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電脳戦乙女ウイルスブレイカーズ  作者: ライナまさよし
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チョー最強な最新型少女、アーサー

 アマテラス・ゼロがスパイウェアを撃破したほぼ同時刻のこと。ここはとあるラボ。しかし、フラスコや怪しげな薬品はなく大量のパソコンが用意されていた。白衣を着た研究員らしき男女が部屋の片隅で立ち話をしていた。


 男のほうは高身長の白髪で分厚い眼鏡と室内でもかぶっている変なデザインのベレー帽が特徴的だった。女のほうはというとこちらも分厚い眼鏡をかけていておさげ髪の女だった。


「どうやらアマテラス・ゼロと一緒に入れておいたスパイウェアが全滅したようですねぇ!!」


男は嬉嬉として語り始めた。面白いおもちゃでも手に入れたかのような口ぶりで。


「見ましたか!? 天才たる私のアマテラス・ゼロ受け渡し作戦!! あの方なら起動出来ると思ったのですよ」


ただの女子大生なるミズキをどう判断して起動出来ると思ったのか。もちろんそんなことは語らない。人間は自分のわかっていることは他人も理解していると考えがちだ。この自称天才ベレー男も例外ではなかった。


「さてと、坊や」


男はタブレットを取り出すとそこにはアマテラス・ゼロと同じようなウイルスブレイカーズが映し出されていた。小学生のような身長で短い髪にタンクトップと動きやすそうな短パンを着てスニーカーを履いている少年。


「坊やって呼び方やめてよ!! 僕は一応女の子なんだから!! それに僕はアーサーって名前があるの!! ちゃんと名前で呼んで」


怒る少年、もとい少女は見せつけるように地団駄を踏みながらタブレットの中でジタバタジタバタ。正直端から見ると滑稽で笑ってしまう。スーパーでたまにいる泣いて床に寝っころがっている子供のような感じだった。


「それで何の用なのさ?」


頬をプックプクに膨らませながら自称天才ベレー男に本題を訊く。


「君にはいまからミズキという少女のところに行ってもらう。そこでアマテラス・ゼロと一戦交えてきなさい」


「うおおお!! やったーー!! 対戦!! 僕は対戦大好きなんだ!! 強い相手と戦ってると自分もだんだん強くなってる感じがしてさ!!」


ありがちな子供の自分語り。そこにずっと黙っていたおさげ髪女がすごい剣幕、鬼瓦のような顔で割って入る。


「ダメです!! そのAIは現在まだテスト中です!! 深刻なバグがあるかもしれませんよ!!」


「これもテストさ。実地テストみたいなものさ。それにこの天才プログラマーが作ったプログラムにバグなどあるものか」


ベレー男がミズキのパソコンにメールを送信する。反論の余地すら与えない。これが天才のディベートである。



 ところ変わって、ほぼ同時刻のミズキの部屋。意味不明な先ほどの出来事についてアマテラス・ゼロに対して、ミズキが補足を求めていた。


「あなたどこで作られたのよ」


「私はよくわかってないわ。わかってるウィルスバスターズの子もいるんだけどね」


お家を聞いてもわからない。名前を聞いても、、、いや、名前はわかったか。さしずめ迷子のアマテラスちゃんというところだろうか。泣いてないし子猫でもないが。


「迷子なの!?」


「は!? そんなわけないでしょ!! AIが迷子になるわけないじゃない!! パソコンで何でも検索できちゃうんだから!!」


アマテラス・ゼロ迷子説はしっかりと否定された。しかし、ミズキには別の疑問が頭に浮かんだ。


「アマテラスちゃんはさ、パソコンのなかで何ができるの?」


「例えばキーボードを打ったり、マウスポインタを動かしたりとかかな。あ、そうだ!」


そんな声をあげるとアマテラス・ゼロはマウスポインタをエクスプローラーのほうに近づけマイピクチャーを開こうとする。


「や、やめろおおおおおお」


顔面蒼白のミズキが家の外に聞こえるような大声で叫んだ。ひどく悲痛な叫びだった。


「あははははは!! なんで人間ってマイピクチャーやマイビデオを見られそうになると慌てるの!?」


アマテラスは仮面で見えないけど悪意ある笑みで微笑んでいるだろう。中二的に言うならば暗黒微笑ってやつだろう。


「それは、え、え、え、なんでもいいじゃない!!」


ミズキは何かを言おうとして黙り込む。仕方がないさ。人間だもの。


 そんなくだらない話をしているとミズキのヤホオメールに一件のメールが届いた。件名は当選おめでとうございます!! だった。どう見てもいかがわしいメール。でもミズキは気になる。


「ちょっと待った!!!!」


開こうとマウスポインタを動かしたミズキを静止しようとする。しかしすでにクリック済み。時すでに遅しだった。


 ミズキは真っ先に添付ファイルを見た。そこにはarthur.zipというファイルがあった。ミズキにはすぐに察しがついた。


「これって、ウイルスバスターズの子じゃない?」


「たぶんそうね。開くの?」


ミズキはにっこりと頷いてダウンロードと解凍。


「やあ、君がアマテラス・ゼロだね!! 僕はアーサー・ソル。開発部の人に言われて君と戦いに来たよ!! じゃあ、死んでね!!」


無邪気な笑みの少女は大剣を構えてアマテラス・ゼロと対峙する。アマテラス・ゼロも抜刀してそれに応える。置いてきぼりになったミズキを蚊帳の外に追い出して。

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