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03(石vsナイフ)

 ある日に学校から帰って来て、伊藤の家に歩いて行く。


「翔君! あ〜そ〜ぼ」伊藤の祖母が出てきて、「二谷君、ごめんね。翔はピアノ教室に通う事になったのよ」

「そうですか、別の日に来ます」


 自宅まで300メートルくらい。ただでは帰りたくないな。…………そうだ! 伊藤んちの隣には伊藤の同級生の田辺が住んでたはず。


 隣の家のチャイムを鳴らす。顔は2〜3回見てる。暇潰しにはなるだろう。


「はい、どちら様ですか?」


 俺は玄関に入ると田辺と母親らしき人が立っていた。


「田辺君、遊ぼ」

「えっ、あのっ、その……」田辺は何かモゴモゴしてる。

「この人は誰? 知らない人ね。洋介、こんな人知らないわよね? 帰ってちょうだい」これが“汚い大人”ってヤツか。


 俺は無言で立ち去る。次のいじめのターゲットが決まった。アハハ。


 次の日の登校中に俺は田辺洋介のランドセルを掴み、田んぼに突き飛ばす。泥だらけになってる田辺をよそ目に、なに知らぬ顔で登校する。気持ち良い。


――中学生になるといじめは更にエスカレートする。柔道なんてやりたくない。親に反抗出来ないから、弱い者いじめは最高に気持ちいい。


 下校中にバタフライナイフを持った田辺洋介が待ち構えていた。


 居合わせた女子生徒が悲鳴を上げる。


 ちょっとやり過ぎたかな? アハハ。


 俺は足下にあった拳大の石を田辺の顔面に投げ付ける。痛ー! と、のたうち回ってる。

 口に当たったから歯が折れたかな、アハハ。


 その日の夜、田辺と田辺の母親が自宅に来た。玄関で叱責をする。


「龍熊さん! どういう教育をしてるんですか!? 永久歯が5本もダメになったのよ? 治療費と慰謝料を貰いますからね」

「すみません、すみません」


 両親は平謝りをしている。


「ちょっと待った〜!」俺も玄関に行く。

「あなたが龍熊二谷ね? うちの洋介に謝りなさい!」

「二谷、謝りなさい」

「お前らが謝るなら、許すかどうか検討してやる」

「はぁ!? 何言ってるの! ふざけるな!」

「……バタフライナイフ」

「おっ、お母はん、はえろう」田辺は前歯がないのか上手く発音出来ない。

「おい、田辺のババア。俺はバタフライナイフで刺されそうになったの、これは正当防衛だよ。訴訟を起こしてもいいよ。目撃者が居るから勝てないと思うけど、アハハ」


 田辺と母親は帰って行った。


 すると、父が「バカ野郎! 何の為に柔道に通わせてやってると思ってるんだ!?」

「“通わせてやってる”? 誰が行きたいなんていったよ?」

「二谷が行きたいって言い出したのよ?」


 身近に汚い大人が居るとストレスでしかない。


「やっぱり先生にお願いするのが良いわ。二谷に憑いてる悪霊を取り除いてもらうの」

「バカな事を言うな! 当分ゲームは禁止だからな!」


 コイツ(親)は選択を誤った。

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