣には庶民より大きい家ーというより屋敷よりだがーがあった。
そして、案内された場所は、工房の裏庭だった。
そこには、鎧をつけた人形が立っていた。
「こ、こちらで、お、お試しくだ、さい。」
「助かる。」
店主は先ほどの剣を俺に渡した。
やはり、普通の剣じゃない。
それに、剣の重さも丁度よく、手入れもよくされている。
「…じゃあ、いくぞ。」
俺は、人形に向かって斬りかかった。
「ハァっ!」
…スパッ
「………」
「………」
「………」
「ど、どうですか?」
「…おかしい。」
「…おかしいですね。」
「…おかしいな。」
「お、おかしい、です、か?」
「ああ、斬れ味がおかしい!おかしいくらい、斬れ味抜群だ!店主、この剣はいくらだ!?」
「き、金貨10枚、です。」
「買おう!」
俺は金貨10枚を店主に渡した。
「あ、ありがとうござい、ます!!」
「ちなみに聞くが、どんな素材を使っているんだ?勿論、他の人には話さないと約束する。なあ、トップス、イワン。」
「はい。」
「ああ。」
「ひ、秘密です。と、い、言いたいところ、ですが、と、特別に教えま、しょう。こ、この剣は、て、鉄と魔法銀と魔鋼銅で、できて、います。」
「どういうことだ?魔法銀や魔鋼銅は混ざり合わないはずなんじゃないか?」
「そ、その通り、でした。で、ですが、あ、あるモノを混ぜたら、よ、よく、混ざりまし、た。」
「あるモノっていうのは?」
「そ、それは、小鬼の血、です。」
「小鬼の血だと!!」×3
「は、はい。」
「それって、奇跡の大発見じゃないかよ!だよなぁ、アクト!」
「ああ!そうだな!」
「で、ですが、これは、ぼ、僕にしか出来ま、せん。」
「素材を集めただけじゃ、ダメなのか?」
「は、はい。ま、混ぜる比率も、か、関係があります、し、け、剣を打つ強さも、か、関係があり、ます。」
「すげーな!」
「ああ、本当に凄いことだぞ!大丈夫だ。約束通り秘密にするぞ!」
「私も秘密にします!」
「この剣は、これ以外の素材を混ぜて作ってもらうこともできるのか?」
「ど、どんな素材です、か?」
「赤竜の鱗だ。」
「せ、赤竜の鱗ですか!!」×3
「ああ。で、できるか?」
「し、正直に言って、や、やってみないと、わ、わかりま、せん。」
「そうか。なら、頼むか?今、鱗を出す。」
「わ、わ、わ、ち、ちょっと待って、く、ください。こ、工房の中で出してください!」
と、言われ、工房の中に出した。
「こ、これが、赤竜の鱗…!」
「さ、触ってもいいか?」
「ああ。」
3人はそれぞれ、触ったり、軽く叩いたりした。
「すげー!本物はこうなのか!」
「やはり、アクトはすごいですね!」
「す、凄い、です!こ、これならもっと、い、いい剣が、作れるはずです!」
「そうか!それならよかった!よろしく頼む。」
「は、はい!お、お任せください!」
「そうだ、自己紹介しないとな。俺はアクト・センタラス。」
「私は、トップス・マイナスです。」
「俺はイワン・ロックだ。」
「ぼ、僕は、ガ、ガジェット・サーザン、です。」
「やっぱり、ガジェットじゃないか!どうしてここに!」
「そうだぜ!サーザン家って言えば、侯爵家じゃないか!どうしてここに?」
「ぼ、僕は三男坊、です。だ、だから、ぶ、武器屋になりたい!って、い、言ったらこの工房を、よ、用意してくれ、ました。き、気軽に話しかけて、く、ください、ね。」
「ああ。」
「はい。」
「よろしくな。」
「よ、よろしく、お、お願い、します!」
オリハルコンに漢字を当てた結果、魔鋼銅となりました。
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