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クズを見抜く方法とその使い道  作者: 香持 続
1/1

クズとは即ち、後の英雄である

クズ。世界の何処にでも存在する人間。

クズ。世界の誰しもが経験し得る性格。

クズ。それは、救いようのない人間性。



さて、皆様はクズをどう見抜くかご存知だろうか?


この物語はクズを見抜くのが得意?な人間のひとつの物語...


大都市 tokyo

世界中央監理局...


監理局所属

世界選定人:人見(ひとみ) (わだち)


AM10:15

出社を終えてデスクの上に鞄を無造作に投げる


白い壁 白い床 白い時計


辺り一面が白い部屋が人見 轍の仕事場だ


『あー殺風景...あーダルい...いつ見ても白いなぁ...』


白い時計がチクタクと秒針を刻む

時折、人見の様子を監視するカメラが動作する音さえも聞こえるくらい他には何も聞こえない


『また憐れな車や電車に轢かれて死んじゃいました~的なノリの人間が来るんだろ?どーせ。仕事だからな。やることだけやるけど...』


出社を終えた人見がデスクで独り言をしている内に時刻は11時を回ろうとしていた時



プシューッ!と大きな音を立てて人見のデスク前の白い壁が開いた


中からは普通のスーツに普通のサラリーマンとおぼしき人間が辿々しく歩いてくる


『あ...あの...ここは?』


おどおどと質問を問うリーマンに人見は気だるそうに口を開く


『あー、お宅、死んじゃいましたぁ?ここが何処か気になる?と...』


『え?死んだ?生きてますよ!?先ほどまで私は電車を待ってて...それで、背中を誰かに押されて...お宅は失礼です!私、田辺と申しますから!!』


自己紹介も兼ね訊ねた田辺には目も暮れず人見は続ける


『あー、そのまま死んだんですねぇ(笑)田辺様、御愁傷様です...マジ...』


人見の気だるそうに人を侮辱しながらニヒルに笑う顔を見て

田辺は憤りを覚えつつも下手に質問を続けた


『此処は何処なのでしょうか?私は死んでしまったんですか?天国ですか?それとも地獄なんですか?真っ白いこの部屋は?』


礼儀正しいサラリーマン田辺に

人見は気だるくも意気揚々に答えた


『此処は天国みたいな所ですよw 確かにw 地獄に見えるの?地獄だったら俺は閻魔様ですけど...閻魔様に見えちゃいます?w ねぇ?見えちゃいますかぁ?w あー...真っ白っスよねぇ...退屈なんですよマジ...』


ヘラヘラしながらも律儀に答える人見に対して

また田辺は口を開いた


『閻魔様には...見えませんね...私と同じよ...』


礼儀正しいサラリーマンの言葉を遮るように人見は言う


『そろそろか...』

『ようこそ世界選定の場へ...おめでとうございますw貴方はこれから人生をやり直せるチャンスを得られましたぁw 良かったっスね?ね!?マジ...』


『え?あ?えっ?人生をやり直せる...?やっぱり死んだんですね私...』


聞いてるようで聞いてないのか人見は続ける


『えぇ えぇ 勿論人生を異世界でやり直せる素晴らしいチャンスですよ!ケモミミ!ケモミミ世界かも!』


『はい?イセカイ?ケモミミ?なんですか?それ...』


『えぇ、えぇ、実に美しい人生再建のチャンスですねぇ!俺もこんな真っ白な仕事場からオサラバしたいっスわぁ!マジ...』


すがる様にスーツ姿の田辺は懇願した


『本当にまた日常に戻れるならイセカイ?でもケモミミ?でも良いです!戻して下さい!』


続け様に勢い任せに思いの丈を人見にぶつける

『まだ幼い子供や妻が!私にはまだやらなければいけない仕事が!』


熱く熱くそれは丁寧なまでも必至さの見える言葉を紡ぐサラリーマンを人見は気だるそうに右から左へ受け流すように耳垢を取りながら聞いていた


が しかし 次に言葉を紡いだのは人見のほうだ


『あー...悪いんスけど...貴方は戻れませんよ?なんか勘違いしてるんですけど戻れるなんて俺、口に出しました?熱く語ってんの悪いんスけどお気の毒っスね...マジ...』


『...へ...?』


目を丸くしながら人見の言葉に囚われた田辺に向かって呟く


『はい、じゃあ独りで異世界で第二の人生をおくって下さいね...マジ...』


目頭が熱くなりながらサラリーマン田辺は言う


『ちょっと待って!妻は...?子供は!?第二の人生なんて冗談じゃない!!さっきからなんなんだ貴方は!?勝手に決めて私の言葉も聞いてるようで聞いてないじゃないか!!返してくれよ!』


『あー...このタイプかよ...だりぃなぁ...あんたさ?死んだの...分かります?元の人生に戻れると思ってんの?w マジ...あとさ?ウザいわぁ...マジ...』


人見に喧嘩口調の男をよそ目に人見は気だるそうに続けた


『はーい これから世界選定人:人見 轍が貴方を選定しま~す マジ...』


人見は徐に左手をサラリーマンに向けた


次の瞬間

人見の脳裏にサラリーマンの日常が垣間見える


幸せそうな団欒などの日常

忙しない通勤や勤務中のシーン

そして、人には言えないやましい瞬間までも...


人見は言う


『あー...あんた、クズですねぇ...マジ...クズだわぁ...礼儀正しい奴ほどクズだよなぁ...マジ...』


その気だるそうにクズ呼ばわりする人見に対し田辺は反発する


『人に向かってクズ呼ばわりはなんだ!?さっきから貴様は何様なんだ!!』


気だるそうに、退屈そうに人見は続ける


『だからぁ...俺は選定人なんだよなぁ...マジ...あんたさ?人に言えない事してるよな?奥さんと子供が知ったら幻滅モノだよなぁ...マジ...』


『うっ...五月蝿い!!そんなモノはない!!おまえが天使でもなんでもいい!おまえには分かるのか?本当か!?』


『あー...夜の路上で若い女性を物色してさぁ...付いてって家のドアの前で?女性を?無理ヤ...』

人見を遮るように男は怒鳴り散らす


『ヤメロオォオオオ!!!』


激昂した田辺を見つめて人見は改めて続ける


『ね?分かるんです...分かっちゃうんですよ俺...マジ...』



『あんた、マジ...異世界決定ですねぇ...頑張って悔い改めて全うに生きろよ...マジ...』


人見のデスクの後ろの壁がまた大きな音を立てて開いた



『選定完了ぉ...次はそっちで受付の女性に会って所持品受け取ってねぇ...マジ...』


人見を見れないサラリーマンは辿々しく歩いていく


人見は最後にこう呟いた


人見『クズだから良い環境からのスタートじゃねぇとは思うけど...マジ...』



クズ回からのスタートですね

ファン感の為の作品ですが(・ω・香)

これからちょくちょく更新予定ですが末永く宜しくお願い致します。



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