13(案内AI)
30日は平日の朝なのに格闘ゲームの画面が重くなるほど、ログインが集中してる。サーバーダウンとかやめてくれよ?
上位の世界ランカー達はこういう時には現れないんだな。潔い。
その日は60戦くらいした。自分から仕掛けに行かない。テーブルを作り、受動的に、俺と戦いたい人だけとやる。
最後の対戦は0時を越えたので強制終了させられた。
奇跡を信じてログインを試みるが、繋がらない。終わった……。
何となくテレビ番組を観る。コマーシャルか、ザッピングしてニュースを観る。
『いよいよ、明日の12時からウォーライフの配信がされるようです。ウォーライフとはどんなゲームなんですか?』
男性司会者が質問をする。
『はい、バーチャルリアリティーのシューティングアクションです』
男性コメンテーターが答える。
『配信前から盛り上がってるようですね』
『サイバーブロッサム社、肝いりのネットゲームですからね。賞金から数百〜数百万円も出す予定ですよ』
『それは凄い! 私も始めようかな〜? ハハハ』
『それでは続いてのニュースです』
俺はテレビを消す。寝るか。
――次の日の昼にウォーライフにログインする。ハンドルネームを【クレイジーモンキー】にして、続いてのID、パスワードの設定をする。クレジットカードの番号と銀行の口座、支店番号も入力する。
1番から100番フィールドまであり、俺は何となく32番フィールドに入ると、ショップや対戦テーブルの申込み所、ボスキャラ対戦の申込み所がある。
マップを見るとフィールドは六角形をしており6ヶ所にショップと対戦申込み所がある。
既に対戦を始めたユーザーもいる。
俺は勝手が分からず、うろうろしていた。
『よう! ダンナ〜、どうしたんですかい? 道にでも迷いましたかい?』
「猿!?」
日本猿をデフォルトした感じのアバターだ。
『オイラは案内AIのスマートモンキーでさあ。ダンナはハンネのセンスがありますわい』
「まずは対戦したいんだけど……」
『それなら、ショップへ寄るべきですねえ。スナイパーライフルは基本装備に入ってないので、買っといた方が便利でさあよ』
変な日本語だ。まあ、アメリカ人が作ったゲームだから仕方ないか。
「分かった、ありがとな」
俺はショップに入り、スナイパーライフルを物色する。一種類じゃないのか。
ゴテゴテとした装飾が施された銃は趣味じゃない。俺はストックが木製風のマガジン付きのスナイパーライフルを選んでレジに行く。
『仮想通貨のWLコインを持ってませんね。支払いは口座引き落とし? クレジットカード決済?』
「引き落としで頼む」
『3800円になります。毎度あり〜』