17(初黒星)
俺は古い方のスナイパーライフルをボックスに仕舞う。
「それにしても、このフィールドは日本人のユーザーばかりだな」
俺は周りを見渡す。ユーザーネームの横に国旗が付いてる。
『ダンナは知らずにログインしてたんすかあ? 32番フィールドは日本人ユーザーの縄張りになってまさあ』
「そうなんだ、知らなかったよ。だからスマートモンキーは日本猿なのか?」
『まあ、そんなとこでさあ』
ピピピッ。
「今度はなんだ?」
『イギリス人ユーザーから招待を受けたようでさあ。相手チームには200連殺してる猛者が居やすぜ。頂上決戦にはうってつけでさあ。ダンナ、どうしやす?』
「俺は売られた喧嘩は買う主義でね。行ってくる」
招待に応じ、パッと画面が変わる。ジャングルのステージだ。体験版でやった所か。
レッドチームが3人、ブルーチームが4人。俺はブルーチーム、人数では有利だが、ジャングルのステージはかなり広かったはず。陣地と陣地の間に森が生い茂っており、ツリーハウスに渡り通路。陣地は自軍、敵軍共に民家が20軒くらい建ってる。スナイパーライフルが役に立つ。
俺は陣地から出てスナイパーライフルを構える。
1分……2分……3分……。敵が来ない。待たせる作戦かな? バキッ!
【DIE】と文字が出た。これが死……? パンチで殺られた。まさか初黒星が打撃とは。
30秒もリスタート出来ない。しかし、敵はどこから来た!?
「おい、皆、このステージは抜け道でもあるのか?」
俺は仲間にチャットする。チャットは自動翻訳して伝えてくれる。
『バグですよ。森の左側から現れて、いきなり殺られました』
アルゼンチンのプレイヤーに教えてもらう。
「早くも不正を利用したか。おとなしく不味くて有名なウナギのゼリー寄せでも食ってろ」
「ハハハ、確かに」
「貴重なウナギを無駄消費しやがって」
「日本のウナギ料理は美味しいですもんね」
俺は復活して自軍の陣地まで来た敵を撃ち、倒す。そうか! この手があった。
俺は敵に見付からないように敵の陣地に入り込む、上手く行った。屋内の2階に隠れる。
復活して、しめしめと思ってる敵2体がチートを使おうとした時、窓からグレネードランチャーを撃ち、吹き飛ばす。
仲間の死体を見て困惑してる敵を更に狙撃する。イギリス人プレイヤーのハリーさん、さっきのお返しだ。
居場所がバレたな。俺は部屋を対角線に移動して待つ。ノコノコと階段を上がってきた敵を後ろから撃つ。いつまでも窓に張り付いてるかよ。アハハ。
次は敵が復活する前に外へ移動だ。
敵が今度は警戒して入って行くが、無敵時間が終わった頃にまた後ろから撃つ。