蹂躙されるエルフの村
「ギャアアアアアアア!」
「熱いよ!誰か消して!」
「いやあアアアアアア!」
「神様神様神様神様どうかお助けくださ・・・ぎゃあああああ!」
「死にたくない!死にたくなギャッ!」
「たす・・・ベチョ」
「ヴオオオオオオオオオオオオオオ!」
中には体の半分が焼け焦げた者、中には手足が一本ずつしかない者、中には今も燃えている者、そんな多種多様なエルフがそれぞれ、巨大な木々の間を逃げ惑っていた。
長寿の彼らだが、もちろん不死ではなく、それ自身の肉体強度は人と何ら変わらない。逃げ惑っている中から、次々と倒れ死んでいった。
そして彼らに死を与えていたのは、
「ヴオオオオオオオオオオオオオ!」
そんな雄叫びを上げる巨大なトロールであった。トロールが逃げ惑うエルフに手を向けると、手のひらが光った次の瞬間、
――――ゴオオオオオオオオ!
そんな音を立てて炎の渦が手のひらから飛び出し、エルフ達を襲った。
「ギャアアアアアアア!」
炎の渦に巻き込まれたエルフ達は、そんな断末魔を上げながら絶命していった。渦の端の方にいたおかげですぐに中から飛び出せた者もいたが、少し這いつくばった後、
――――ブチュ
そんな聞き苦しい音を立ててトロールに踏み潰された。
「ヴァッハッハッハッハ・・・」
トロールは殺すたびに、そんな気色悪い笑い声を上げていた。それは明らかに、殺した相手の命を冒涜する笑いだった。
「だれか・・・・・助け・・・・」
エルフの一人が目前に迫るトロールから這いつくばって逃げながらそう懇願した。しかし、無情にもトロールはその気色の悪い笑いと共にそのエルフを踏みつけにしようとした。が、
「穿て電撃! ライトニング!」
――――バチッ!
「ヴオオオオオオオオ!」
顔面に強烈な雷撃を喰らい、トロールは叫び声を上げる。
「そこの人! 立てる!?」
雷撃を放った女は、トロールの前に倒れるエルフにそう尋ねた。しかし、返事がない。彼女はエルフに近づいて助け起こした。
「ちょっと! わかる!? 早く逃げ・・・・っ!」
助け起こしたエルフは、もうすでに事切れていた。よく見れば、はらわたがなくなっていた。
「・・・・・っ!」
彼女は、言葉にならない悔しさを吐き捨てて、エルフの体を地面に横たえると、立ち上がり走り出した。
「ヴオオオオオオ!」
ようやく雷撃の痛みから立ち直ったトロールは、自分にそれを与えた女を追いかけ始めた。
「こっちよ!ついてきなさい!」
彼女は木々の間を抜け、森の奥へ奥へと入り込んでいく。それを追いかけ、トロールもまた森の中へと押し入っていく。




