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数日後、俺は学園で内定書を貰った。
「内定おめでとう!アクト君。」
「ありがとうございます、レン先生。」
この先生はレン・ワイル先生(男性)。歳は40歳、既婚者だ。レン先生と呼ぶのは、最初にそう呼んでほしいと言われたからだ。先生は元冒険者で、学園からスカウトされたそうだ。ちなみに、戦闘訓練全般を教えている。
先生は自分が一番お世話になった先生だ。自分が困ってた時には親身になってくれた先生だ。
「先生は一番お前が心配だったんだ。だから、本当に良かったよ。」
「先生は心配しすぎですよ。」
「いや、でも本当に良かった。これからも何かあったら相談しろよ。」
「はい。ありがとうございます。」
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そして数ヶ月後、卒業式が恙無く行われた。
その後……
「よお、アクト」
「これは、これは、ネクトルド公爵家次期当主シオン様ではございませんか。此度は、どのようなご用件でしょうか。」
「おい、お前、本当にアクトか。熱でもあるんじゃないか。そうか、遂に変なものでも食っておかしくなったのか。ああ、可哀想に。」
「よし、一発殴らせろ。」
「冗談だって。」
こいつはシオン・ネクトルド。俺の親友だ。卒業後は、次期ネクトルド公爵として、家に帰り、父親の手伝いをするそうだ。貴族なのに偉ぶらず、親しみやすい奴だ。成績優秀で、それにイケメンだから、モテるモテる。昨日なんか、10人に告られてやがる。
「ところで、お前何の用だ?」
「そりゃ、卒業して暫く会えないだろう友に挨拶に来たわけだ。もし、なんかあったら俺を頼れよ。大体のことは何とかしてみせる!」
「ああ、その時には頼りにしてるさ。元気でやれよ!」
「お前こそ!」
拳を合わせて、俺たちは別れた。まあ、生きている限りまた会う機会があるだろう。
「あら、アクト様ではないですか。」
「これは、これはリエナ様。」
彼女は、リエナ・プライム。プライム伯爵家の次女で、俺より1学年下だ。成績優秀者で、銀髪の美少女だ。
「あなたとは暫くのお別れですわね。今までのこと感謝します。」
「こちらこそ、ありがとうございました。」
「それでは、またどこかでお会いしましょう。お元気で。」
「はい、お元気で」
「先生!」
「おお、アクトか。卒業おめでとう!」
「ありがとうございます。」
「前も言ったけど、何かあったら相談しろよ!」
「はい!先生、今までありがとうございました!」
「おう!元気でやれよ!」
「はい!」
お世話になった人たちに会った後、寮に戻った。
帰って俺は、荷物を整理した。俺は幸い空間魔法(収納)を覚えていたため、荷物はすぐにまとまった。
はあ、 明日はいよいよブレッサム王国か、楽しみなようで、不安なようで……まあいっか、寝よう
翌朝…
この部屋ともおさらばか。今までありがとうな。
部屋を出て、学園にも挨拶した。
懐かしい思い出にさよならだ。
ありがとう
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そして、今はブレッサム王国大使館兼ビターベル別邸にいる。以前聞くと、ここはビターベル様の屋敷でもあるらしい。以前は見かけなかったが、メイドさんと執事の他にブレッサム王国の職員も働いているらしい。
門番は以前の門番で、すぐに取り次いでもらえた。そして、以前と同じメイドさんに案内してもらった。
以前と同じ部屋に案内され、入るとビターベル様がお待ちだった。
「お待たせしました」
「いや、問題ない。別れの挨拶は済ませたか?」
「はい」
「よし、心の準備はいいか?」
「あの、聞き忘れていましたが、何か必要な物は有りましたか?」
「無いぞ。向こうで必要なものは揃えてもらう。といっても、費用はブレッサム王国持ちだから気にするな。そういえば、お前は荷物は持っていないのか?自分の服とか」
「いえ、自分は空間魔法(収納)を持っているので、そこに入れてあります。」
「ほう、そうか。流石だ。…よし、魔法を使うぞ」
「ビターベル様が魔法を使うのですか?」
「ああ、そうだぞ」
「すごいですね。空間魔法(転移)を、しかも長距離で使えるなんて」
「ああ、ありがとう。君も使えるようになるさ。…よし、さあ、行くぞ!」
「……転移!」
「さあ、着いた。」
「ここは……」
「ブレッサム王国首都ブレッサムの城門前だ。普段はそのまま王城に行くが、今回は君もいることだし、城門前に来たのだ。さあ、ついてこい。」
高くそびえる城門を前に圧倒されてしまった俺は、何も言うことができなかった。城門の門番には話がついているらしく、すぐに入城できた。
中に入ると、立派な王宮がまず目に入った。周りを見渡すと街は活気に溢れ、もしかしたらマクリート王国よりも賑やかかもしれない。
「どうだい、アクト君。うちの都は?」
「マクリート王国の都も賑やかなところでしたが、ここも凄い賑やかです。」
「そうだろう、そうだろう」
俺は街に目を奪われていると、ビターベル様が、
「おっと、言い忘れていたな」
「何をですか?」
「ブレッサム王国へようこそ!私は君を歓迎するよ!」
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