30(ラストバトル)
俺はスマートモンキーと別れ、32番フィールドに移動する。6角形のどこに居る!?
すると、ボイスチャットで『最上級ボス=クレイジーモンキー=龍熊二谷だよ〜』と言いふらしてるプレイヤーが居た。
「おい! そのクレイジーモンキー様がここに居るぞ!」
『本物か?』
「ああ、勿論。田辺洋介! クラッキングをやめろ!」
『龍熊二谷! よくも、散々いじめてくれたな!? お前のせいでIT企業で失敗したじゃないか!?』
「勝てない理由を周りのせいにしちゃいけない。常に自己に求めないと。どうせ、甘い誘いに乗ったんだろ? アハハ」
『貴様! 笑うなー!』
「俺が最上級ボスの操作をしてるって事を知ってるなら、失敗したな。その内にサイバーブロッサムから1億円が振り込まれる予定だったのに。慰謝料はたった300万円でいいのか? アハハ」
『だから! 笑うなー! その1億円も寄越せー!』
「…………対決だ、サシで俺に勝ったら入金の時間と日を教えてやる」勿論、これはブラフだ。
『ギャラリーは100万人か、いいだろう。龍熊二谷が無様に負けるところを世界中の人に観てもらおう。これだけ証人が居るんだから負けたらちゃんと1億円を寄越せよ?』
「ああ、“世界最強のウォーライフプレイヤー”として約束は守るよ。俺がテーブルを作る。ショートステージ、一撃死、グレネードなし、時間無制限、ワンキルのルールで良いな?」
『おう、受けてやろうじゃん』
俺はテーブルを作り、ユーザーネーム、タナベを招待する。スマートモンキー、間に合えよ!?
パッとショートステージに移る。3……2……1……スタート!
どうする? スマートモンキーはまだ戻ってこない。しかし、このルールにしてしまった。俺は田辺の銃撃から逃げ回る。
『ふざけてるのか!? それとも余裕で遊んでるのか!? やっぱり、ムカつく奴だ!』
田辺はアサルトライフルで中距離戦に持ち込もうとする。ショートステージは遮蔽物が多いから避けるには最適だ。しかし、潜んでいても、すぐに居場所を把握されてしまう。アサルトライフルを明後日の方向に撃ち、注意を逸らすが、すぐに居場所がバレてしまう。何発かギリギリで避ける。
俺は田辺の正面に出てしまった。田辺はスナイパーライフルを撃った。バチッ! やられた…………いや、俺はアサルトライフルで防いでいた。アバターの体に当たってない。しかし、武器破壊だ。
5分くらい逃げ回ってると、スマートモンキーが画面左下のワイプに映る。
『ダンナ〜、お待たせしやした〜! 多分、フラッシュ使えますぜい!』
俺は物陰に隠れながら「ちゃんと作動するんだろうな!?」
『知りやせん!』
「ええい、行ったらんかい!」
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、バーン! 俺は弾丸かわしながら田辺のアバターをハンドガンでヘッドショットする。
『ああああ! 痛い痛い痛い痛い! 目が見えない! 真っ暗だよー!』
眩しい! 俺も眼が痛い……。画面がぼやける。
フッとフィールドに戻る。すると、『クレイジーモンキーさん、やっぱスゲーよ! 格の違いを見せ付けられた! 流石はボスを操作するプレイヤーだ』と観客は大盛り上がりだ。
「まあね。これからもウォーライフを宜しく!」
俺はログアウトすると、視界が真っ赤だ。血の涙を流しているのだろう。




