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06(霊媒師に現実を)

――母の運転で遊園地に向かう。しかし、森の中に向かってる。


「アスレチック? ジェットコースターはないじゃん」

「先生の所よ」

「なっ、騙したな!? 停めろ!」

「大丈夫」

「何がだよ!?」


 もう自宅から40キロメートルは走ってる……。徒歩じゃ帰られない。仕方ない、先生とやらに現実を突き付けてやるか。


 見るからに怪しそうな一軒家の前で停まる。築50年くらいのボロい民家だ。ツタが家をぐるぐるにしてる。


 母は車を降り、インターホンを押す。


 俺も車から降りる。よく見ると防犯カメラが5台くらいある。


「先生、私です。息子の二谷を連れてきました」


 民家のドアが開く。


「さあ、入って」


 このババアが霊媒師か。


 俺達は中に入る。畳の部屋に案内される。


 流石は霊感商法師、奇妙な仏壇がある。


「で? 何をするの?」

「貴方は柔道を嫌々やってますね?」


 これが“つかみ”のつもりか? 片腹痛いわ。調べられれば判る事。


「柔道は大好きですよ、最近は初段を取りましてね」これはブラフだ。


 霊媒師は固まってしまった。


 母と霊媒師はこそこそ話す。


「話と違うじゃない」


 聞こえてるよ、バーカ。所詮は霊感商法、霊媒師が外国人の霊を呼んで英語が話せないくらいのクオリティだ。


「二谷君、お菓子はどう?」

「要らない」

「テレビゲームはどう?」

「えっ!? あるの?」

「マリオもストツーもあるわよ」

「やるやる!」


 霊媒師は奥からスーファミを持ってきた。


「除霊したら、ゲームをあげるわよ」

「分かった」さっさと終われ、アハハ。

「じゃあここに座って。お祓いをします」と座布団を敷かれた。


 俺は仏壇を背に座る。


 儀式が始まった。何語か解らない呪文を唱え、榊を振る。


 3分くらい経つと「はい、終わりました」

「じゃあソフトとハード貰って帰ろうよ」

「先生にちゃんとお礼を言いなさい!」

「まあまあ。またいつでも遊びに来てね」


 2度と来るかよ、バーカ。俺はゲーム機とカセットを持ち、民家の外へ出る。


「母さん、早く早く」


 母は霊媒師に包を渡して、車に来た。


――帰り道、「で、ゲーム機代はいくらなの?」

「なんの事?」

「霊媒師にお金を渡したでしょ? ゲーム機代はいくらなの?」

「子供には関係ない」

「父さんに言っちゃお」

「そんな事したらゲームを取り上げるわよ!?」


 狂ってる……。

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