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第81話 See you,my best friends!

こんばんわ!

ついに来てしまいました。

ヒロインズとのお別れの日です。

出会いがあれば別れもある。これが人生ってやつだ。俺は去年の春に留学で来日した寶藍、ステイシーの留学生美女たちとまさかの再会を果たし、ハプニングなんかもあったが楽しくやってきた。だが、そんな日ももう終わろうとしていた。

「尹ちゃーん!楽しかったよぉ、ありがとう!」

「俺は応援する!尹ちゃんが韓国に帰ってもずっと親衛隊の隊長だからな!」

ここは羽田空港国際線ターミナルの出発ロビー。そこで川口と橋本が涙ながらに寶藍の手を握って激励の言葉を投げかけていた。その隣では…。

「うぁぁぁん、ステイシー!!!」

「行かないでよぉ、寂しくなっちゃうよぉ!!!」

沢村をはじめとした英語科の面々が大泣きしながらステイシーに群がっていた。そう、今日は寶藍、ステイシーら交換留学生達の帰国の日だ。一部先に帰国した人たちもいたが、こいつらの帰国は今日なのだ。だから、こいつらと地区説話す機会は実質今日が最後である。空港には俺を含めて多くの学生、教職員の他、俺のバイト仲間の秋本までもが見送りに来ていた。

「時が経つのは早いでござるな。」

「ああ。あれからもう1年か。あっという間だったな。」

隣にいた幹夫のつぶやきに対し、俺はそう答えた。正直、俺もこいつらがこれから母国に帰るのがちょっと寂しい。一緒に過ごすうちに完全にいるのが当たり前になっていたから。

「タクちゃーん!」

「タクト!」

寶藍とステイシーが俺の所に駆け寄ってきた。

「どうした、二人とも?」

「あのね、最後に言いたいことがあるの!」

「私もよ!えーっとね…。」

「ちょっと、私が先に言ったんだから割り込んでこないでよ!」

「何よ!そんな順番なるなんて聞いてないわよ!」

「こういうのは先着順に決まってるでしょ?!」

「うるさいわね!あんたは最後まで変わらないんだから!」

「まぁまぁ、待て!最後の最後でこんな所で争うなよ。」

全く、二人とも相変わらずだな。と思いながら俺は仲裁に入った。

「じゃあ、寶藍から。」

「はーい!」

寶藍は嬉しそうにぴょん、と前に出てきて話し始めた。

「私ね、ここに来れて良かった。だって、こうしてタクちゃんとまた会えたから。一緒に遊んだり、勉強したりサークル活動も全部楽しかった!だから…その。うっ、うわぁぁぁん!折角再会できたのにまた離れ離れなんてやだよぉ!!!だから…いつかまた日本に来る!あんたも韓国に来なさいよ、絶対!」

寶藍は俺に抱きつき大粒の涙を流しながらそう言った。こいつが泣いているのを見たのは幼稚園の年長以来だと思うが、それだけここでの留学生活に思い入れがある証拠だろう。

「よしよし。大丈夫、また会えるさ。だからお前も頑張れよ。」

俺は寶藍の頭を撫でてそう言った。そして、ステイシーが続けて話し始める。

「私は…最初タクトを見た時ちょっとびっくりした。でもとても嬉しかった。あの時からもっとカッコよくなったタクトと一緒に学校に通えたし、前は3カ月だったけど今回は1年間も一緒にいれたから。だから、また…。うっ…日本(ここ)での思い出は一生忘れない!そして機会があったらまた遊びに来る!タクトもいつでもシカゴ(うち)においで!うぇぇぇん!」

最初こそ堪えていたが、ステイシーの透き通った碧眼からも大粒の涙が流れていた。俺は空いていた左手でステイシーの涙をふき、抱き寄せて言った。

「サンキュー、ステイシー。俺も忘れないぜ。」

抱き寄せた二人の体の温もりが俺の体に伝わってきた。まるで、もっと一緒にいたかったと伝えるように。

「Hey,モリタくーん!」

突然声をかけてきたのは一緒に見送りに来ていたジョンソン先生だった。なんだろう?

「はーい、何ですか?」

「最後にみんなで集合写真を撮りましょウ!」

「分かりました。おい、お前らも行くぞ。」

先生はみんなを広ースペースに集め、俺も寶藍とステイシーに声かけをして所定の位置に行く。寶藍とステイシーは最前列の真ん中だ。

「皆さん集まったようですネ!ちょっと人を呼んできます!」

そう言うと先生は近くにいた空港職員の男性を呼んで写真を撮ってもらえるように頼んだ。その人は快く引き受けてくれたので先生も列に入る。

「それではみなさん、よろしいですか?ハイ、チーズ!」

カシャッとスマホのシャッター音が響き撮影終了。先生と俺達はお礼を言い、職員さんも先生にスマホを返した。

「じゃあ、みんなありがとう!」

「私達、そろそろ行くわ!」

寶藍とステイシーはみんなにそう言った。みんなは涙を流したり、もしくは笑顔で手をっ振っている。

「頑張ってー!」

「また遊びにおいでー!」

「いつでも待ってるよー!」

空港のロビーにみんなの声が響き渡り、寶藍とステイシーはそれに笑顔で答えながら手を振って保安検査場へ向かおうとした。その時だった。

「タクちゃーん!」

「タクト!」

二人は俺の所にいきなり戻ってきた。どうした?

「忘れ物か?」

「うん、言い忘れた。」

「最後にどうしても、ね!」

二人は笑顔で俺にそう語りかけた。そして…。

「「大好き♡」」

二人は急に俺を挟み込むように立ち、寶藍は俺の右の頬、ステイシーは左の頬にキスをしてきた。そしてそれだけすると再び笑顔で検査場へ向かって行く。

「アニョーン!」

「Good bye!」

荷物を持った二人はそのまま奥へ消えて行き、俺は二人が見えなくなるまで手を振り続けた。

「行ってしまったでござるな。」

「ああ、だが今はあいつらが無事に国へ帰れることを願おうぜ。」

俺は幹夫にそう言った。幹夫も少しさみしそうにしている。俺はまだあいつらの唇の感触が残る頬を優しく擦りながら無事に空の旅が出来ることを考えていた。そして、秋本が近付いて言った。

「森君。」

「何だよ?」

「涙出てる。」

そう言われて初めて気付いたのだが、俺はさっきのあいつらと同じかそれ以上に大粒の涙を流していた。

「いいだろ?今日ぐらいは。」

「うん。今日はみんな泣いていいと思うよ。」

俺は涙をぬぐいながら秋本にそう言ったが、そんな秋本の目も少しうるんでいる。まあ、こいつの事だから単なる強がりだとは思うが。それでも俺の涙はまだ止まらない。

「俺は頑張るぜ!次あいつらに会うときはもっと成長して、レベルアップしてあいつらを驚かせてやる!だから、待ってろよ!」

俺は何とか涙を止めようと自分の決意を大声で言ってみた。これは本音なのだが、やっぱり別れの寂しさが勝ってしまう。

「モリタク殿、今日はいっぱい号泣していいでござるよ。」

「そうよ、私だってホントは大泣きしたかったんだから。」

幹夫と秋本はそうは言っているが、二人とも涙を流している。じゃあ、お前らも一緒に泣こう。だが、ここでいつまでも寂しがっているわけもいかないのでみんなで涙を拭き、心を落ち着かせた。ありがとうな。寶藍、ステイシー。お前がら俺に『大好き』って言ったように、俺もお前らが大好きだぜ。その後、俺達は帰ろうとしたのだが、帰りに俺が橋本や大澤に「幸せ者!」「羨ましいぞ!」と言われ、女性陣から「もう付き合って結婚しなよ!」「ハッピーウエディング!」などと言われて弄られたのは言うまでもない。でも、こうして楽しい時間を過ごせたのは間違いなくお前らのお陰だ。ホント、感謝するぜ。


一方ここはソウル行きの飛行機の機内。特に問題なく定刻に離陸、空へと飛び立ったこの飛行機に寶藍は乗っていた。段々と遠くなる日本を彼女は窓から様々な思いで見つめていた。

「タクちゃん、みんな。本当にありがとう。ここに来れて本当によかったわ。」

改めて感謝の気持ちを呟く彼女。そして、飛行機が上昇し、日本の地面が見えなくなる直前に一言言った。

「絶対、もっといい女になるんだから。タクちゃんと一緒にいて恥ずかしくない女に私はなるわ!」

ずっと一途に思い続けた拓人への愛の気持ちを決意し、彼女は大空へと旅立った。


ここはステイシーが乗っているシカゴ行きの飛行機の機内。加速し、そして離陸した時に彼女は考えていた。

「もう、嬉しい以外の言葉がないわ。だって、楽しかっただけじゃなくてタクトと再会できたんだもん。」

ホームステイで来た時に一目ぼれし、そして自分の留学先で再会するという嬉しい誤算。これか彼女にとって何よりも光だった。

「ライバルはいるけど負けない!私は女としても人間としても成長してタクトとまた会うんだから!」

彼女も同様に、愛するタクトへの思いを口にしながら飛び立っていったのだった。

こんばんわ!

ヒロインズ、帰国してしまいましたね。

そして拓人達も珍しく泣いていました。

卒業シーズンなので皆さんも様々な出会い、別れがあると思いますが、これも人の成長に欠かせないものだと思うので大切にして欲しいです。

さあ、次回はいよいよ最終話です!

この作品に最高の花道を添えたいと思いますんで、応援よろしくお願いします!

それではまた最終回で!

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