表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷から始まる異世界マネーウォーズ   作者: 鷹司鷹我
帝都騒乱編
51/110

衝突

「がはっ! ぐううう・・・」


 壁を数枚突き破り、リャンフィーネはようやく止まった。



「ダーラーン・・・様・・・」


 リャンフィーネはフラフラしながらも立ち上がる。そして、自分が突き破った壁の穴を逆向きにたどって戻ろうとした。




「おーっと、行かせねえぞ?」


「・・・!」


 リャンフィーネが壁の穴を通り抜けようとしたところで、本来の入り口である扉の所にケインズが現れた。



「わるいけど、アンタの相手は俺だ。もしあの()()()のとこに行きたいんなら、俺を倒してからにしな」


「・・・ゲスが」



 リャンフィーネはケインズの方に向き直る。ケインズの立ち振る舞いから、すぐに彼が相当の実力者であると悟ったからだ。


ダーラーンの下に行くためには、この男を先に倒さなければならない。それを感じ取ったのだ。



 ケインズの方も、リャンフィーネが自分の実力を見極めることが出来るほどに強いこと、そして恐らく自分よりも強いことを感じ取った。



「・・・逃げるのなら今のうちだぞ下賤な男。今なら特別に、ダーラーン様を偽の神と呼んだことには目をつむってやる」


「それはそれは、慈悲深いことで。でも悪いが、俺も引き下がるわけにはいかないんでね。少なくとも、あっちでお前の神様が俺の仲間にやられるまでは」


「キサマ・・・ダーラーン様がただの人間ごときに負けるとでも?」


 リャンフィーネはその瞳に、憎しみの炎を宿した。狂信者特有の、絶対的信心から来る敵愾心てきがいしん。それは、それを向けられたケインズの体を一瞬硬直させる。



 しかし、ケインズはひるまず言い返した。


「人間ごときに負ける? そりゃそうだろ。お前の神様だって、ただの人間なんだからな。それも、『自分が神になれる』なんて勘違いしている間抜け野郎だ」


――――ブチッ


リャンフィーネの額から、血管がはち切れる音がした。リャンフィーネの顔が赤に染まる。


「殺してやる」


リャンフィーネは一言そう言うと、ケインズに向かって突進し始めた。しかし、


「ガウッ!」


「・・・っ!」


 突進してきたリャンフィーネの右腕に、巨大な赤毛の狼が噛みついた。狼の牙がリャンフィーネの右腕に食い込み、赤黒い血が流れる。


「・・・っ、エン・ブラスト!」


――――ボンッ!


 リャンフィーネの右腕が、突如爆発した。噛みついていた巨大な狼も、思わず噛みつくのをやめて距離を取る。しかし、爆発そのものの威力はさして高くはなかったため、狼は無傷だった。



 噛みつかれた右腕を押さえて二歩下がったリャンフィーネに、ケインズは意地悪く笑いかける。


「わりいな、さっきの『アンタの相手は俺だ』ってのは嘘だ。アンタの相手は“俺たち”だ」


ケインズがそう言うと、彼の後ろからソーッと一人の女性が姿を現した。



 彼女の名前はティエナ。スキル:万能使役マスター・オブ・テイマーを持った金等級冒険者で、ケインズの三人の仲間の内の一人だ。



「わ、わたしたちも、あ、あいてをし、します」


 ティエナは緊張した様子で言った。そして、ケインズの後ろから現れたティエナと一緒に、もう一匹の赤い狼が姿を現した。その狼の片目には大きな傷がついていた。



 この二匹の赤い狼は『レッドウルフ』と呼ばれるモンスターの一種で、高い戦闘力を持っている。ティエナはスキル:万能使役マスター・オブ・テイマーを使って、この二匹を使役して戦う戦闘スタイルだ。



「リー。ヴィー。あ、あの敵をた、倒すよ」


 ティエナは緊張した様子で、二匹のレッドウルフに言った。その言葉に合わせて、二匹のレッドウルフも本格的に臨戦態勢に入る。ちなみに、顔に傷がある方がリーで、ない方がヴィーだ。



 自分を狙う4体の敵を見て、リャンフィーネは歯ぎしりをする。その表情には、いち早くダーラーンのもとに行きたいのに、それが叶わない事への苛立ちが現れていた。



「・・・本当にイヤになる。何故あなたたちは、私がダーラーン様のところに行くのを妨げようとするの?」


リャンフィーネの質問に、ケインズは答える。


「そりゃ簡単だ。それが俺たち『冒険者』の仕事だからだ」


「そ、そのとおりです。わ、わたしたちの仕事は、あ、あなたを足止めす、することです」


そう言うと、ケインズとティエナの二人は身構える。


 それに呼応するように、リャンフィーネも身構えた。さすが元白金等級冒険者であるだけあって、そこには一分の隙も無い。



「・・・もういいわ。あなたたちを殺す。そして私はいち早く、ダーラーン様の下に向かう」


 言い終えると、リャンフィーネの体から激しく炎が吹きだした。そして彼女は炎をまとったまま、二人に向かって突進した。



「せいぜいあの世で、ダーラーン様に刃向かったことを後悔しなさい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ