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第80話 ケジメ!

こんにちわ!

さあ、3月も下旬。そしてこのお話も今回を含めて最終回まであと3話(予定)。

最後まで、ごゆっくりお楽しみください!

交換留学生である寶藍、ステイシーが帰国する日までついに1週間を切った。この間も送別会もやったし、あいつらを含む留学生は日本語クラスの修了テストを受け、全てが終わった後は帰国までの時間をそれぞれ有効に過ごしている。あいつらと学校で顔を合わせるのがもうすぐ終わってしまうと考えると、やはり寂しい。そんなある日の夜、俺は机に座ってスマホを手に取った。

「これ言ったら、あいつら怒ったり悲しんだりしないかな。」

そう呟いた俺。あいつらとは勿論寶藍とステイシーの事である。幼馴染&ホストファミリーで大学で偶然再会し、一緒に勉強したり遊んだり、揉めたこともあったけどあいつらと過ごせたおかげで俺は充実した1年間を送ることが出来きた。だけど、俺はあいつらに一番伝えなきゃいけないことをまだ言えないでいた。

「とにかく、あいつらが帰る前に直接言う!そうじゃなきゃもう、直接会って言えるチャンスなんて無いと思うから…。」

もう心は決まった。俺はスマホのLINEを開き、寶藍とステイシーをチャットグループに入れ、メッセージを同時送信した。

『帰国前にどうしても言いたいことがある。もし嫌じゃなかったら明日の午前11:00に留学生寮の前に来てくれないか?』

送るとすぐに既読が二つ付き、まずは寶藍から返信が来た。

『いいわよー!待ってるから♡』

続けてステイシーも…。

『OK!タクトのお話しなら何でも聞いてあげる♡』

両方から返信が来た後、俺はすぐに『ありがとう、助かる。』と送った。

「タクー、夕飯出来たわよ!」

「ごめん!今行くから!」

お袋から呼ばれたので俺は下まで降りて行き、夕飯を食べる。その後風呂や見たいテレビを見て過ごし、この日は終わった。決意を込めて、明日を迎えるために…。


-翌日 AM 11:00 東京都八王子市 西東京国際大学留学生寮前-

「はぁはぁ…。よお、お前ら。おはよう!」

「おはよう!タクちゃん!」

「Good morning!タクト!」

電車が事故に遭って遅れそうになったが、バスで学校に着いた後に大急ぎで寮まで走って何とか約束の時間に間に合った。そんな俺に二人は案の定寄り添ってくる。

「ねえタクちゃん、話って何?」

「そうよ。私気になって昨日あんまり眠れなかったんだから。」

まあそうだよな。気になるよな。俺は息切れ気味だったので少し呼吸を落ち着かせた後、ゆっくり話し始めた。

「寶藍。お前、幼稚園を卒園直後にソウルに帰ることになって教室で大泣きしたのを覚えているか?」

俺はふと、昔の事を話し始めた。寶藍は少し驚いた表情になった後話し始めた。

「当たり前でしょ!だって、みんなにも…何よりもタクちゃんと会えなくなっちゃうのが子供心にすごく寂しかったし。」

「そうか。お前も辛かったんだな。」

俺は少し悲しげにそう言った後、ステイシーの方を向き直って言った。

「ステイシー。ホームステイ最終日の夜に泣きながら俺に縋りついて『折角家族になれたのに…帰らないで!』って涙ながらに俺に言ったの覚えているか?」

俺がそう聞くと、ステイシーも少し複雑な表情で答え始めた。

「うん。だって、だってもう家族になれたのに、タクトが遠い所に行っちゃうのが寂しかったんだもん!」

「寂しい思いさせちゃったな。済まなかった。」

俺はそう答え、ステイシーはわずかながらに顔を赤らめた。そして、俺は言いたかったことを話し始めた。

「俺は…俺は偶然とはいえ、お前らと大学(ここ)で再会できてすごく嬉しかった。遊んだり、ふざけたり、授業受けたり…。色々あったけど最高の1年間を過ごせたよ。」

日記帳一冊じゃ収まらないくらいの充実ぶりだった。だが、俺はどうしても心残りの事があった。

「でも、お前らが帰る前に謝らなきゃいけないことがある。俺は…ネガティブで、人見知りで自分に自信がない所があるっていうか…。正直こんなに女の子から仲よくしてもらえるのが自分でもびっくりで…。だから、お前らみたいな美女と俺って本当に釣り合ってるのか疑わしかった。だから、気付けなかった。気付きたくなかったんだ。お前らの気持ちに!」

周りから美男子とか秀才とか言われている俺だけど、ナルシストとか調子に乗ってるとか思われたくなくって勝手に自分を過小評価して、そしてそれが原因で人の気持ちに気づこうともせずに逃げて、じれったい思いをさせてしまった。

「こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど…俺はお前達のその気持ちがすごく嬉しい。嬉しいけど…選べねえ。選べねえよ。お前達二人ともこんなに仲良くしてくれて大好きな二人だから!」

マイナス部分を見せていたにもかかわらず、この二人は俺に好意的に接してくれた。だからこそ、俺はここで言う。

「そんな二人に対して、中途半端な気持ちで結ばれて、そして綻んで離れるなんて真似…死んでも出来ない!お前らにそんな悲しい思いをさせたくないんだ!」

俺は心からすべてを吐き出すように二人に訴えた。そして、帰国前最後のお願いをした。

「俺は…本当に心の底から恋をして…そして一生結ばれたい。もし、俺の気持ちが固まってお前ら、ああ有希子先輩もいたか。とにかくその、俺を『好き』って言ってくれたうちの誰かと結ばれたい。正直そうなったら俺と一緒になれるのは一人だけになっちゃうけど、待ってくれないか?俺が心から一人に『好き』って言えて一緒に結ばれる決意が出来るまで!勝手なお願いしてごめん!」

俺は二人に身勝手なことを言ってしまったことを詫びた後、最後に一言付け加えた。

「ありがとう。こんな俺を好きになってくれて。」

言った。言いたいことは全部言えた。これでこのあとどうなっても後悔はない。二人がどんな反応するか予想できなかったが、帰ってきた返事は意外なものだった。

「やっと気付いたのね。もう、タクちゃんたら本当に鈍感なんだから。でも…ありがとう。気付いてくれて嬉しい。それと、私が好きになった人なんだからもっと自信持ちなさい!カッコいいのも頭いいのも全部本当なんだから!」

「タクトは本当にカッコよくて優しくて素敵な人だから私は好きになったのよ。ちょっと鈍感で消極的な所には私もじれったく思ったこともあったけどそう言う謙虚な所も好き。だから、前向きになって!」

「まぁ、ステイシー。あんたを含めてライバルは多いけど私は負けないから。だって、誰よりもタクちゃんが大好きだし魅力も分かってる。」

「私も同じよボラム。あんたはいいライバルね。どっちが結ばれても恨みっこなしよ。私が結ばれると思うけど、もしあんたが結ばれても私は…祝福してあげる。タクトが選んだ結末なら。」

「望む所よ!お互いいい女になりましょう!タクちゃんに心の底から好きになってもらうために!」

「ええ!私は負けないから!」

お互いにライバルの会話をしているが、いつもの幼稚な争いとは違い二人には笑顔が見られた。お互いにすっきりした所で俺はもう一度二人に言葉を贈った。

「二人とも、俺は…お前達と再会できて本当によかった!」

心をこめてそう言った俺は最後にまた一つ決心した。帰国まであとわずかだが、それまで楽しく一緒に二人と過ごそうと。

こんにちわ!

実は…この話書くの結構抵抗あったのですが、タイトル通り最後にけじめをつけようと思って書きました!

残りあと2話になってしまいましたね。

自分も寂しく思いますが、最後までどうかよろしくお願いします!

それではまた次回!

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