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電脳戦乙女ウイルスブレイカーズ  作者: ライナまさよし
4/6

その少女、学生ニート

 アーサー・ソルの襲撃から数時間が経った。すっかり外は暗くなりミズキの腹時計はすでに限界を迎えていた。唸る腹部、空の冷蔵庫、頼みの綱のインスタント食品もない。一人暮らしだったミズキは親にもご飯を作ってもらえない。インスタントがない以上自分で調理するほかない。


 まあ、調理するための素材もないのだが。


「はーーお腹減った!!」


「何か買ってこればいいじゃない」


アマテラス・ゼロは長い髪をいじりながらミズキに言うと、ミズキは気だるそうにあくびをして腕を伸ばした。


「外に出るのめんどくさいし、お金もない」


「ビンボービンボー」


アーサー・ソルは笑いながらミズキを馬鹿にする。


「え? ミズキってバイトとかしてないの?」


驚いた声でアマテラスが問う。ミズキはその問いかけに腰に両手を当て胸を張ってえっへんと声を出しこう言った。


「は? なんで私が働かなきゃいけないのよ!! 私は学生! 働かなくてもニートにならない!! そのために女子大生やってるんだから。 いい? 人生働いたら負けよ。 今はブラック企業が溢れているわ!! こんな世の中に働きに出ようなんて愚の骨頂よ!!」


伝説のクズ、ここに降臨。 あきれ果てて唖然とするアマテラス、なぜか尊敬のまなざしで見つめるアーサー、そして、してやったりと勝ち誇るミズキ。


「すごいすごい!! なんかわからないけどすごい!! 僕も働かないために大学生になりたい!!」


「ちょっと!! 私の後輩に変なこと吹き込まないでよ、このクズ!!」


ミズキという名のクズはアマテラスの静止をニヤニヤ笑いながら無視し、持論を語り続ける。


「おお、アーサーちゃんは素質あるねぇ。偉いえらい。大学を卒業したら結婚するのよ。私はお金持ちで高身長で高学歴でイケメンで若くて優しければ結婚相手はだれでもいいわ。20代なら年収一千万は欲しいわね」


「おお!! 誰でもいいなんて心が広いね!! ミズキっていい人なんだね」


ミズキという名のクズはアーサーとかみ合わない会話をしながら悪いことのはずなのに胸を張って誇っている。もしアマテラスが三次元の世界に実在していたら腰の刀で斬首していただろう。刀を握りしめ抜刀しPC上のファイルを粉砕しようとしたその時だった。


 グ~~~~~


 あろうことか腹の唸り第二陣が始まってしまった。金があろうとなかろうと腹は減る。動いても動かなくても腹は減る。空腹とは無慈悲で、この世界で数少ない平等な存在。誰一人抗えない三大欲求の一つだ。


「そうだ、お腹減ってるんだった、、、」


へなへなとその場に倒れこむミズキ。さっきまでの元気はどこにいてしまったのか。そして財布を開き中身を確認する。三百円。それが彼女の全財産だった。


「私の財布には意味不明のコインが三枚。これでどうやって買い物すればいいんだ、、、」


「いや!! 買えるものはいくらでもあるでしょ」


なぜか途方に暮れるミズキに鋭いツッコミを入れるアマテラス。マウスポインターを動かしキーボードを使って安価な料理について調べ始めるともやし炒めがヒットした。安い早い簡単と三拍子そろった料理だ。


「これよ!! これなら三百円あればできるでしょ」


塩コショウ、ひき肉、もやしをフライパンで炒めるだけの簡単な料理。それがもやし炒め。本来は小間切れやスライスを使うのが基本だがお金がないからひき肉。


「嫌だ嫌だ!! 作るのめんどくさい買いに行くのめんどくさい!! 私は遊んで食べて寝るだけの生活がしたいの!!」


「買いに行かなきゃ食べれないしお腹減ってちゃ遊べないでしょ!! てか、何よその考え方!! まるっきりクズじゃない!!」


アマテラスは言葉でミズキのケツを引っぱたいた。


「仕方ないなあ」


ミズキは重い尻、もとい腰をあげて出かけることにした。財布と異世界では使えない方のスマホを持つとアマテラスとアーサーの顔がスマホ上に映し出された。


「え!? どうしてこっちに来れるの!!?」


唖然とした顔のミズキにアーサーがわけのわからない説明を浴びせる。


「僕たちウイルスブレイカーズは無線LANを使っていろいろなところに移動できるの。普通の意志のないファイルは一度サーバーを経由しなきゃいけないんだけど僕たちは意志があるから無線ランからサーバーを経由せずに瞬時にその無線LANに接続している機器に移動できるの。電波の中はすごく体が重く感じるからあまり連打はできないけどね」


ぽかんと口を開けてフリーズするミズキ。たくさんの難しい命令によって脳みそに深刻なエラーが発生したらしい。


「さあ、ご飯を買いに行こうよ」


アーサーのその言葉でミズキの脳みそコンピューターは再起動を始めた。そして数秒後に再起動が完了。馬鹿みたいに空いてた口を閉じて気だるそうに鞄を持ち鍵を開け夜の街の買い出しへと出かけるのだった。

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