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奴隷から始まる異世界マネーウォーズ   作者: 鷹司鷹我
紙幣製造編
106/110

終幕

これで最終回です。長らく読んでくださり、ありがとうございました。

「準備は良いかい、レイ?」


 フォートは銃を“ガチャリ”とリロードすると、となりでウォームアップをしていたレイにそう尋ねた。


 レイは「ああ、問題ない」と答える。



 彼らの居る場所は……暗闇。しかし、ただの暗闇では無い。

 ここは王宮に存在する、ごく限られた者しか知らない“警備の穴”だ。





「さて……あとはレミリオさんの合図を待つだけだけど……」


 フォートはそう言って、僅かに光が漏れ出る“のぞき穴”を覗いた。

 そこからは、帝国軍総統であるレミリオが国王に“戦争計画”についての最終説明を行っている様子がのぞき見えた。



 今回の作戦は、レミリオが計画の説明を終えると同時に、最後に『本当に戦争をするつもりがあるのか?』と国王に尋ね、そして国王が『する』と答えたとき、開始される。


 作戦開始と共にレミリオが、懐に忍ばせておいた拳銃で王を暗殺し、それと同時にフォート達“王宮制圧班”が王宮を制圧。


 国王を含む全王族と戦争推進派の貴族達を捕縛もしくは暗殺する。



 さらにそれらと同時並行して、王家直属の領地に駐屯する“王族私設兵”達を、戦士長であるウィーゼルを中心とした帝国騎士団が制圧。


 帝国の王族派勢力を迅速に封殺するのだ。



 もちろんこの作戦は、もし王が『戦争はしない』と言ってくれさえすれば発動することは無く、何事も無く終わる。


 しかし残念なことに、恐らくそうはなら無いだろう。ほぼ確実に、クーデターは決行しなければならない。





「やれやれ……ようやく黒幕を倒したと思ったら、今度はクーデター…休む暇が無いね」


 恐らく途方もないほどの長丁場となるであろう作戦を直前に控え、フォートはそんなことをぼやく。それを聞くとレイは、呆れたように言った。


「そんなに面倒なら、しなきゃ良かっただろ。戦争が起きようが、私達は痛くもかゆくも無いんだしな」


「そうはいかないよ。前にも言っただろ? 僕は会長の……ミカエル・ビスマークという偉大な人物の意志を継がなければならない」


「……自分のかわりに死んでくれたからか?」


「そうだね。その通りだよ。……いやでも、それだけじゃないな」


「……? どういうことだ?」


 フォートの言葉にレイは首をかしげる。そんなレイの様子を見て、フォートは僅かな笑みを浮かべた。


「実は最近思うんだよ。会長うんぬんは関係なく、僕は“世界を平和にしたい”んだってね。会長の意思なんかじゃなく、自分の意思で世界を平和にしたいって思うようになってきたんだ」


 フォートの言葉を聞いて、レイは少し意外そうにする。


「へぇ……なんでだ?」


「まあ理由はいろいろあるけど……やっぱり一番の理由は“それが楽しい”からだよ」


「……楽しい?」


「これも前に言ったと思うけど、僕はこの世界に転生したからには、自分に出来ること全部をして、行けるところまで行きたいんだ。そして今、目の前には“世界平和”という”超ド級の目標”がある」


「……だから目標に向かって前進……てことか?」


 レイの問いに、フォートは笑って答えた。


「そうだよ。だって楽しそうだと思わない? 世界平和なんて、これまで誰も成し遂げたことが無い目標に向かって進むなんて。努力のしがいがあるってものだろ?」


「……さあな。私は興味が無い」


 レイのつれない答えにフォートは「そうですか……」とつぶやいた。



「……おっと、無駄話もここまでだね。どうやら時間だ」


 レミリオによる計画の説明が終わったのを確認して、フォートは銃を持ち直した。レイもまた、両手に短剣を握り、深呼吸をする。





「……最後に尋ねます、陛下。本当に……実行なさるおつもりですか? この計画は、我が国の民を含め、多くの人間の命を奪うことになります。もしかすれば、世界が終わってしまうかも……それでも陛下のお考えは変わりませんか?」


 レミリオは最後の希望をかけて、国王にそう尋ねた。


 しかしそんな”最後の情け”に気がつきもせず、国王はまるで自分のことしか考えていないかのような下世話な笑みを浮かべた。


「無論だ。そうすることが帝国にとっては一番だろう? 違うか?」


 レミリオは答えを聞くと「はぁ……」とため息をこぼした。


「……そうですか。残念です」


 レミリオはそう言うと、懐に手を突っ込んだ。そして、


 ――――パンッ!


 忍ばせておいた拳銃で、王の眉間を打ち抜いた。







「きゃああああああああああああ!」


 王のすぐ側に控えていた召使いが、そんな悲鳴を上げる。それと同時に、銃声を聞きつけた警備兵達が部屋に飛び込んできた。




「さあ! 行くよレイ!」


「わかってる!」


 二人はそう言うと、続々と押し寄せる兵士達の軍団に向かって行った。











 フォートの“世界平和”という野望は現実となったのか? それは誰にもわからない。しかし一つだけ言えることがある。


 それは、少なくともフォートという人間が現れたことによって、この世界の歴史は大きく変更を余儀なくされたと言うことだ。


 そしてその変化は……少なくとも、世界を少しは良い方向に導いたと言えるだろう。





 これは退屈な人生に飽いていた少年が、自らの役目を見つけた物語。

 自分の居場所と、大切な人を見つけた物語だ。


良ければ評価もよろしくお願いします。あと感想もいただけるとうれしいです。


同一作者の小説で『貧弱魔王と最恐勇者の世界征服』という話も投稿しています。内容としては、できるだけバトル展開は避けて頭脳戦を主軸に、魔法兵器で『あっと驚くような作戦』や『その手があったか!』みたいな事をして人類を蹂躙していく話です。


この『奴隷から始まる異世界マネーウォーズ』を楽しんで頂けた方なら、きっとそっちの話も楽しんで貰えると思うので(たぶん)、よろしければ下にある作者マイページの所から読んでもらえるとうれしいです。




※ここからは作者の“あとがき”兼“独り言”が長々と続きます。面倒な人は読み飛ばしちゃってください。


(あとがき)


とりあえず言わせてください。

本当にここまで長い間読んで頂きありがとうございました!


思えば、始めてこの小説を投稿したのはもう半年以上前。こんなにも長い間読んで頂けるなんて、本当に感銘の限りです。


投稿したての頃は全然読んで貰えず、まさかこんな百何十人もの人たちに読んで貰える日が来ようとは思ってもいませんでした。


ここだけの話、これまでに何度も『もう投稿は止めてしまおうかな……』と思い悩んだのですが、しかしここまで続けて来れたのは他ならぬ読者の皆様のおかげです!



裏話になりますが、実はこの『奴隷から始まる異世界マネーウォーズ』と言う作品は元々、小説家になろうに投稿するつもりで書いた話ではありませんでした。小説大賞とかに応募するために書き始めたものです。


しかしまあ、ここまで読んで頂けたのならわかると思いますが、この作品は応募するには少し長すぎました。そういうわけで、応募を断念しました。


しかしせっかく書いたのだから、誰にも読んで貰えないのは忍びない。そう思ったので、せっかくだからこの小説家になろうに応募することにしたわけです。


……が、投稿し始めたは良いものの、誰も読んでくれませんでした(笑)まあそりゃそうですよね。こんな拙い文章で書かれた無名の作家の作品なんて、誰が読むんだって話です。僕が読む側だったとしてもそうそう読まないでしょう。


そんなわけで一向に読んで貰えない状況に耐えかねて「もう投稿は止めようかな」と思い始めたわけですが、しかしそんなときに始めてブックマーク登録がされました。このときは本当にうれしかったことを覚えています。


そしてポツポツと読んでくれる人が増え始め、評価もして貰えるようになりました。この辺から僕も、『どうすればもっとたくさんの人に読んで貰えるのか?』ということを研究し始めました。


そのおかげかはわかりませんが、ついにこの拙い作品に感想まで書いて頂けるようになりました! 内容は『良かった』というものから『つまらなかった』と言うものまで色々でしたが、それでも自分の作品を真正面から読んで頂けている事がわかって、それがとにかくうれしかったですね。


まあこんな自分語りはこの辺にしましょう。きっと皆さんも「つまんな」と思っているでしょうし。

ここからは少し、裏話をしたいと思います。



お気づきかも知れませんが、この『奴隷から始まる異世界マネーウォーズ』という作品にはいくつか、登場したのに使われなかった要素があります。特に冒険者編から帝都騒乱編の辺りで、多く見受けられると思います。


実のところ、この『奴隷から始まる異世界マネーウォーズ』はもう少しだけ長くなる予定だったんです。しかしそこが『蛇足である』と判断したので、削りました。


どういうことか。簡単に言うと『バトルものが苦手だと気がついたから』です。


お察しかも知れませんがこの作品、帝都騒乱編の辺りでかなり“だれて”います。長々とバトル展開が続き、山か谷かで言うところの“谷”の部分に陥ってしまったわけですね。原因はもちろん、作者の実力不足です。


『バトル展開が苦手だ』と気がついたので、筆者は慌ててその後のプロットを書き直しました。その後にあったいくつもの“バトル要素”を削ったわけです。こうして現在のように落ち着きました。


今思えば『マネーウォーズ』と謳っているのにバトル展開とか、タイトル詐欺も良いところですね(笑)。ほんとうにあらすじを書き換えて良かったと思ってます。


そんなわけで、元々書く予定だった“バトル展開”のために用意しておいた要素がいくつか没になりました。そのせいで使われなかった要素がいくつも出来てしまったわけです。


でも、書き換えたことを後悔はしてません。むしろ良かったと思っています。そのおかげで、この作品がよりよいものになったと思うので。


そしてそんな風に『バトル展開がつまらない』という事に気がつかせてくれた読者の皆様には、本当に感謝しています。もし皆様がいなかったら、きっとこの話は今よりもずっとつまらない話になっていたでしょう。


さて、長くなってしまいました(本編よりも長いのは内緒)。これ以外にも書きたいことはたくさんあるんですが、全部書くと迷惑になるのでこの辺にしときます。


それでは最後にもう一度。

最後まで読んでくださり本当にありがとうございました! またどこかでお会いしましょう!


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