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奴隷から始まる異世界マネーウォーズ   作者: 鷹司鷹我
変異トロールとの戦い
27/110

トロールとの戦い

百メートルほど森の中へと押し入ったところで、彼女は急な斜面に出た。まさに断崖絶壁、絶体絶命と言ったところだ。


立ち止まった彼女と、彼女の後ろの、とても飛び降りられそうにもない崖に気がついて、


「グファファファファファ・・・」


トロールはそんな気色の悪い笑いをたてる。しかし彼女は、振り返るとにやりと笑って、


「いまよ!」


そう叫んだ。


その直後、トロールが立ち止まっていた真上から、木から飛び降りた二人の男が、一人は黒い甲冑を着た、もう一人は、比較的軽装ではあるが体格のいい男が、トロールに飛びかかった。


「死ねええええ!化け物オオオオオ!」


甲冑を着た男はそう叫んで、両手で握りしめた剣をトロールの頭に振り下ろした。


しかし、


――――ギイイン!”


「!?」


金属音を響かせて、剣ははじかれた。


そして、


――――ぐちゃっ


鎧ごと握りつぶされた。もう一人の体格のいい男は


「うおおおおおおお!」


縄をトロールの首に巻き付け、それを思いっきり絞めた。


「おおおおおおおおおお!」


体格のいい男は声を上げ、力を振り絞り、トロールを窒息させるべく、手の皮がロープに引き裂かれ、血が噴き出すほどに引き絞った。


しかし、


「グファファファ・・・・」


トロールはそんな下品な笑いで、男の努力をあざ笑った後、


「ぐわあああああ!」


自分の背中と巨大な木で体格のいい男をサンドイッチにし、押しつぶし始めた。体格のいい男は、しばらくの間は足の力で踏ん張っていたが、


「ぬああああああああ!」


――――ぐちょ


そんな音を立てて潰れた。






二人を殺したトロールは、ようやく女の方に取りかかった。女の方に手をかざすと、トロールの手のひらが輝き始めた。


「・・・・・・っ!」


彼女の脳裏に、先ほどこのトロールによって焼き尽くされた、エルフ達の姿が映った。このままでは、自分もまた、彼らのように殺されてしまう。


それを悟った彼女は、一か八か、覚悟を決めた。そして、崖を飛び降りた。


――――ガッ! ゴッ! ドカッ!


彼女の体に、崖に生えた木々や岩がぶつかり、そんな鈍い音を鳴らした。そしてそのまま、崖下へと転げ落ちていった。


トロールは魔法を繰り出すのをやめ、彼女が落ちていった崖を見下ろした。辺りには、エルフの村から漂ってきた煙が立ちこめ始め、下の様子は見えない。


しばらくしてトロールは諦めたのか、それとももう死んでしまったと思ったのか、興味を無くしたようにそこを立ち去り、まだ生きた()()()()がある場所を探して、“のそのそ”と歩き出した。


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