17
遅くなりました。
それでは、どうぞ
「ここは…」
…確か、俺はマスターとバトルをしていたはず…それで…
…思い出した!俺は負けたんだった…
やはり強かった…まだまだだな、俺は、
コンコン…ガチャ
「おっ、目が覚めたんだねアクト君。」
「サブマスター、ここはどこですか?」
「ああ、ここはギルド本部の一室だよ。…それにしても、凄かったよアクト君の闘いは!まさか、マスターと引き分けるとは!」
「引き分け?俺の負けではないのですか?」
「アクト君は覚えていないのも無理はないよ。アクト君が倒れたあと、マスターも倒れたんだよ。」
そうだったんだ…
ドタドタ…ガチャ
「おう、アクト元気か?」
「はい、まだ疲れは抜けきれていませんが、元気です。」
どうして、マスターは元気なんだ?不思議だ…
「それは良かったぜ。アクト、約束の景品だ!受け取れ!」
マスターは1つの箱を渡してきた。
なんだろう…見た感じ、武器や防具でもなさそうだし…はてさて、
「開けてみろ」
「では、」
…カパ
「これは…」
「これは、万能薬エリクサーだ。どんな傷、病なんでも効くぞ!流石に、死者の蘇生はできないけどな。」
「こんなのもらえません!絶対に高いですよね!」
「ああ、まあ高いって言ったら高いが、SSSランクの依頼の報酬で買えるか買えないぐらいだ。だから、アクトでも買えるぞ。気にするな。」
えっ、エリクサーって、そんなもんだっけ…
「エリクサーって秘薬とか言われてませんでしたっけ?マクリート王国だと王族しか使えないほど貴重で高価な薬なんですよ!それなのにこんな俺に景品として渡していいんですか?」
「心配ないですよ、アクト君。確かにエリクサーは他国からすればそりゃあもう秘薬中の秘薬で貴重ですよ。」
続けて、サブマスターはこう言う
「でも、それはブレッサム王国以外の話です。ブレッサム王国ではエリクサーのレシピは確立されています。それでも、材料は貴重で、設備も揃っていないとできないので、国で管理していますが。よって、私たちでも手が出ない程でも無いのです。」
「えっ!エリクサーってレシピが確立されているんですね!知りませんでした!…それでは、マスター、ありがたく頂戴します。」
「おう、貰っとけ。あとこれ、証明書な。」
証明書もあるんだ…
ブレッサム王国って、スゲー…
「よし、景品も渡し終えたことだし、帰るか!もういい時刻だ。」
気づいたら、もう夜中だ。
さて、帰ろう。体を起き上がらせると、不思議と体の疲労は完全に抜けきっていた。
「大丈夫そうだな。アクト、ラーガンに感謝しろよ。ラーガンは疲労回復の魔法をかけてくれたんだからな。」
「そうなんですか!ありがとうございましたサブマスター!」
「いえいえ、礼には及びませんよ。いいバトルも見せてもらいましたし、見物料です。」
サブマスターは回復系なのか。
すごいな、あれだけの戦闘の疲労が直ぐに取れるなんて!
俺たちは、それぞれギルド本部を後にした。
そして、俺は寮に帰ってきた。
はあ、疲れたな、さて部屋に戻って寝ようかな…
そう考えていると、バシッと突然背中を叩かれた。
「よう、お疲れさんアクト!歓迎会は楽しかったか?」
「ああ、楽しかったぞイワン。そっちはどうだった?」
「こっちも楽しかったぞ、いやあ食った食った!…おっ、そうだアクト、これから一緒に風呂入らに行かないか?ここの寮の風呂は気持ちいいらしいぞ。」
「へー、風呂か…いいな、行こうか!」
「よしっ、決まりだ!」
「あっ!アクトとイワンだ!歓迎会お疲れ様!ところでどうしたの?」
「やあ、トップスお疲れ様。」
「おお、トップスいいところに来たな、これから二人で風呂に入りに行こうとしたところだ、お前も来るか?」
「うん!行こうかな!」
「それじゃあ、3人で風呂に行くぞ!」
――――――――――――――――――
風呂は気持ちよかった。湯船は広く、露天風呂もあってすごくよかった。
芯まで温まるーー
「はぁー、気持ちいいー。」
「そうだなー」
「そうですねー」
「そういえば、トップスは歓迎会どうだったよ?ちなみに軍務省は楽しかったぞ。腕相撲大会もあったしな。残念ながら、俺は負けちまったがなー」
「そうですね、財務省も楽しかったですよ。先輩たちとたくさん話しましたし。そういえば、アクトはどうでした?」
「…ん?こっちは楽しかったけど疲れたぞ。」
「へー、何したんだ?」
「マスターとバトルした」
「えっ!あのマスターと!で、結果はどうだった?」
「引き分けだった…らしい。俺が倒れた後にマスターも倒れたらしい。」
「スゲーなアクト!今度俺とも戦ってくれよ!」
「気が向いたらなー。」
「おう!お疲れさんだアクト!」
「お疲れ様、アクト!」
「ありがとー」
俺たちは、浴場で歓迎会のことで盛り上がった。
――――――――――――――――――
「おやすみー」
「おう、また明日!」
「おやすみなさい、二人とも」
そして、俺たちはそれぞれの部屋に戻った。
そして、布団に入り、今日あったことを振り返った。
SSSランク冒険者になって、入庁式をやって、グレン様が陛下だと分かって…寮のオリエンテーションを受けて、ギルドに行って、歓迎会して、マスターとバトルして、トップスとイワンと風呂入って…
はぁぁー、本当に疲れた。精神的にも。
それでも、楽しかったなあ…
面白そうな職場に、隣人…
…母上、父上うまくやっていけそうです。これからもどうか、見守っていてください。
エリクサーはブレッサム王国で、一本白金貨1枚ぐらいです。
読んでくださりありがとうございました。
誤字、脱字等ありましたらお知らせください。