22(運営会社から打診)
俺は二度寝をする。起きたのは13時頃だ。バナナを2本食べてウォーライフにログインする。
すると、画面に【オフィシャルインフォメーション】と出てた。
開くと、【クレイジーモンキーさんに大切なお知らせ。サイバーブロッサム東京支社。小泉】と電話番号も書かれていた。なんだろう? ドキドキするな。
俺はヘッドマウントディスプレイを外して、携帯電話で通話をする。すぐに出た。
『もしもし、どちら様ですか?』
「サイバーブロッサム東京支社の小泉さんですか?」
『そうですが……あっ! もしかして、クレイジーモンキーさんですか?』
「はい、そうです。インフォメーションに書かれてた電話番号に掛けたんですが、大切なお知らせって何ですか?」
『単刀直入に言いましょう、うちの社員になりませんか?』
「えっ……仕事内容はなんですか?」
『ゲームの企画開発のお手伝いですよ、アドバイスとか貰えたらな〜って。それともう1つ、再来月に新設される火星ステージのボスの操作をお願いしたいんですが』
「やります! やらして下さい!」
これは“労働”じゃない、遊びの延長だ!
『では詳しい契約内容は後日に。いや〜、良かった。断られるんじゃないかって内心ヒヤヒヤしてましたよ』
「俺でいいんですか? 俺は対ボス戦は殆どやってませんよ」
『それが良いんですよ。AIだとどうしても行動がパターン化しちゃいますし、その癖を知らないクレイジーモンキーさんならピッタリだと』
「面白そうですね、是非やります」
『本名は龍熊二谷さんで合ってますね?』
「はい、そうですよ」
『ではまたオフィシャルインフォメーションを出しますので。ありがとうございます』
「こちらこそ、ありがとうございます」ピッ。
俺は思わずガッツポーズをする。嬉しい! 嬉しすぎる! 初めてリアルで認められた気がした。あの宗教団体の設楽とかいう奴にも対抗できる!
俺は舞い上がり、原付バイクで地元のスーパーマーケットへ行く。
700ミリリットル3千円のウイスキーをかごに入れる。前から一度飲んでみたかった。ウキウキが止まらない。鰻重もかごに入れ、レジに並ぶ。すると、「二谷君?」と声を掛けられる。




