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20歳になったら妖怪の類と生きる事になった。  作者: 積乱雲さいだー
第一章 原初の妖怪冬物語
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第三話【ただ前を向けだった】

 妖孤VS邪鬼、今、戦いの火蓋(ひぶた)は切って落とされた。


「経輔、結界ギリギリまで下がるのじゃ。それから、結界には触れないようにの」


すり足で後ろに下がり、言われたとうり結界すれすれで止まる。


粉塵が舞う中から、赤黒の巨体が現れ、地鳴りと共にこちらに、近づいてくる。


「貴様なんぞ瞬殺だ!!!!」


邪鬼が言い放った瞬間、風切り音と同時に一気に間合いを詰めてきた。妖孤の手前で止まり、ジェット機並みの早さの右ストレートをブチ込んできた。

衝撃音が鳴り響き、拳は地面にめり込み、ほぼ突き刺さっていた。


完全に死んだ。


「な、嘘だろ・・・、妖孤ぉぉ!!!」


――が、邪鬼の腕を走って上ってる小さい物体が認識できた。


「ちょこまかとぉ・・・!動くなぁ!!」


妖孤を左手で叩く(はた)がそれを華麗に避け邪鬼の頬へめがけて回し蹴りを放った。

『ズッパァァン!』と言う音と同時に顔面が左方向へ吹っ飛ぶ。


「うっ、がぁぁぁ!!」

「な、えぇぇぇぇーーーーーー!!!!!」


ギャグアニメさながらの顔面で叫んだ、口も開きすぎて、顎も外れる所だった。


あの大きな巨体が、華奢(きゃしゃ)そうな身体の小さな足の”蹴り一発”で強大な体が倒れて行く、そして、たったの数秒で邪鬼に膝を着かせた。


「狐の分際でぇぇ!」


直ぐに立ち上がり、地に足をつけた瞬間、いきなり妖狐の背後へ移動したのだ、あの巨体で物凄いスピードだ、邪鬼も回し蹴りを仕返す、だが背後からの攻撃もいとも簡単に避ける妖狐。


「これが、妖怪同士の戦いなのかよ・・・」


改めて感じた、俺がいる世界は死と隣り合わせなんだと・・。

母さん父さん、もしかしたら今日が俺の命日になるかもしれない。誕生日に死ぬなんて縁起が悪すぎる。


「くそっ!なら人間の方から殺すまで!」


はい、さよなら"山本経輔"速攻フラグ回収お疲れ様です。こちらに目線を寄こし、コンマ数秒で、俺の手前に現れた、やっぱりとんでもないスピードだ。

空を切る音と共に、至近距離から巨大な拳が接近してくる。


瞬きする間も無く、攻撃が襲いかかる。


だが、拳は経輔の顔面すれすれで止まる、何故止まったのか?よく見ると俺の視界には"お札"があった、邪鬼の結界と似た幕が自分を覆っていた。

多分だが、妖狐の結界が発動し間一髪のところで守ってくれたんだろう。


「た、助かった・・・」

「ちっ、しかも、その札はまさか・・・!?」

「あぁ、ある人間の作りし”札”だよ」

「そこまで、人間に肩入れいていたとは!この妖怪の恥が!」


妖狐の周りに札が飛び交う。

和彦が作り、妖狐に預けていた道具、妖怪のから守り妖怪を倒す、聖の力を持つ札。


「経輔!油断は禁物じゃぞ、その札の護りも限度がある!」

「へ?」


やはりそこまで都合のいい道具がある訳もなく、結界へ連打を浴びせる、耐えられなくなってヒビが入るが、妖狐はすかさず、邪鬼の背後からの蹴るが、それを、邪鬼は左に避け後ろに下がり、妖狐ごと結界と俺をを殴る。だが、妖狐はとっさに拳に札を張り勢いを止める、そのまま拳を前方に蹴り、腕ごと吹っ飛ばされ後ろに仰け反るが、バク転をし態勢を立て直す。


「まったく、デカイ図体してなんて身軽なのじゃ」

「なかなか強いな妖狐・・・だがな、貴様のその札の守り”妖怪の力”だけを防ぐんじゃないかぁ?」


そう言うと、不敵に笑い、プリンをスープンですくうように、地面を握り、豪速でぶつけてきた。

プロ野球選手も顔負けの綺麗なフォームで投げる邪鬼。


「まずい!!」


経輔を蹴り横に回避させた。そして、何故か妖狐は邪鬼の後頭部にいた。


「後ろじゃ!!」

「なに!?」


後頭部に強烈なローキックが放たれた。

邪鬼は耐えきれず前のめりに倒れるが、受け身をとり態勢を立て直し、妖狐を睨みつける。


「下劣かつ卑怯な手を使いおって!!!」

「これが、『瞬間移動(しゅんかんいどう)式札』私オリジナルの効力じゃ」

「ク、クソ狐がぁぁぁぁ!!!!」


腕を振り回すが、妖狐は華麗にかわす、だが、邪鬼の攻撃スピードが増していく、怒り、憎しみの力で、火力も上がる。


直撃すれば、身体が分解してしまうだろう。


たが、回避に専念し過ぎて、妖狐の隙が見破られた、右ストレートの後、下に回避したが、それを足払いする。それをジャンプでかわす。

そして、妖狐を空中に留め、足払いから回転してそのまま回し蹴りに移行し、妖狐に重い一撃が入る。


なんとか、結界で護ったものの、衝撃と破壊力に押され、何百メートル以上は吹っ飛ばされた。



こんなにも妖狐が大変な状況なのにもかかわらず経輔は、『頭の中は恐慌状態』だった。



――なにが、起きてるんだ、何をしてたんだっけ・・・?


そうだ・・・妖怪の世界にいるんだったな。


生きて、る・・・のか?


目の前に映ってるのは、現実なのか?


それとも夢?


あー・・・、いや、幻の可能性もあるな。


はぁー・・・それにしても、肌寒い。


でも火照ってる感じもあるな。だけど小刻みに震えるし、後・・・、息も詰まる。


怖い、怖すぎる。

今すぐ帰りたい、帰りたい・・・。

分からない、分からない、なんにも分からない・・・。

理解が、追いつかない・・・。


そんな無防備で上の空な経輔を見て邪鬼は考えた、先程はこのまま妖狐と闘っても長引くと思い、人間を優先的に殺しに行ったが、結界に塞がれた。

だが、抉った地面をを投げた時に『蹴ってまで回避』させたと言うことは、やはり妖狐の結界からは物体の攻撃は守れない、なら、チャンスは今しかないな。


またもや、殺人鬼の笑顔の如くニヤついて、地面をすくい、川遊びの水切りの様に、経輔目掛けて、投げつけた。


「くっ、このまでは!経輔避けるのじゃ!!!」


妖狐は叫ぶが、助けに行こうにも、距離が遠すぎる。経輔の前には既に瓦礫が飛んできているのが見えた。

『あぁ、これ本当に死んだ』そう思った、その瞬間・・・腰は抜け落ち膝をついた。


「――ちっ・・・、運のいいやつめ」


――しかし、死ななかった。何故死なない?何が起きた?

そう・・・かなりの奇跡だった、グレートミラクルだった、神様ってのが居るかもしれないと、そう思わせるほどの”幸運”だ。腰が抜け、膝をついたと同時に頭は少し下がった、

そのお陰で頭上すれすれに瓦礫が飛んで行ったのだ。

まるで、『死ぬな』と言われている、そんな気がした‥。


「・・・はぁ、全てが無駄に終わるとこじゃった・・・」


安堵の顔を浮かべるが、その顔つきも直ぐに焦りの表情を浮かべる。先程まで澄まし顔していた妖孤も流石に歪む。


「二度目はないぞ!!!」

「させるわけないじゃろ!」

「(フフ、そうだよな、貴様はそう来るよなぁ?)」


邪鬼は直ぐ傍にあった、電信柱を右手でブチ抜き、軽く手捌きをしながら、妖孤に向かって薙ぎ払う、だがスライディングで避け、股の間をすり抜けて経輔の元へ直行しようとするが・・・。


「俺の狙いは貴様らだぁ!!!」


高らかに叫ぶと同時に高く跳びあがる、邪鬼は『銛で魚を射抜く』ような持ち方に変え、空中で前転し、頭が下に向かさった時に、電信柱を握った手と腕の血管が浮かび上がり、筋肉が膨張し、まるで岩肌のように頑丈な剛腕になる。

顔もかなり力んだ表情となり、妖孤めがけて、電信柱を投擲(とうてき)する。


轟音と共に柱は低空で向かってくる、走るのを辞め、後ろを振り向き避けの体勢をするが、邪鬼の企みに気づく。

妖孤の間後ろには、魂が半分抜けた経輔がいたのだ。


「私ごと射抜くつもりか・・・!」


だがそれでも、妖孤は横移動で避けたのだ。

勿論、経輔を見捨てた訳ではない、裾から、一枚の札を取り出し、自分の真横を通りすがり中の投擲された柱に札を張り付けた、その瞬間、爆発しへし折れ、そのまま有らぬ方向へ飛んでった。


しかし、邪鬼の追撃は終わらない、空中で前転途中だったのそのまま回転し、着地し、コンマ数秒もしない内に飛翔し、妖孤の真上に移動し、地面をかち割る勢いで、拳を落とす。

なんとか、ギリギリでかわし、風圧を逆に利用し、経輔の元へ移動した。「隕石でも落ちたのか?」とい言うぐらいの衝撃と音が町中に鳴り響く。反響した音はかなり大音量の筈なのにそれでも経輔の体はピクリとも動かない。

――そこまで、精神崩壊している事に妖孤は、少しだけ動揺した。そして、未来に不安感を抱いた・・・。

まだ、半日も経っていない、これから経輔は死ぬまで妖怪の類と向き合って生きていかなきゃならないのに、ここで恐怖を克服出来なければ、ただただ引き籠り、命が勝手に枯れ落ちるのを待つのみだ・・・。


妖孤は改めて、『和彦の頼みを全うする困難』さを身にしみて感じた、いくら何百年生きた妖怪でも、数秒だが考える。


でも、私が考え込んだって意味は無い。


これからの、道のりを決めるのは経輔だ。


私はあの時、『やれるだけやる』そう答えた。

実際、暇つぶし感覚だったのは認める、でも――


――今は少しだけ違う。


私はたった五十年だけだが、山本家を見守ってきた、

楽しい日々も、苦しい日々も、その全てを見てきた。

赤ん坊の頃から、ずっと、ずっとだ。


人間からしたら長い年数を。


その全てが見てきた全ての過去が、これから先の未来が、台無しになるのは、興ざめだ。


妖怪にだって”約束を守る”事くらいして見せる。


だから私が今、経輔にしてやれることは、唯一つだ。


『背中を押してやる事じゃな・・・』


そうして、妖狐は経輔の軽く頬を叩いた、でも芯に響くように、心をこめて叩いた。


「・・・妖狐」


かぼそい声で、愁色(しゅうしょく)の濃い顔で妖狐を見る。


しっかりしろ・・・か・・・。


分かってる、精神参ってる場合じゃない事くらい。


でもさ、俺は今まで平凡な人生を送って来たんだ、危険なく、ただ、暇な日常を生きてきた。

それなのに、いきなりこんな非常識な状況で、妖怪が見えるとか、殺されそうになるとかさ、しかも一変して、前より死がまとわりつく人生なんてさ・・・。

覚悟だってまだ全然出来てないのに・・・。


「(はぁ、今日死ぬのかな・・・)」


なんにも成し遂げてなく、皆んなに比べて能力も低く、人の何百倍も努力して頑張らないと凡人にすら追い付けない、そのくせ努力するのが嫌いで、単純に馬鹿で、しかも、すぐネガティブな考えして、逃げる・・・。

自分の弱点なら全部理解してるつもりだ。だからこそ俺は20年間、逃げようが、諦める事はしなかった。

もう一度立ち向かった。


結局、敗北を味わう結果でも俺は向かったんだ・・・。


きっと俺は今、自分を振り返って、客観的に見てるんだろうな、反省して死ぬ準備万端ってとこかな。


・・・なんてな。


冗談さ、いや、俺の弱点に関しては本当だ。


冗談なのは死ぬ準備万端の所さ。


不謹慎だがよ、初めてなんだ、こんなに恐怖してるのに、死ぬほどの目に遭っているのに、これから先の未来が楽しみで仕方がないんだよ!!!


俺は頬に当たってる、妖狐の手をそっと握った。


そして、目を瞑った。


時間は無い、邪鬼はすぐそこまで来ている。

それでも、俺はゆっくり深呼吸をし目を閉じ続ける。


俺は弱い、ただの人間で、普通にすらなれない悲しい役立たずさ。


でも、俺は死ぬ訳にいかないんだ・・・。

死ぬのは絶対に駄目なんだ。


何が何でも生きなきゃだめなんだよ。


死んだ・・・妹の――


――為にも!!!


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実は俺に同い年の妹がいた、いわゆる双子だ、だが・・・産まれた瞬間どちらも死ぬ寸前だったらしい。


そして、片方の命しか繋げない状況になり、結果的に俺が生きた。


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確かに、妹の顔すらわからない、どんな性格かも、どんな声かもわからない。でも俺がこの話を聞かされてから、誓ったんだ、妹の分まで、精一杯生きると。


勝手だが、約束したんだ。


だから・・・ここで、終わる訳には行かないんだ!


妖狐の手をギュッと強く握り。


俺はただこう言った。


「すまなかった、精神が異常値まで達してたよ、妖狐、今度はちゃんとお前を見てる、目をはなさい、だからアイツに勝ってくれ!」

「うむ、了解した、しっかりとその目に焼き付けるがよい!」


何故だろうか、少し体が軽くなった、どこが自分で吹っ切れたのだろう。


これでようやく、しっかりと前が見える。


「なんだ、どちら共、死ぬ覚悟は出来たか?」

「違う、生き抜く覚悟だ」

「・・・人間風情が、ほざくなぁ!!!」


邪鬼は足を高く上げ、地面を抉りように蹴った、礫が高速で飛んでくる、それに向かって、妖孤は一枚の札を爆発させ、爆風で礫てを防ぐ。


経輔、頬すれすれに礫が通り過ぎるが、精悍(せいさん)ある表情で前を見続ける。

自分なりの勇気ある意思を見せつけるべく、震える唇を噛みしめ、手のひらに爪が食い込むくらい、拳を握る。

曇りなき(まなこ)で邪鬼と妖孤の戦いを見る。

現実をしっかり正視する。

それが、今自分に出来る唯一の事なのだから・・・。


粉塵の舞う中から妖孤が勢いよく飛び出し、数十枚の札が妖子の周りを囲みだし、そして一斉に射出する。


「ここで終わらせようぞ、邪鬼!」


「終わるのは、お前達だぁ!!!」


またもや、邪鬼の本気右ストレート、だが最初の戦闘のやり取りのように、妖孤が極太な腕を跳び箱代わりの様に使い跳躍でこ避ける。また腕を走り、顔面まで一直線に走る。

デジャブ、何処かで見た状況、俺ですら理解できたのだから、妖孤や邪鬼は尚更、何処かで見た光景だろう。


そう、理解していたそれが”デジャブ”だと・・・。

邪鬼は理解していた。


だからわざとこの状態を作り上げた。


妖孤が顔面にたどり着く前に、腕を後ろに引き下げた。

それはもう、風音が空間を揺らすぐらいの勢いで。


邪鬼の狙いはそのまま音速を超える速度で、腕を引く事により、妖孤が空中に置き去りにされ、無防備にさせそこを叩く作戦だった。


しかし・・・それすら読んでいた妖孤は、引いた腕にしがみつき、邪鬼の思惑をなんなく回避する。

しかもそれが逆に良い隙を突ける、絶好のチャンスと変わる。その場所から、邪鬼の頬へ高速で飛躍し、妖孤は足の裏に札を張り付け、仮面ライダーさながらのキックをする。


ヒットした!そう俺は思った。きっとライダーキックかました張本人だって、そう思ったはずだ・・・。


だが・・・。


決して忘れていた訳では無い、それでも、その数秒が、勝利という文字が見えた、それがいけなかったんだ・・・!


邪鬼の”憎悪の信念”を痛感した。


その渾身の蹴りを、後ろ首を逆く”くの字”に、曲げ、腰を少し下げ、妖孤の蹴りが真下から見えるくらいのギリギリで回避された。

そのまま膝を曲げ、イナバウアー並みにブリッチをし、そのまま、自分の顔面真上で、空中かつ無防備な妖孤にめがけて、右フックをする。


これはもう駄目かもしれない、一瞬でも普通なら思うだろう。

数分前の経輔なら『妖孤はここで殴られ体が分散し、その後俺がグチャグチャにされる・・・』そんな未来を想像してしまっただろう。


でも、俺は妖孤を信じる。


信じる。


だから俺は、目を離さない。


拳が手前に来た、その時・・・!

足の裏の札を爆発させ、その爆風で、掠りつつも避けた。


邪鬼は足を踏ん張り、右フックから、そのまま地面めがけてのパンチに移行する。


その速度のやり取りはコンマ数秒の世界。

少しのズレ、勘違いが敗北へと繋がる。


邪鬼は自分のパンチが当たったと思い込んだ、それは、爆発の感触が殴った感触と似ていたからだ。

その間違いが、死を招く。


爆発の勢いと邪鬼の高速グランドパンチで、妖孤の体は音速を超えた、側転や前転やスライディングを駆使し、腕を滑る、しかも早すぎて、足から火花が散るくらいの速度。

肩付近で、速度が弱まり、足が着いた瞬間、その勢いを利用して、一気に邪鬼の右頬に接近した。


そして、邪鬼が気付いた時すでに遅し、右目で少し確認しただがもう当たる距離。

流石にこの体勢から回避なんて不可能。


邪鬼が声を上げる間もなく。


「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!妖孤ぉぉぉぉぉぉ!!!」


叫びと共に――


――勝負は決する。


「秘儀!おいなりさぁぁん・・・キーーーック!!!!」

「いや、技名、キュートすぎんだろ!!!」


今日一のツッコミと爆発音と炸裂音、『ドグシャグッチャッッパァン』となんとも耳に残ってしまいそうな不快音と共に邪気の顔が吹っ飛び、顔が無くなった。

妖孤の最後の蹴りは、爆発の効力を持った札を蹴りが入ったと同時に、傷口にその札を入れ内部で爆裂した。

そりゃグロテスクな感じになっちゃうよ・・・。

そうして、邪鬼の体は黒い霧のようになり大気中に散らばって云った。一緒に結界も消え去った。



少しだが、淡い切なさを感じた。


_________________________________________


「あ~~、ごわかったぁ~~~・・・」


率直な感想を述べる、”生”を感じ言葉に重みがある。

邪鬼が倒されたあと、余計なことはせず、雑談しつつ自そのまま宅へ直行する二人。


「なんとか勝てたのぅ」

「ホントだよ・・・生きてるって素晴らしい事だよ」

「最初の敵にしては強靭であったしな」

「それでも倒してしまう、妖孤さんマジパネェッス」

「・・・、お主」

「ん?急にどうした?」

「下半身が濡れておるが・・・、もしかして漏らしたのか」

「・・・(20歳にして失禁お漏らしかよぉ、最悪だぁー!)」


安堵し、全ての緊張が解放されて、出るもん出ちまった・・・、なんとも最後の最後に失態を晒す。


「だぁーーー!!!どうして我慢出来なかった、吾のポークビッツよ!!」

「・・・・・・んぶッ」

「あぁ!今笑ったなぁ!」


さっきまで死闘を繰り広げていた、二人の会話では無い、それもこれも、尿が漏れた経輔の所為。

きっと永遠にネタにされ続けるであろう。


「笑うか、それよりも、今後妖怪を見る度に漏らさないようにしておけ」

「うわぁー、辛辣・・・、なぁ妖孤?」

「なんじゃ?また漏れたか」

「ちゃうわい!あのさ・・・名前ってあるのか?」

「名か・・・特に無い、どうしてそんな事、聞いたのじゃ」

「あぁー・・・ほら、これから俺たち、長く共にするわけだし呼び名くらいないとなぁ~・・・と」


そうか、やはり血のつながりを感じるのう。

なぁ、和彦よ・・・。


「ならお主が名ずけてくれ」

「俺が!?ん~~~・・・あ~~~」


凍てつく風でなびく黄色い髪をみて、直感的に思った名前を口にする。インスピレーションと言うやつだ。


「・・・きな子ってのはどうだ?」


妖孤はその時俺の方を向き、微笑んだように見えた、初めて笑顔を見た気がする。そう言えば・・・、出会ってからしっかり顔見てなかったな。白く透き通る肌、目は少しつり目気味だが、綺麗な顔をしている、妖怪だと思えないな。そして身なりは狐の妖怪だなって程に明確である。


「安直じゃな、それにネーミングセンスの欠片も感じられんな」

「酷い言われよう!名前付けろって言われたの、文句言われるとか理不尽すぎやしない?」

「だが、お主がそれで呼びたいな好きにするのじゃ」

「・・・え?あれ?もしかして、何だかんだ言いつつ気に入った?」


そしてこのタイミングで自宅に到着し、妖孤は俺の返答には無視して、三階の屋根まで飛んで行った。

照れ隠しなのか、煽り口調で言ったのが勘に触ったのかそれは分からない、でも”きな子”とさっき言った時、初めて笑顔を浮かべた、ならきっと・・・。


それが返事で答えなのだろう。


「妖孤改め”きな子”今後ともよろしくお願いします!!」


夜中にも関わらず大声で伝えた、社会人顔負けのお辞儀も加えて。


これから始まる妖怪生活、序盤から厳しさを知った。

だからこそ、良い経験になったと思う。


さぁ、明日からが本当の『20歳になったら妖怪の類と生きる事になった』だぜ。

最後まで読んでくれた方は本当にありがとうございます。

なにか誤字や気に入らない所があった場合、助言をくだされば嬉しいです。

これからも投稿していくのでよろしくお願いします。

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