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24(ナードに現実を突き付ける)

――次の日の朝、インターホンが鳴る。五月蝿い。頭がガンガン痛い。


 俺はモニターを見ると、また設楽という男が来ていた。


「また来たのか、二日酔いだから、また今度」

「働いてないのに酒を飲んだのか!? なんて奴だ! 入るからな」


 入る!? どうやって? あっ、親が合鍵を持ってたような?


 ドアが開き、設楽と父が入ってきた。


「自堕落な生活しおって! グループホームでその根性を叩き直してやる!」


 俺はリビングの戸棚を開け、預金通帳を取る。


「300万だ。300万入ってる』


 通帳を父に投げ付ける。


「この振り込んできた、サイバーブロッサムってなんだ!? 一度に100万円!? 犯罪か!?」

「お前は俺がニートか犯罪か、0か100でしか考えられないのか? 余程、自分の子育てに自信がないんだな」

「何だと!?」

「まあまあ、お父さん。落ち着きましょう」

「それに“希望のスパイラル”って実在するのか? 詐欺だろ」

「そんな事ないよ。いくら預金があっても、その内に食い潰すよ。さあ、グループホームへ行こう。ここにサインして」


 設楽は鞄から1枚の紙を出す。


「いや、来月だって振り込まれるし、再来月からサイバーブロッサムで働くし」

「それこそ詐欺じゃないの?」

「根拠は?」

「そっちが先に詐欺呼ばわりしたんだろ、先に根拠を示せよ」

「都合が悪くなると屁理屈で逃げるのか? ネットで調べれば済む話だ。お前たち蟻がせっせと労働してる間に俺のようなキリギリスはバイオリンの腕が認められプロになったの」

「そんな旨い話がある訳ないだろ!」

「じゃあゲーム会社のサイバーブロッサムをネット検索してみろよ」

「ちょっと待ってろ」


 父と設楽は携帯電話で調べてるようだ。


 数分後、「確かにサイバーブロッサムという会社はある。しかし、そこと君の繋がりは?」決めたつもりか? 的外れだ、アハハ。

「預金通帳……」

「あっ! 振込!? 確かに働いてるんだね?」

「やっと理解したかナードども」

「設楽さん、諦めるのか? この金食い虫をグループホームにぶち込むんじゃ……?」

「もうお前の世話にはならないから。それにグループホームだってタダじゃないだろ?」

「ああ、月に20万円だ」

「何が金食い虫だ。5万も余計に掛かるじゃん」

「我々は帰りましょう。所詮は人気商売です。その内に泣き付いて来ますよ」

「やっぱり、ナードだな。さっさと帰れ!」

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